財産分与の対象は夫婦が築いた財産となりますので、親名義の土地は財産分与の対象外です。
しかし一方で、建てた家が二人で協力して得た資産である場合は財産分与の対象となります。このように、親の土地に家を建てた場合には土地の名義と建物の名義が異なることによって、相続の手続きが煩雑になってしまうという問題があります。
そこで本記事では、親の土地に家を建てている際の財産分与、財産分与の4つのパターン、注意点を解説していきます。
目次
- 離婚時に親の土地に家を建てている際の財産分与について
- 親の土地に家を建てている場合の3つの財産分与パターン
2-1.義親の土地に義理の息子・娘が住み続ける
2-2.実親の土地に実子が住み続ける
2-3.借地権付き不動産として売却する - 離婚時の家が財産分与の対象とならない事例
- まとめ
1.離婚時に親の土地に家を建てている際の財産分与について
基本的に財産分与は夫婦が協力して築いた財産を公平に分与します。家の名義が夫または妻の単独名義でも、実際に夫婦の協力によって形成されたものは分与の対象です。一方が働きに出て一方は家事をしていた場合でも、家事をしていた方は財産の形成に協力した者とみなされます。
財産分与の対象は夫婦が築いた財産となりますので、建てた家が二人で協力して得た資産である場合は財産分与の対象となります。
しかし、親名義の土地は「夫婦が協力して築いた財産」ではないため財産分与の対象外です。このような場合、親名義の土地と家は切り離して財産分与を行う必要があります。その他、結婚前の預金、親からの相続・贈与で得た財産も分与の対象外となります。
2.親の土地に家を建てている場合の3つの財産分与パターン
- 義親の土地に義理の息子又は娘が住み続ける
- 実親の土地に実子が住み続ける
- 借地権付き不動産として売却する
2-1.義親の土地に義理の息子・娘が住み続ける
婚姻中に親の土地を使用する場合は、夫婦のどちらかが親に無償で土地を借りる「使用貸借」という賃貸契約を結んでいるケースが多いと言えます。しかし、相続権の無い義理の息子・娘が継続利用する場合、離婚後は権利関係が複雑になってしまうため注意が必要です。
実親の土地に実子が住み続ける、もしくは売却することがトラブル回避の観点から望ましいと言えますが、何らかの事情で義理の親に土地を借りる際には土地の賃貸借契約書を作成・締結しておきましょう。
契約書を作成しておくことで契約内容が明確に文書化され、後のトラブルで役立つ又は回避できることがあります。定期借地権など、土地の貸し出し期限を定めた契約形態が望ましいと言えるでしょう。
加えて家の所有者(名義人)≠住み続ける方ではないケースでは、所有権移転の手続きを行うことで名義変更が可能です。名義変更を行う事で、固定資産税の納税通知書といった必要書類が住み続ける人に届き、住んでいない家に関する連絡が来る事態を回避できます。
2-2.実親の土地に実子が住み続ける
実親の土地に実子が住み続ける場合には、土地に関しては現状のままで大きな問題はないと言えます。ただし、共有名義で住宅ローンを組んでいた場合には、ローンの支払いについてどのように対処するのか別途話し合いをする必要があるでしょう。
その他、まだ相続をしていない土地に家を建てているため、その他の相続人へ不公平感を与えてしまい、相続時など後のトラブルとなる可能性があります。これらの点にも注意しておきましょう。
2-3.借地権付き不動産として売却する
土地付きの家を売却する時には、土地と家を売却する方法だけでなく、「家のみ」を売却するケースが存在します。家だけを売却する時には、借地権付きの建物として家の買主と土地の所有者である親が賃貸借契約を結び、家の売却価格を夫婦で2等分します。
土地と家を売却する時には親に許可を得た上での売却が必要で、売却価格から土地の価額を差し引いた金額(家の売却価格)が財産分与の対象となります。
ただし、借地権付きの物件は買主にとってデメリットも大きいため、売却価格が非常に安くなってしまう可能性があります。また、退去してもらうまで別の用途に土地を活用することが出来なくなってしまう点にも注意しておきましょう。
3.離婚時の家が財産分与の対象とならない事例
不動産は評価や分割が難しい財産のため、離婚や相続の際にトラブルが起こりやすい資産です。特に、家に住み続けるか、売却するかという点で悩まれる方は多いと言えます。
家にローンが残っている際にはローンの残債と売却予想価格を比較し、まずは家の財産分与を行う必要があるかどうかについて確認することが大切です。不動産売却でローンの返済ができないオーバーローンの状態であると、原則としてその不動産は財産分与の対象となりません。
ローンの残債は金融機関から送られてくる残高証明書、又は金融機関の窓口で確認します。
一方、売却予想価格は不動産会社に査定を依頼することで把握できます。不動産の価格は不動産会社によってばらつきが生じる事がありますので、複数の会社を比較・検討しましょう。
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4.まとめ
親の土地に家を建てている夫婦が離婚する際には、どちらかが住み続けるケースでは親との関係によって契約書を交わす、売却するケースではその後の土地利用について親に相談するなど、パターン別で対応が異なります。
この記事を参考に土地を所有する親の意向や関係、家の利便性や離婚後の経済状況などを考慮しながら二人で話し合いましょう。
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田中 あさみ
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