離婚後に不動産査定でもめないためには?査定方法を2つ紹介

現金や有価証券と違い不動産は価値を測る事が難しいため、離婚の財産分与でトラブルになるケースも少なくありません。

不動産の査定額が正確でない場合、課される税金が多くなってしまう事がある上に公平な財産分与ができなくなってしまうため、できるだけ正確な不動産査定を行うことが重要になります。

そこで今回は、配偶者とのトラブルを避け、公平な財産分与を行うための不動産の査定方法2つをご紹介します。査定を行う上での注意点も併せてお伝えしていきますので、ぜひご参考にして下さい。

目次

  1. 離婚の財産分与では正確な査定が必要
    1-1.課される税金の額が変わる可能性がある
    1-2.公平な財産分与ができない
  2. 査定方法は不動産会社か不動産鑑定士の2つ
    2-1.不動産会社に無料査定を申し込む
    2-2.不動産鑑定士に依頼する
    2-3.不動産会社か不動産鑑定士か
  3. 離婚の財産分与で不動産査定を行う際の注意点
    3-1.不動産会社の一括見積もりは連絡が来るので注意
    3-2.不動産鑑定額と売却額は異なる
    3-3.財産分与の対象とならない不動産もある
  4. まとめ

1.離婚の財産分与では正確な査定が必要

離婚の財産分与では、正確に家や土地といった不動産の価値を査定してもらうことが大切です。不動産の価値に誤差が生じる事で、納付する税金の額を間違えてしまう事や、公平な財産分与ができなくなってしまうケースがあります。

まずは財産分与で正確な査定が必要な理由を2点見ていきましょう。

1-1.課される税金の額が変わる可能性がある

離婚して不動産を譲った側に譲渡所得税が課されるケースがあります。

譲渡所得税は不動産の時価を基に算出されるため不動産の時価によって納める税金が変わります。査定額が相場とかけ離れている場合、税金を過小または過大に払ってしまう結果となってしまいます。

また、財産分与では基本的に贈与税は発生しませんが、分与された財産が「家庭の事情を考慮してもなお多い」と税務署に判断された際は贈与とみなされ税金が課される可能性があります。税金額の過誤を防ぐために、不動産は正確な査定が必要です。

1-2.公平な財産分与ができない

基本的に離婚の財産分与は夫婦間で公平に行いますが、不動産の「時価」を見誤ると平等な配分ができなくなってしまいます。

たとえば査定額が800万円の不動産を夫が譲り受けた際、公正な財産分与を行うのであれば妻も800万円分の現金や有価証券を受け取る権利があります。

しかし査定額に誤差があり相場は1000万円だった場合、双方の受取額に100万円分の差額が出てしまい、財産分与が公平とは言えない結果になってしまうことになります。

2.査定方法は不動産会社か不動産鑑定士の2つ

財産分与で不動産を査定するには主に下記の2つの方法があります。

  • 不動産会社に無料査定を申し込む
  • 不動産鑑定士に査定

不動産会社による査定は無料で早いメリットがある一方で、会社により金額が異なり公平性に欠けるケースも少なくありません。

不動産鑑定士への依頼は法律に基づき様々な方法で資産価値を見積もるため、より公正な査定額が分かりますが、鑑定額がかかるというデメリットがあります。

それぞれの査定方法について詳しく見ていきましょう。

2-1.不動産会社に無料査定を申し込む

不動産会社に見積もりを依頼し査定額を出してもらう方法は無料で行う事ができます。不動産会社に査定を依頼するのは手軽かつスピーディーな査定方法ですが、不動産鑑定士による鑑定に比べ査定額の精度が落ちるという欠点があります。

また不動産査定では「机上査定」という過去の周辺物件の相場や、積算価格(再調達価格)などから算出する査定方法によって行われます。実際に物件を見ているわけではありませんので、価格に差が生じる可能性が高くなりますが、机上査定の後に「訪問査定」を依頼する事で査定の精度を高めることが可能です。

訪問査定とは、実際に家に訪問して物件の細かい条件を見て貰う査定方法です。実際に訪れてみないと分からない現地や近隣の状況を加味して査定を行う為、机上査定より正確な物件の価格が分かります。

不動産会社によって売却を得意とする物件タイプやエリアが異なっていることも少なくありません。査定依頼の段階で複数の不動産会社へアプローチが出来る「不動産一括査定サイト」を利用することも検討してみましょう。不動産一括査定サイトでは、無料で複数社の査定が同時に受けられるうえ、様々なエリアに対応している不動産へ効率的に依頼ができ、会社の対応力や特徴を比較することが可能です。

下記は主な不動産一括査定サイトの一覧です。下記のサイトは全国エリアに対応しており、積極的に悪徳業者の排除を行っている特徴を持っています。

主な不動産一括査定サイト

サイト名 運営会社 特徴
すまいValue 不動産仲介大手6社による共同運営 査定は業界をリードする6社のみ。全国900店舗。利用者の96.3%が「安心感がある」と回答
SUUMO(スーモ)不動産売却 株式会社リクルート 大手から中小企業まで約2,000の店舗と提携。独自の審査基準で悪質な不動産会社を排除。60秒で入力が終了し、無料査定がスタートできる。
リガイド(RE-Guide) 株式会社ウェイブダッシュ 16年目の老舗サイト。登録会社数800社、最大10社から査定を受け取れる。収益物件情報を掲載する姉妹サイトも運営、他サイトと比べて投資用マンションや投資用アパートの売却に強みあり
LIFULL HOME’Sの不動産売却査定サービス 株式会社LIFULL 全国3694社以上の不動産会社に依頼できる。匿名での依頼も可能
HOME4U 株式会社NTTデータ スマートソーシング 全国1800社から6社まで依頼可能。独自審査で悪徳会社を排除

【関連記事】不動産査定会社・不動産売却サービスのまとめ・一覧

2-2.不動産鑑定士に依頼する

不動産鑑定士による不動産鑑定は「不動産の鑑定評価に関する法律」に基づいて行われます。不動産鑑定士は不動産の鑑定評価に関する専門家として、筆記試験を受けた後に実務試験を修了し認定される国家資格です。

不動産鑑定に関して収益還元法や取引事例比較法等、様々な価値を測る方法を勉強した上で、法律や経済の知識も取り入れ鑑定しますので、精緻な査定額が分かります。

鑑定評価額によっても異なりますが、査定を受けるだけでも数十万ほどの費用が発生するケースもあります。不動産会社に査定依頼することと比較して費用が高い事がデメリットと言えるでしょう。

2-3.不動産会社か不動産鑑定士か

査定費用の捻出が問題ないのであれば、離婚の財産分与の場合は不動産鑑定士に依頼し、鑑定書を提出してもらうと良いでしょう。

家や土地といった不動産は高額な資産ですが分与しづらく、離婚の財産分与ではトラブルになるケースも少なくありません。そのため不動産鑑定士に法的に拘束力のある鑑定書を提出してもらう事で、後にトラブルとなる可能性を低くすることができます。

また、不動産会社の査定が無料となるのは不動産売却による仲介手数料や物件再販による利益を見込んでいるという背景があります。家や土地を売却して分与する場合は不動産会社の査定を、どちらかが家に住み続ける場合は不動産鑑定士へ依頼することが検討できるでしょう。

ただし、前述したように不動産鑑定には費用が掛かってしまうため、依頼費用の捻出が難しい場合は、双方の合意の上で不動産会社の査定を受けることを検討されてみると良いでしょう。

なお、不動産の査定方法についてトラブルになりそうな時やトラブルを事前に避けたい場合は、公証役場で「離婚協議書」を公正証書として作成し査定方法についての文言を入れておくことが可能です。公正証書は公文書となるため、「合意の上で決定した」という法的な証拠とすることができます。

3.離婚の財産分与で不動産査定を行う際の注意点

離婚の財産分与で不動産を査定して貰う際に注意すべき事が大きく分けて3つあります。

  1. 離婚を伝えていない段階で不動産会社から連絡が来て、配偶者が疑問を感じてしまう
  2. 不動産鑑定額と売却額は異なる
  3. 財産分与の対象とならない不動産がある

いずれも財産分与を行う上で重要なポイントとなります。1つずつ詳しく見ていきましょう。

3-1.不動産会社の一括見積もりは連絡が来るので注意

不動産会社の無料査定は不動産の仲介に利用してもらう為のサービスの一環として行われています。そのため一括査定の見積もりを依頼すると、複数の不動産会社から電話やダイレクトメールが来る事になります。

まだ離婚の意思を伝えていない場合、配偶者が不動産会社からの連絡によって不審に思う可能性もあります。不動産会社には指定した電話番号・時間帯以外の連絡や、郵便物の郵送は控えるよう伝えておきましょう。

また、複数の不動産会社へ物件情報を渡したくない場合には、まずは大手不動産会社1社に絞って査定を依頼してみるのも一つの方法です。例えば、三井グループの不動産会社「三井不動産リアルティ」が運営する「三井のリハウス」で査定を依頼することを検討されてみると良いでしょう。

三井のリハウスは大手不動産会社の中でも売却実績が非常に豊富な査定サービスです。全国における不動産仲介事業の売買仲介取扱件数は、三井のリハウスが2020年度まで36年連続で1位を継続し、累積取扱件数は100万件を突破しています。(※参照:三井不動産リアルティ「ニュースリリース」)

三井のリハウスも査定価格を見てから売却するかどうかを選択することができるため、まずは価格を知りたいという場合に気軽に利用できる点が特徴です。

3-2.不動産鑑定額と売却額は異なる

不動産鑑定士が算出した鑑定額は精緻な不動産の価値を示す価格ではありますが、実際に売却を行った際に同じ金額になるとは限りません。

不動産の売却には時期や景気、不動産市場の動向も関わってきます。分与後に不動産を売却する予定がある方は、売却額と鑑定額がイコールではない事を覚えておきましょう。

3-3.財産分与の対象とならない不動産もある

財産分与の対象となる資産は夫婦が協力して形成したものです。よって結婚前に取得した家や親から相続した土地は財産分与の対象となりません。

特に親名義の土地の上に家を建てている場合には権利関係が煩雑になるため、財産分与が非常に難しくなってしまう点に注意が必要です。親名義の土地は「夫婦が協力して築いた財産」ではないため財産分与の対象外となるためです。

親の土地に家を建てている場合、主には下記の3つの財産分与パターンがあります。

  • 義親の土地に義理の息子又は娘が住み続ける
  • 実親の土地に実子が住み続ける
  • 借地権付き不動産として売却する

【関連記事】離婚時に親の土地で家を建てている場合の対処方法は?財産分与の方法を3つ解説

財産分与をする際はまず財産目録を作成し、夫婦で築いた財産をリストアップしてから進めていくことを心がけましょう。

まとめ

離婚の財産分与での不動産の査定は、不動産会社または不動産鑑定士に依頼する2つの方法があります。

夫婦のどちらかが家に住み続ける場合は、不動産鑑定士に正確な査定額を出してもらいましょう。不動産を売却して分与する場合は、一括で複数の不動産会社に見積もりを出してもらうと良いでしょう。

不動産の査定を行う際には、財産分与の対象となるかを確認し不動産鑑定額と売却額が異なる事を理解しておきましょう。また相手に離婚の意思を伝えてないときは、不動産会社から連絡が来ないよう気を配っておくことも大切です。

この記事を参考にスムーズに不動産の査定、財産分与を進めていきましょう。

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田中 あさみ

田中 あさみ

経済学部在学中に2級FP技能士(AFP)の資格を取得。ライターとして不動産投資を含む投資や年金・保険・税金等の記事を執筆しています。医療系の勤務経験がありますので、医療×金融・投資も強みです。HEDGE GUIDEでは不動産投資を始め、投資分野等を分かりやすくお伝えできるよう日々努めてまいります。