投資信託はどう選ぶべき?現役ファンドマネージャーに聞いた5つの比較ポイント

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日銀の長期にわたる低金利政策を受けて、円預金の利子がほとんどなくなり、資産運用ニーズが高まってきています。中でもポピュラーな資産運用手段の一つである投資信託には、「資産運用といえば投資信託」というイメージを持つ人もいるでしょう。

そこで、投資信託に興味がある方や、「銀行や証券会社から投資信託をセールスされたけれど、どのように判断したらよいか分からない」という経験をお持ちの方に向けて、今回は投資信託の選び方についてお話ししたいと思います。

目次

  1. 投資信託を始める前に確認しておきたいポイント
  2. 投資信託を選ぶ際の5つのポイント
    2-1.信託報酬などのコスト
    2-2.投資信託の運用手法
    2-3.投資対象資産
    2-4.為替リスク(外国資産を扱うファンドの場合)
    2-5.ファンドの運用成績
  3. まとめ

1.投資信託を始める前に確認しておきたいポイント

投資信託は預金と違い元本保証ではありません。そして、取ったリスク量とリターンはおおむね比例します。したがって、まず自分が取れるリスクの範囲を把握するため、投資の目的を明確にすることが大事です。

それぞれの置かれている環境(年齢・家族構成・給料)と将来設計を考慮しながら、適切な投資プランを立てることから始めましょう。下記にいくつか具体的な例を挙げてみます。

  • 30年後の老後資金に向けて長期運用をしたい。
  • 10年後に子供の教育資金の一部充当したいから安定的に運用したい。
  • 当面使う予定のない資金だから、大きなリターンを狙いたい。
  • 今纏まった資金が用意できないがとりあえず少額から始めてみたい。

これらあらゆるニーズに対応すべく沢山の投資信託が取り揃えられているのですが、数が多過ぎて選ぶことが難しくなってしまっています。「ファンドの内容は良く分からないけど、投資信託はプロが運用しているから大丈夫だろう」という安易な考えで購入するのではなく、自分に合った商品を探すようにしましょう。

2.投資信託を選ぶ際の5つのポイント

実際に購入する投資信託を選ぶ際に検討すべきポイントについて見ていきます。

2-1.信託報酬などのコスト

投資信託には主に販売手数料・信託報酬・解約手数料の3つのコストがあります。この中で一番重要なのは信託報酬になります。販売手数料・解約手数料は、その名の通り購入/売却時に掛かる手数料で、それぞれ一回ずつ徴収されるものとなりますが、信託報酬は保有期間中毎年掛かる手数料となり、運用資産の中から自動的に差し引かれます。

基本的には信託報酬が低い商品を選びたいところです。しかし、これは次にご説明する投資信託の運用手法の関係上、一概にそうとも言い切れないのです。

2-2.投資信託の運用手法

投資信託の主な選び方として、過去の運用成績と信託報酬を見比べて、ベンチマークを上回ることを目指すアクティブ運用か、ベンチマークに沿った値動きを目指すパッシブ運用かを選択する、というものがあります。

良いアクティブファンドの見分け方のコツは、ベンチマークが右肩上がりの時にしっかりと上回る成績が出せているかどうかです。多くのアクティブファンドマネージャーは高度な運用手法に基づいてリスクを計算しながら運用しているため、ベンチマークが下がる局面では、リスクヘッジが効果を発揮してベンチマーク以上の成績になることが多くなります。

ポイントはベンチマークが右肩上がりの時にどれだけ大胆にトレンドに追随出来るかで、この点がファンドマネージャーの力量にかかわってくると言えます。

※パッシブ運用…運用目標とされるベンチマーク(国内株式型の場合、TOPIXや日経平均
株価など)に連動する運用成果を目指すタイプ。信託報酬は低め

※アクティブ運用…運用目標とされるベンチマークを上回る運用成果を目指すタイプで、信託報酬が高い

2-3.投資対象資産

何に投資をするのかは人それぞれの投資プランに基づいて選択すべきものですが、資産によってリスクが異なることを念頭に入れておきましょう。下記に一般的な資産ごとのリスクを順位付けしておきますので、参考にしてみて下さい。

ちなみに、外国資産への投資といっても、先進国と比べて新興国ではリスクが大きくなります。自分で複数の投資信託を直接購入して分散投資を考慮したポートフォリオを構築しても良いですし、元々いくつかの資産をミックスしたバランス型投資信託を購入するという手段もあります。

【リスク小⇒⇒⇒リスク大】
日本債券⇒外国債券⇒国内リート⇒海外リート⇒日本株式⇒外国株式

※リート(REIT)…不動産への投資を行い、そこから得られる賃貸料収入や不動産の売買益を原資として投資者に配当する商品

2-4.為替リスク(外国資産を扱うファンドの場合)

外国の資産に投資するファンドを選ぶ時には、為替ヘッジが“あり”か“なし”かを確認しましょう。

米国債券取引を使って簡単に説明すると、為替ヘッジなしの場合、購入した債券価格はドル価であるため、ドル円レートによって円換算額が変動します。米国債券購入時のドル円レートが120円で、最終円転時のレートが100円だった場合、為替レートだけで20%程度の損失が出ることになります。

逆に利益になる場合もあるのですが、いずれにしてもかなり変動が大きくなってしまいます。為替ヘッジは非常に高度なスキルが求められるので、できればしっかりとした為替運用を行っている専門部隊が存在する運用会社のファンドを選ぶのが望ましいでしょう。

次に為替ヘッジありの手法について解説します。これは米国債券の円換算額が変わらないように購入と同時にドル円を売ってしまい、ヘッジコストと言われる手数料を最終円転時まで払いながらレートの変動を抑えようとする方法です。

しかし、このヘッジコストが世界的低金利によるイールドカーブ(利回り曲線)のフラット化(短期金利と長期金利の差が小さくなること)の影響を受けて近年高騰しており、為替ヘッジをつけてしまうと、リターンが殆ど得られないケースが増えてきているのでご注意下さい。

2-5.ファンドの運用成績

これが最後の決め手となります。確認すべきポイントを順番に説明します。

  1. 純資産総額がある程度の規模(30億円)以上かつ、右肩上がりで増え続けているファンドは推奨できます。純資産総額がまさにファンドの価値そのものを表しているとも言えるからです。
  2. 基準価額については、余り気にしなくても問題ありません。株価のように安く買って高く売るという意識があるかもしれませんが、基本的に基準価額の高低は、そのファンドの割安・割高には関係しません。例えば解約が多いファンドの場合、受益権の口数が少なくなるため、純資産残高が下がる一方で基準価額は上がる、ということがよくあります。
  3. リターンと標準偏差を類似ファンドと比較してみましょう。基本的には大きなリターンを期待するのであれば、標準偏差も大きくなることは仕方のないことですが、投資プランに合ったリスクバランスを検討しましょう。
  4. リターンについては検証期間が長ければ長いほど良好です。仮に運用期間が短かった場合、少なくとも一つは大きなリスクイベント(直近ではコロナウィルス等)があった時の成績が含まれているファンドを検証しましょう。
  5. 標準偏差についてはドローダウン(過去成績が一番落ち込んでいる箇所)がどの程度となっているかが重要です。アクティブファンドを選択した場合はドローダウンに加えて、ベンチマークが右肩上がりの時に成績が上回れているかも確認しておきたいポイントです。

まとめ

基本的に、投資信託は債券投資と株式投資の中間位のリスクです。更に小口から購入可能ですし、積み立て投資もできます。また、高度な投資・金融知識は不要で、自分の大まかな投資プランを立てるだけで実際の運用はプロが行ってくれることから、投資を始めようとされている方にとって取り組みやすい商品です。

今回ご紹介したポイントを参考に自分の目的に合った投資信託を選んでみてはいかがでしょうか。

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HEDGE GUIDE 編集部 投資信託チーム

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