現物資産と金融資産の違いは?不動産投資や金投資、証券投資の特徴を比較

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投資の種類は株式投資や投資信託、金投資、不動産投資など様々です。しかし、投資先の資産を大別すると、金や不動産の「現物資産」と、株式や投資信託などの「金融資産」の2種類になります。

現物資産と金融資産はそれぞれメリットとデメリットがあるので、投資を始める際は、両者の特徴をしっかりと把握することが大切です。

そこでこの記事では、不動産投資、金投資、証券投資などを例にあげながら、現物資産と金融資産の違いについて詳しく解説していきます。投資を検討中の方、投資先の種類について詳しく知りたい方は、参考にしてみてください。

目次

  1. 現物資産とは
    1-1.貴金属
    1-2.不動産
  2. 金融資産とは
    2-1.株式
    2-2.債券
    2-3.投資信託
  3. 現物資産投資のメリット
    3-1.長期運用がしやすい
    3-2.急落するリスクが少ない
    3-3.インフレに強い
    3-4.老後資金や税金対策につながる
  4. 現物資産投資のデメリット
    4-1.保有コストがかかる
    4-2.下落リスクがある
    4-3.流動性が低い
    4-4.災害リスクがある
  5. 金融資産投資のメリット
    5-1.少額から始められる
    5-2.ハイリターンを狙える
    5-3.分散投資をしやすい
    5-4.流動性が高い
  6. 金融資産投資のデメリット
    6-1.急落するリスクがある
    6-2.インフレに弱い場合もある
    6-3.リターンが低い場合もある
    6-4.運用コストがある
  7. まとめ

1.現物資産とは

現物投資とは、物に形があってそれ自体に価値のある資産のことです。投資対象となる現物資産には、貴金属、不動産などが挙げられます。

1-1.貴金属

貴金属とは、金属の中でも貴重な存在で化合物を作りにくいものを指します。高価なアクセサリーであるジュエリーにも使用されており、希少価値の高さが大きな特徴です。投資対象となる貴金属には、金、銀、プラチナなどが代表的です。

金は通貨やジュエリーなどさまざまな用途で使用されています。世界中での取引数が多い上に希少価値もあることから、投資対象になることもあります。

金は、貴金属の中でも普遍的な価値を持つ現物資産であるため、価格が急落するリスクが低く、不況に強い資産となっています。

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銀は通貨、電子製品、通信製品などでよく使用されています。金と比較すると低価格であるため、少額投資の対象にしやすいのが特徴です。また、貴金属の中では、市場規模が比較的小さいため、価格変動が大きくなる場合もあります。

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プラチナ

プラチナとは、濃い銀白色の輝きを持つ貴金属で、工業用品によく使用されているほか、ジュエリーなどの宝飾品でも需要が高いのが特徴です。プラチナ投資の種類にはプラチナ地金・コインの購入、プラチナ投資信託、プラチナ先物取引などがあります。

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1-2.不動産

不動産は、建物や土地のことを指します。投資対象となる不動産には、区分建物(マンション1室や1棟アパート)、戸建てなどがあります。

区分建物(マンション・アパート)

区分建物とは、マンションやアパートなど1つの建物に独立した複数の部屋が設けられている建物のことを指しています。

マンションやアパートなどの区分建物を販売する不動産会社には、住むことを主な目的とした「住居用」を販売する不動産会社と、賃貸に出して家賃収入を得ることを目的とする「収益用」を販売する不動産投資会社があります。

マンション投資やアパート投資では、各部屋を賃貸に出し、入居者から得られる家賃収入を返済資金や税金の支払い、建物の維持管理費などに充て、残ったお金が利益となります。

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戸建て

戸建てとは、一軒家のことを指します。戸建てにも「住居用」と「収益用」がありますが、マンションやアパートの一棟投資と比べると年間の収入(家賃収入)は低くなります。

ただし、運用期間中の収益物件の維持管理費用は、マンションやアパートでの一棟投資よりも安くなるなどの特徴があります。

また、戸建て投資では、仕事の転勤で住宅を一定期間使用しなくなった際、その期間だけ他の人に賃貸する形で行なわれるケースもあります

2.金融資産とは

金融資産とは交換価値のある資産です。投資対象となる金融資産には、株式、債券、投資信託などがあります。

2-1.株式

株式とは、企業に対して資金を提供してくれる出資者に発行する有価証券のことです。株式を取得すると、その企業の株主になることができます。

企業は出資を受けた資金で事業活動を行ない、収益を上げていきます。その後、事業活動で得た収益の一部を配当という形で出資者に還元する仕組みになっています。

投資家は企業の株式を取得し、その企業の株主になると、配当金を貰えたり、取得時よりも株価が上昇すれば売却益を得たりすることができます。

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2-2.債券

債券とは、国、公共団体、企業などが資金調達を目的として発行する有価証券のことです。

出資者は、債券を購入する際に発行機関に対して資金提供を行ないます。その後、決められた日に、上記の発行機関が額面全額を出資者に払い戻すという流れが基本的な仕組みです。

出資者は、資金提供から払い戻しまでの期間に上記の発行機関から一定の利子を受け取ることができます。この利子の受け取り分が債券投資による収入になります。

債券の種類には、国が発行する国債、公共団体が発行する地方債、企業が発行する社債などがあります。また、国債の中には、個人だけが購入できる個人向け国債などもあります。

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2-3.投資信託

投資信託とは、投資家の代わりに資産運用の専門家が取引を行ない、そこから得られた収入が投資家に還元される金融商品をいいます。

複数の投資家から提供を受けた資金を一つにまとめた上で、各資産に投資をしていくのが特徴です。株式や債券への個別投資よりも分散投資がしやすく、リスク低減にも繋がります。

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3.現物資産投資のメリット

現物資産を使った投資には、「長期運用がしやすい」「価格変動リスクが少ない」「インフレに強い」「老後資金や税金対策につながる」などのメリットがあります。詳しく見ていきましょう。

3-1.長期運用がしやすい

現物資産に投資すると、長期的な運用を実践しやすくなります。例えば、金は世界中で希少性の高い資産として扱われており、普遍的な価値を持っています。金市場も大きく、価格の大きな変動も少ないのが特徴です。

また、株式とは異なる値動きをする傾向にあるため、金に投資することでリスクを抑えながら資産運用を行うことが可能です。

マンションやアパート投資では、入居者がいれば定期的な家賃収入が期待でき、長期的に運用することで売却益(譲渡所得)に対する税率の面でもメリットがあります。仮に一時的な市況の変化によって不動産価格が下落した場合においても、入居者の賃貸ニーズが損なわれない限りは収入が得られる点も長期投資に向いた特徴と言えます。

3-2.急落するリスクが少ない

金、銀、プラチナなどの貴金属は、希少性と世界共通の価値があるため、一定の需要があります。そのため、経済状況が悪くなったり、信用不安が起こったりした場合でも、価格に大きな影響が出にくいのがメリットです。

不動産の場合、経済状況の変化によって地価が下落するケースもあります。しかし、土地の価値がゼロになるケースは少なく、不動産投資をする場合においても価格下落リスクは金融資産と比べて限定的であると言えます。

3-3.インフレに強い

インフレとは、世の中にあるモノの価値が相対的に上がることを指します。例えば、現金貯金の場合、モノの価値が上がれば、お金の価値は相対的に下がります。一方、金や不動産は、世の中の物価上昇とともにその価格も上がっていく特性があるため、現物資産はインフレ対策としても活用されています。

3-4.老後資金や税金対策につながる

現物資産の中でも金や不動産は長期的に収入を生み出してくれるという特徴があります。特に不動産投資では、定年退職後も継続的に一定の収入を期待できるので、老後の生活費対策にもなります。

また、相続時には現金資産で保有するよりも不動産で保有したほうが、相続税の課税額を低くすることができるので、税金の支払いを少なくすることも可能です。

4.現物資産投資のデメリット

現物資産投資には、「保有コスト」「収入を得る方法」「資産の流動性」「災害リスク」などのデメリットや注意点があります。詳しく見ていきましょう

4-1.保有コストがかかる

現物投資の中でも不動産投資は、収益物件の保有コストが高くなります。収益物件が一棟マンションやアパートの場合、修繕やリフォーム費用、業者への業務委託費用、火災保険料などを定期的に負担する必要があります。

このほか、一棟投資をする場合に限らず、物件を保有する際は固定資産税を毎年支払う必要があります。

4-2.下落リスクがある

貴金属や不動産は急落するリスクは少ないものの、下落するリスクはあります。特に不動産は年数の経過により建物は劣化し、価値も徐々に下がります。また周辺環境の変化によって、空室が多くなれば家賃収入が減るリスクもあります。

4-3.流動性が低い

不動産は、金融資産と比較して売却までの時間がかかります。不動産を売却するには、通常、不動産会社を通じて購入希望者を見つける必要があり、その間、売却価格の相場調査や不動産査定、媒介契約の締結、販売活動、内覧対応などの様々な手間と時間がかかります。金融資産と比べて流動性が低く、短期間で換金できない点に注意が必要です。

4-4.災害リスクがある

不動産投資をしている期間は、地震や火災などの災害で収益物件が一部損壊または全壊するリスクもあります。火災保険による補償で建て替えができたとしても、災害の不安から入居者を募集しにくくなるなどのケースもあります。

5.金融資産投資のメリット

金融資産投資の主なメリットは、「少額から始められる」「ハイリターンを狙える」「分散投資がしやすい」「流動性が高い」などが挙げられます。詳しく見ていきましょう。

5-1.少額から始められる

金融資産を使った投資は、少額資金から始められます。投資信託の場合、SBI証券SBI証券やLINE証券などのネット証券では100円から購入できる商品も提供されています。

また、株式も1株数百円から購入できてTポイントでも株が買えるネオモバや、100円から購入できてdポイントが株が買える日興フロッギーといった少額で始められる株式投資サービスも多くあります。また、債券も個人向け国債などは1万円程度から購入可能です。

このように、金融資産投資は少額での投資が可能なことから投資初心者でも手軽に始められるのがメリットです。

5-2.ハイリターンを狙える

金融資産の中でも、株式投資などは高い利益を狙えるのが特徴です。今後の成長が期待できる割安株を購入後、その企業が急激な成長を遂げれば、株価も急騰するので大きな値上がり益を得ることも可能です。

5-3.分散投資をしやすい

株式投資は高い利益を狙いやすい反面、リスクも高くなります。一方、債券投資は期待できる利益は低いですが、その分リスクも低くなります。また、投資信託は利益もリスクも株式と債券の中間くらいに位置します。

このように、金融資産と一口にいっても投資で得られる成果の程度は様々です。そのため、金融資産は投資目的に応じて投資対象を選択しやすく、さらに少額なので様々な金融資産を組み合わせてポートフォリオを組むことが可能です。

5-4.流動性が高い

不動産を売却して現金化するのに数ヶ月を要する場合がある一方、投資信託は解約の注文を出してから数日程度で換金できます。

また、株式も値上がりしやすい人気銘柄などは、取引が即日で成立します。このように、金融資産は現物資産と比べて流動性が高いのが特徴です。

6.金融資産投資のデメリット

金融資産を使った投資には、「急落リスク」「インフレ対策」「リターン面」「運用コスト」の点でデメリットや注意点があります。詳しく見ていきましょう。

6-1.急落するリスクがある

金融資産の中でも株式は、経済状況の悪化や経営の失敗等により株価が急落する可能性があります。また、株式を発行している上場企業が倒産すれば、その株式は無価値になることもあります。

6-2.インフレに弱い場合もある

株式や不動産はインフレ対策に向いた資産ですが、債券はインフレ対策として不向きであると言えます。インフレ(物価上昇)が一定のレベルを超えると、インフレを抑えるため金利が上昇し、その結果、債券価格は下落する傾向があります。

6-3.リターンが低い場合もある

株式投資はハイリターンを狙える方法ですが、投資信託や債券投資は短期で大きな利益を狙うのには向きません。

また、投資信託は後述するように様々なコストがかかるので、手数料の安い証券会社や商品選びもポイントになってきます。

6-4.運用コストがある

金融資産の中でも投資信託は、資産運用のプロが本人に代わって投資を行うため、様々な手数料(コスト)が発生します。

購入時には「購入時手数料」、運用期間中は「信託報酬」、換金時(売却時)には信託財産留保額などのコストが証券会社や商品によって発生します。

まとめ

現物資産は種類にもよりますが、投資リスクが低く、長期運用をしやすい反面、得られる利益が少なく、資産の流動性も低い傾向があります。一方、金融資産は大きな利益が狙え、資産の流動性は高い反面、投資リスクが大きいなどの特徴があります。

現物資産と金融資産を投資対象として見た場合、どちらもメリット・デメリットがあります。投資を始める際は、現物資産と金融資産の違いをしっかりと把握した上で、投資目的に合った商品を選ぶことが大切です。

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