家を売却した代金を住宅ローンの返済に充てても、なお債務が残ってしまう状態を「オーバーローン」と呼びます。
オーバーローンの家を売却する時には一体どうしたら良いのか、悩む方も少なくありません。家の売却後にローン返済が家計を圧迫する事態を防ぐためにはどのような方法があるのでしょうか?
本記事ではオーバーローンの物件の問題点、家を売却しても住宅ローンが残ってしまう時の対策5つと注意点を解説していきます。
目次
- オーバーローンの物件の問題点とは
- 家を売却しても住宅ローンが残ってしまう時の対策5つ
2-1.売却を先送りし、完済のための資金を貯める
2-2.期間限定で家を離れる時は賃貸を検討する
2-3.住み替えローンを利用する
2-4.家をできるだけ高く売却する
2-5.任意売却を行う - オーバーローンの家の売却で利用できる特例
- まとめ
1.オーバーローンの物件の問題点とは
住宅ローン残債が売却価格の相場を上回っているオーバーローンの家の資産価値はマイナスの状態となります。このような状態で売却を行った場合、ローンの残債を一括で返済する必要が出てきます。
ローン返済中の家には「抵当権」が設定されています。抵当権とは、ローン契約者が返済できなくなってしまった時に家を差し押さえることができる権利です。この抵当権がついている状態の家は、通常、売却することができません。
売却代金でローンを相殺できない状態で抵当権を外すためには、一括でローンを完済する以外にも、任意売却という方法があります。
任意売却とは契約者が金融機関に相談を行い、売却の可否や価格に承諾を得た上で家を売却、抵当権を外してもらう方法です。任意売却は売却後にローンの返済に関して期間を長くするなど、事情を考慮して貰える可能性があります。
2.家を売却しても住宅ローンが残ってしまう時の対策5つ
家を売却しても住宅ローンが残ってしまう際には、以下の5つの対処法があります。
- 売却を先送りし、完済のための資金を貯める
- 期間限定で家を離れる時は賃貸を検討する
- 住み替えローンを利用する
- 家をできるだけ高く売却する
- 任意売却を行う
2-1.売却を先送りし、完済のための資金を貯める
売却を急がない場合には家に住み続け、資金を貯めておくことで売却後にローンを完済できる可能性が高くなります。
電気・ガス・携帯電話・インターネット回線料金などの固定費を減らす、旅行やスマートフォンの買い替えなど大きな出費の頻度を減らすといった家計の見直しを行い、着実に資金を貯めていく事が重要となります。
今すぐ家を売却する必要がない、信用情報機関に事故記録が掲載されたくない方は資金を貯めローンの完済を検討しましょう。
2-2.期間限定で家を離れる時は賃貸を検討する
「転勤で今の土地を離れるが、3年後に戻ってくる」といった期間限定で家を空ける予定が決まっている方は、家を第三者に賃貸できる可能性があります。
住宅ローンは所有者が居住する目的で貸し出されているため、賃貸のような事業に利用することはできません。しかし、上記のような期間限定のケースでは事情を考慮し、賃貸を許可されるケースもあります。まずはローンを契約している金融機関に相談してみましょう。
2-3.住み替えローンを利用する
ローンが残っている家を売却し、新たに家を買い替える際には一定の要件を満たすことで「住み替えローン」を利用しローンを一本化できます。
住み替えローンは旧居のローン残債と新居購入のローンをまとめて借り入れる事ができるローンです。通常の住宅ローンより金利が高く、借入金額が多くなるため審査が厳しい傾向にあります。
借入金額が多くなりますので、金融機関と返済シミュレーションを行った上で検討しましょう。
【関連記事】住み替えローンのメリット・デメリットは?利用時の注意点やリスクも
2-4.家をできるだけ高く売却する
家の価格を評価する際には不動産査定が行われますが、この不動産査定の価格は不動産会社によって大きな差が出てきます。不動産会社によって査定方法や抱えている顧客層が異なるためです。
1社の査定価格で比較した時にオーバーローンであったとしても、別の不動産会社の査定を受けると、オーバーローンが解消される可能性もあります。1社だけでなく複数社の査定を受け、査定価格を比較してみましょう。
ただし、不動産会社によっては高めの金額を提示して、売却依頼を受けようとする悪質なケースもあります。実際の売却金額は査定価格よりも低くなる傾向にあるため、価格だけでなく、査定の根拠をしっかりと確かめるように注意することが大切です。
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【関連記事】不動産査定会社・不動産売却サービスのまとめ・一覧
2-5.任意売却を行う
金融機関に売却の可否や価格に承諾を得た上で売却を行い、抵当権を外してもらう方法が「任意売却」です。相場と同じ価格帯で売却でき、場合によっては引っ越し費用を売却代金から融通してもらえます。
ただし、金融機関にとっては担保となっていた不動産を失ってしまうため、任意売却の許可を得られない可能性もあります。家の売却代金で住宅ローンの残債の支払いが難しいことが判明した段階で、まずは金融機関にどのような手段がとれるのか相談してみましょう。
【関連記事】不動産の任意売却とは?メリット・デメリットや売却手順を解説
3.オーバーローンの家の売却で利用できる特例
2021年12月31日までに住宅ローンのあるマイホームを住宅ローンの残高を下回る価額で売却して損失(譲渡損失)が生じたときは、一定の要件を満たす場合に譲渡損失を給与所得や事業所得など他の所得から控除(損益通算)することが可能です。
これを、「マイホームを買い換えた場合の譲渡損失の損益通算及び繰越控除の特例」と言い、損益通算を行っても控除しきれなかった譲渡損失は、譲渡の年の翌年以後3年間繰り越して控除(繰越控除)することができます。
適用に関しては自分が住んでいるマイホームを譲渡すること、譲渡の年の1月1日における所有期間が5年を超えるマイホームで日本国内にあるなど一定の要件に当てはまる必要があります。
また、確定申告書に所定の書類を添付し、管轄の税務署に確定申告を行う必要もあります。確定申告の手順がわからない場合には、会計ソフトの利用や税理士への相談も検討してみましょう。
他にもマイホームを売却した際には「居住用財産を譲渡した場合の3,000万円の特別控除の特例」「マイホームを売ったときの軽減税率の特例」などが適用される可能性があります。これらの税制度を利用し、損失をできるだけ少なくできるよう対策をしてみましょう。
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4.まとめ
オーバーローン状態の物件は、急いで売却をする必要がない時にはローン完済のための資金を貯めておくことで、後のデメリットや損失を回避できる可能性があります。
なお、売却の必要がある場合には、賃貸を検討する、住み替えローンを検討するなどの対処法があります。まずはオーバーローンであることが分かった段階で、金融機関に相談し、任意売却が検討できるのか確認しておくことも検討してみましょう。
田中 あさみ
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