離婚の財産分与、車や家の現物資産はどうする?手順や注意点を解説

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離婚の際、車や家といった形のある財産(現物資産)は財産分与が難しく、中には調停や裁判といった事態に発展してしまうケースがあります。

裁判は弁護士費用を始め金銭的な負担があり、事態が長引く可能性が高い事から精神的な負担も大きくなってしまいます。あらかじめ現物資産の分与の手順と方法を知り、スムーズな財産分与を行いましょう。

この記事では現物資産の分与の流れと方法、2つの分与の方法に適したケースや意見がまとまらない場合といった注意点について解説していきます。

目次

  1. 離婚時に分与が難しい「現物資産」とは
  2. 現物資産の分与の流れと方法
    2-1.財産目録を作る
    2-2.換金してから分与する場合
    2-3.現物のまま分与する場合
    2-4.財産分与の意見がまとまらない場合
  3. 現物資産は現金化と現物のまま分与、どちらが良い?
  4. まとめ

1.離婚時に分与が難しい「現物資産」とは

車や不動産等の「形のある財産」を現物資産と呼びます。離婚時に分与が想定される現物資産としては、以下のものが挙げられます。

  • 不動産(家・マンション・アパート・土地等)
  • 家具・電化製品
  • 貴金属(金・プラチナ等)
  • 美術品・骨董品
  • 腕時計や指輪等の装飾品
  • その他コレクター用品

家や土地等の不動産を始め、結婚指輪や絵画も現物資産に含まれます。一方で株や投資信託、ゴルフの会員権等の実物のない資産は「金融資産」に分類されます。

財産分与に当たっては、現物資産に関わらず「夫婦の共同財産であるか」が重要なポイントなります。

財産分与では夫婦が婚姻中に協力して得た財産を共同財産とみなします。例えば、夫が働いており夫名義の不動産を持っていたとしても、妻が専業主婦として家事を行い、財産形成に貢献したと判断されれば共同財産となります。

結婚前に取得した財産や、一方が相続・贈与で得た資産、女性もののアクセサリーや男性用の腕時計等、社会通念上一方の固有財産は財産分与の対象外となります。

なお、財産分与は夫婦で2分の1と公平に分与する事が原則ですが、片方に離婚後一人で暮らせる収入の見込みがない場合に分与割合を多めにするケースや、慰謝料として一方に多めに分配されるケースも存在します。分与割合は基本的に夫婦で相談して決定します。

決定した内容を両者立会の元、公証役場で公正証書として残しておくことでいざという時に役に立つでしょう。

2.現物資産の分与の流れと方法

現物資産の分与はまず財産のリストアップを行い「財産目録」を作成、財産が分与の対象となる「共有財産」であるか否かを話し合いで決定します。

分与の対象とみなされた共有財産を、そのまま配分または現金化して分割という流れになります。

2-1.財産目録を作る

財産分与をするにあたり、最初に行う事は財産目録の作成です。婚姻期間中の共同財産を不動産・預貯金・有価証券等の項目別に箇条書きで全て書き出し、表にまとめましょう。

財産目録の中で財産分与の対象である「共有財産」であるか、対象とならない「固有財産」であるかを分別していきます。

財産目録の作成と共有財産・固有財産の分別が終わった後は、分与の方法を決めていきます。分与の方法は「財産を売却、換金化してから分与する」「現物のまま評価額で分与する」という2つの方法があります。

2-2.換金してから分与する場合

自動車や不動産等の共有財産を売却、現金化してから分与する方法です。車は買い取り業者に売却、家具や電化製品はリサイクルショップ、貴金属や骨とう品は専門の買い取り店などで売却する方法があります。

不動産は金額が大きく、住宅ローンの残債が残っている方も多いでしょう。売却価格とローンの残債を比較してから売却すると後々の損失を避けられるケースがあります。

不動産査定を行う際は、複数の不動産会社による査定を受けることできる「不動産一括査定サイト」の利用を検討してみましょう。複数社の査定価格や査定の根拠を比較できるため、より信頼性の高い査定額を効率的に算出する際に適しています。

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アンダーローン(ローンの残債が売却価格を下回る)の場合

ローンの残債が売却価格を下回るアンダーローンの場合は、売却代金でローンを完済し、残りのお金を二人で等分すると公平に分与できます。

売却方法には、大きく分けて仲介と買取の2パターンがあります。仲介では売却価格が高くなる傾向がありますが、購入希望者を探す必要があるため3ヶ月~6ヶ月程度の時間がかかります。

買取は不動産会社に直接不動産を買い取ってもらう方法で、仲介で売却する方法より早く売却が可能です。仲介での売却より約3~4割安くなるものの、買取価格が決定した後すぐに売却する事が出来るメリットがあります。

オーバーローン(ローンの残債が売却価格を上回る)の場合

ローンの残債が売却価格を上回ってしまうオーバーローンの場合、残債を現金で一括返済する、残債を分割して支払う任意売却の手続きを取る、売却せずにどちらかが家に住み続ける、いずれかのパターンを検討することになります。

住宅ローンの連帯保証人に設定されている場合は、主債務者の返済が滞ると返済義務が生じてしまいます。残債を調査する際に、どのようなローン契約になっているか再度確かめておきましょう。

2-3.現物のまま分与する場合

次に、現物資産を現物のまま評価額で分与する方法を見て行きましょう。

例えば、夫が評価額2,000万円の不動産を受け取り等分に分与したい場合は、妻は評価額500万円の自動車と1,000万円分の有価証券、500万円の預貯金を受け取る事が出来ます。

ただし、実際の財産分与では不動産や自動車等の評価方法で二人の意見が分かれ、トラブルに発展する可能性があります。双方が納得できる評価方法でそれぞれの財産を評価し、価格を算出することが大切です。

2-4.財産分与の意見がまとまらない場合

財産の分与方法や評価額で意見の相違があり解決しない場合は、家庭裁判所に申立を行い調停で話し合います。調停でもまとまらない時は裁判官により審判が下され、片方又は双方が審判結果に納得できない際は裁判をする流れとなります。

3.現物資産は現金化と現物のまま分与、どちらが良い?

現物資産を分与するにあたって現物のまま分与する方法と、現金化して分与する方法は双方にメリット・デメリットが存在します。

売却して現金化の後分与する方法は、「公平かつ正確な財産分与」を優先するケースに適しています。

不動産はどちらかがそのまま住み続けた場合、「名義変更が難しい」「片方がローンを返済するはずだったのに滞納された」等、トラブルに発展するケースが少なくありません。アンダーローンの場合は売却代金を分与することで後のトラブルを回避することに繋がるでしょう。

一方で「子供を転校させたくない」「自動車が必須で手放したくない」「オーバーローンのため売却できない」というケースでは、車や不動産は現物のまま分与する流れとなります。

分与が難しい不動産はトラブルが起こりやすくなるため、公証役場で「離婚協議書」を作成し、ローンをどちらが支払うか、支払いが滞った場合はどうするか等取り決めた内容を公的文書として残しておきましょう。

まずは財産目録を作成し、二人で協議した結果、「離婚協議書」を公証役場で公正証書として残すことでトラブルが回避できる可能性が高くなります。

公証役場で作成した離婚協議書は、協議の内容を果たさなかった時の強制執行についても記載しておくことで、裁判をすることなく直接財産の差し押さえが可能となります。

まとめ

分与が難しい現物資産ですが、流れと方法を知っておくことで双方が納得できる財産分与をスムーズに行える可能性が高くなります。

また協議した内容を明記した「離婚協議書」を公証証書として作っておくことで、いざという時に役立ちます。財産分与は手間も多く精神的な重荷のある作業となりますが、後のトラブルを回避するためにも一つ一つ対処していきましょう。

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田中 あさみ

経済学部在学中に2級FP技能士(AFP)の資格を取得。ライターとして不動産投資を含む投資や年金・保険・税金等の記事を執筆しています。医療系の勤務経験がありますので、医療×金融・投資も強みです。HEDGE GUIDEでは不動産投資を始め、投資分野等を分かりやすくお伝えできるよう日々努めてまいります。