再建築不可の土地・建物を高く売却する方法は?再建築可にする手順と注意点

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再建築不可の土地や物件は、その特性上売却するのがなかなか難しいものです。売却したいとは思うものの、難易度の高さから諦めてしまっている方も少なくないのではないでしょうか。

しかし、再建築不可の土地であっても法律上の基準をクリアできれば、再建築不可となっているハードルを解消することができます。

この記事では、再建築不可となっている土地は法律のどんな部分に抵触しているのかといったポイントや、売却の難易度を下げるためにできることなどについて解説します。

目次

  1. 再建築不可の土地とはどのような土地?
    1-1.接道義務の基準をクリアできていない
  2. 再建築不可の土地の売却価格はいくらぐらい?
  3. 再建築不可の土地を再建築可に変更する方法
    3-1.セットバックすることによって接道している道路の幅を広げる
    3-2.隣地を買い取ることによって道路と接している面を作る
    3-3.隣地の一部を借りることによって道路と接している面を作る
    3-4.土地と接する位置指定道路を作る
  4. 再建築不可の土地を更地にするのは避けた方がいい
  5. 再建築不可の更地をできるだけ価格を下げずに売却するためには
  6. まとめ

1.再建築不可の土地とはどのような土地?

再建築不可の土地とは、建築基準法上の基準を満たしていない土地のことです。法律上、建物を建てても良い土地とそうでない土地との区別がされており、再建築不可の土地には新たな建物を建てることが出来ません。

このような再建築不可の土地は活用できる手段が限られてしまうため、売却することが難しいとされています。

再建築不可の土地とはどのような土地を指すのか見て行きましょう。

1-1.接道義務の基準をクリアできていない

建築基準法には、以下のように建物の「接道義務」が定められています。

建築基準法 第43条:建築物の敷地は、道路(中略)に二メートル以上接しなければならない。

※引用:建築基準法電子政府の総合窓口 e-Gov

この接道義務の法律は、緊急時に救急車両などが通るために必要となる道路の幅を確保するため定められている基準です。わかりやすく言うと「建物が建つ敷地は、建築基準法で認められた幅4m以上の道路に、2m以上接していなければならない」ということになります。

この基準を満たしていない土地には、新たに建物を建てることができません。例えばすでに建物が建っていたとして、火災にあって建物が滅失してしまった場合でも、同じく建物を建てられないことになります。

つまり、再建築不可の土地は、そのままでは土地の用途が建物を必要としないものに限られてしまうのです。では、具体的にどのような土地が基準をクリアできていないと言えるのでしょうか。

接している道路の幅員が4mに満たない土地

土地の広さが十分でも、土地が接している道路の幅が4mに満たない場合は再建築不可の土地となります。

入り口だけが狭まっている土地

いわゆる「旗のような形をした土地」がこれにあたります。

道路に接していない土地

周囲を別の所有者が所有する土地に囲まれているために、道路と接していない土地も再建築不可の土地となります。

2.再建築不可の土地の売却価格はいくらぐらい?

再建築不可の土地は、その用途がかなり限定されることから、通常の土地と比較すると売却価格が下がります。具体的には周辺相場の50%〜70%前後になる傾向があります。なお、築年数が経過した建物が建っている場合には50%を下回ることもあります。

また、用途が限定される以外にも、ローンの審査が通りにくいなどのデメリットがあります。ローンの審査が厳しくなるのは、再建築不可の土地はその他の土地と比較して担保評価が低くなるためです。

金融機関のローン審査が通らない場合、現金での購入を希望する買主に限られるため、希望価格での売却が難しくなったり、売却活動が長期化する可能性が高くなります。

3.再建築不可の土地を再建築可に変更する方法

再建築不可の土地を再建築可にする方法があります。まずは、なぜ再建築不可となっているのか、その理由を確認することが重要です。役所の担当窓口に問い合わせてみましょう。理由によっては複数の方法を検討することができます。

3-1.セットバックすることによって接道している道路の幅を広げる

再建築不可となっている原因が「接している道路の幅員が4mに満たない」ことにある場合は、接している道路の幅員を4m以上に広げればその原因を解消できます。

土地の一部を内側に後退(セットバック)させれば、道路の幅員を広げることが可能です。セットバックすることが可能かどうかは、不動産業者に確認してみると良いでしょう。

3-2.隣地を買い取ることによって道路と接している面を作る

土地が道路と接していないのであれば、道路と接している面を作れれば、最建築可の土地に変更することができます。この場合、隣地の所有者との交渉と隣地を買い取る費用を負担することも必要です。

ハードルはありますが、再建築可能な土地にすることができれば、土地の売却に関する難易度を下げることができます。隣地所有者と事情を説明したうえで交渉し、取得に必要な費用を差し引いた売却益の計算をしてみましょう。

3-3.隣地の一部を借りることによって道路と接している面を作る

隣地の買い取りが難しい場合、隣地の一部を借りること(借地権)によって接道面を増やし、再建築可に変更することができます。隣地の地主が売却に応じない、価格が高く購入できない場合には借地権の交渉を検討してみましょう。

3-4.土地と接する位置指定道路を作る

セットバックや買い取りなどのほか、隣地所有者との交渉により「位置指定道路」を作るという方法もあります。

位置指定道路とは、行政ではなく民間の所有者が整備した道路のことを指します。言い換えると、行政に届け出ることによって道路と認定された私道のことです。

なお、通ることが出来ればどんな道路でも認定されるわけではなく、特定行政庁(都道府県知事や市町村長等)から「土地のこの部分が道路である」という指定を受ける必要があります。

なお、ケースによっては道路が周辺土地所有者との共有物になることがあります。共有の道路を作るためには各土地の所有者との交渉が必要となります。

また、道路を作った後のメンテナンスや費用負担を持ち回りなどで行う必要がある点には注意が必要です。

4.再建築不可の土地を更地にするのは避けた方がいい

既存の建物が建ったままの状態で再建築不可になっている土地もあります。建物が建っているままの状態であれば、建物自体のリフォームやリノベーションによって価値を上げられます。しかし、一度建物を取り壊してしまうと、この方法を取ることはできません。

再建築不可の土地においてはよほど建物が老朽化していて危険などの事情がない限り更地にするのは避け、慎重に検討するようにしましょう。

なお更地にした再建築不可の土地はそのまま売却に出すのではなく、セットバックや隣地の買い取りなどを先に検討すると良いでしょう。

5.再建築不可の更地をできるだけ価格を下げずに売却するためには

セットバックや隣地の買い取りなどが難しいのであれば、更地のまま売却するのもやむを得ないでしょう。この場合は、まず隣地の所有者に打診してみると良いでしょう。

再建築不可の状態を改善できないまま売却するのは難しく、相場よりもかなり価格が下がってしまうこともあります。無関係の第三者にとっては価値を見出しづらい土地でも、隣地の所有者が取得したい土地の場合は価格の下落を避けられる可能性があります。

または、再建築不可の土地を取り扱う実績の多い不動産業者に相談してみましょう。なかには、再建築不可の土地を生かすノウハウを持った不動産業者もいます。立地などの条件が良ければ、これもある程度価格の下落を避けられる可能性があるでしょう。

5-1.再建築不可の土地・物件の売却相談ができる不動産会社を探す

再建築不可の土地を売却する場合は、同じようなケースで売却に成功した実績を持つ不動産会社を探してみましょう。再建築不可の対応実績がない不動産会社の場合、複雑な建築基準法の知識が乏しかったり、隣地の地主との交渉に慣れていない可能性があるためです。

再建築不可のような少し特殊な土地の売却では、不動産一括査定サービスを利用し、複数の不動産会社へ同時に問い合わせると良いでしょう。

不動産一括査定サービスとは、不動産情報を査定サイトに登録すると複数の不動産会社から査定結果を受けと入れるサービスのことです。このようなサービスを利用することで、再建築不可の不動産売却実績がある不動産会社を効率的に探すことが可能です。

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不動産一括査定サービスは、利用するサイトによって登録している不動産会社が異なります。再建築不可の不動産売却を真剣に検討する場合は、その他の一括査定サービスとも比較しつつ検討すると良いでしょう。

まとめ

再建築不可の土地は融資条件が厳しくなり購入希望者が少なくなるため、売却価格が相場よりも大幅に下がってしまう傾向があります。再建築不可の土地を売却するためには以下のような方法を検討しましょう。

  • 土地をセットバックする
  • 隣地を買い取るもしくは隣地の一部を借りる
  • 土地と接する位置指定道路を作る

再建築不可の状態のまま売却せざるを得ないのであれば、隣地の所有者またはノウハウを持っている不動産業者に売却を打診してみましょう。売却実績が豊富な信頼できる不動産会社を見つけることで、そのまま売却に出すよりも価格の下落や売却期間の長期化などを避けられる可能性があります。

再建築不可の不動産は、そうでない不動産と比較して売却のハードルは高くなります。しかし、再建築不可物件でも希望価格に近い売却に成功されている事例もあります。

この記事を参考にぜひ諦めず、再建築不可の不動産売却を目指してみてください。

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HEDGE GUIDE 編集部 不動産投資チーム

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