一般社団法人日本承継寄付協会は9月10日、「遺贈寄付に関する実態調査2021」の結果を発表した。同協会主催の「IZO PROJECT 2021」の取り組みの一つとして、昨年に続き全国の50-70代の男女1000名を対象に調査、分析を行っている。
遺贈による寄付は、遺産の一部、または全部を遺言などによって社会課題の解決のために使ってもらうよう、非営利活動法人などに寄付をすること。英国はじめ欧州を中心とする国々では、この日前後で遺贈寄付の普及啓発のためのキャンペーンを実施しており、今年も22ヶ国でキャンペーン展開が予定されている。9月13日は「国際遺贈寄付の日(International Legacy Giving Day)」で、日本でも一般社団法人全国レガシーギフト協会が毎年「遺贈ウィーク」と題してキャンペーンイベントを行っている。
日本承継寄付協会によると、近年は日本国内でも個人の寄付額が増加しており、今回の調査でも全体の約6割以上64.0%が「寄付」を行ったことがあると回答。自身が残す財産(相続財産)から寄付を考えたことがあると答えたのは17.5%で、50代男性が21%、次いで60代女性が18.6%と、最も年齢の若い層の男性が遺贈について一番考えているという結果だった。
実態調査で、遺贈寄付する理由・動機への質問では、相続財産からの寄付をする理由としては「何かしら社会貢献をしたいと思っているから」55.1%が突出して高い。「全財産」を寄付する意向がある人は、「相続するべき人がいないから」という理由が69.6%と、同じく突出していた。遺贈寄付先としての希望団体は「日本の子供の貧困」36.0%が最も高く、次いで「被災地支援」、30.0%、「子供の教育支援」29.4%と続く。また、全財産を遺贈寄付する意向がある層では「環境保護」41.3%が最も高いスコアとなった。
遺贈寄付に関する評価としては「少額でも遺贈できることが良い」(54.0%)が最多。次いで「自分がやりたいと思うことを実現できる」(46.2%)、「環境保全や、貧困問題などの社会問題の解決に寄与できる」(同)となった。
一方、遺贈寄付を断念した理由や準備をしていない理由も訊いた。「寄付したお金がどのように使われるか不明瞭」が32.8%で最多、遺贈寄付に興味を持つ層では「やり方がわからない」35.7%が最も高かった。
遺贈に関する相談機関の重視点は「支援機関の信頼性」(51.2%)が突出しており、重視点として過半数を超える。遺贈寄付に興味を持つ層は、他層に比べて「支援機関の信頼性」(62.7%)、「寄付の手続き完了まできちんとやってくれること」(49.4%)のスコアが高く、相談機関へのニーズが明確化していた。
調査結果は「IZO PROJECT 2021 オンラインイベント」(9月17日実施)内でも解説予定。同協会は「調査結果を踏まえて、信頼される支援機関としてきめ細やかなサポートを展開していく」としている。
同協会は、地域や社会の未来のために財産の一部を寄付することで社会貢献をしたいという人を支援し、持続可能な経済社会の実現を促進するためのプラットフォームの役割を担う。今回の調査でも示されたように、日本での遺贈寄付は相談先が少なく、寄付の意志があっても実現できていない現状にある。同協会は、全国の第三者的立場である相続実務家が相談を受けるため、利害関係を生じることなく、財産の数%だけを遺贈寄付するといったサポートを行っている。「遺贈寄付はお金持ちがするものといった誤解を解消し、寄付したい人が誰でも無理なく寄付できる体制を整えることで承継寄付の間口を広げ、『おもいやりのお金が循環する社会』を目指していく」としている。
【関連サイト】一般社団法人 日本承継寄付協会「IZO PROJECT2021」
【関連サイト】司法書士法人東京さくら
HEDGE GUIDE 編集部 寄付チーム
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