寄付やふるさと納税をして寄付金控除の適用を受ける場合、確定申告をしなければならないのが原則です。
以前は、確定申告会場に出向くなど面倒な手続きが必要だった確定申告ですが、近年、デジタル化が進み、スマホで行うこともできるようになりました。
この記事では、寄付金控除の確定申告をスマホでできる人の対象範囲を確認し、その方法と手順について解説します。
※記事内の税金・税率などは2021年6月時点の情報となります。最新の情報については、国税庁などのサイトをご確認のうえ、税理士などの専門家へのご相談もご検討ください。
目次
- スマホで確定申告できる人の範囲と方法
1-1.スマホで確定申告できる人の範囲
1-2.スマホで確定申告を行う方法 - マイナンバーカード方式かID・パスワード方式で寄付金控除の確定申告をする手順
2-1.寄付金控除の対象かどうかを確認し、受領証や領収書を取得
2-2.マイナンバーカードあるいはID・パスワードの取得
2-3.確定申告書等作成コーナーにアクセス
2-4.マイナポータルAPをインストール(マイナンバーカード方式の場合)
2-5.源泉徴収票や寄付金控除の情報を入力し、申告書を作成
2-6.作成した申告書に電子署名をおこなって送信する
2-7.受付結果を確認し送信票を保存、添付書類がある場合別途郵送する - まとめ
1.スマホで確定申告できる人の範囲と方法
寄付金控除の確定申告をスマホで行う前に、自分がスマホで確定申告できる対象範囲に含まれているのか、を確認しましょう。
また、スマホを利用して確定申告をする方法は、主に3種類あります。方法によっては事前準備に手間や時間がかかることもあります。状況に応じた方法を選ぶようにしましょう。
1-1.スマホで確定申告できる人の範囲
スマホで確定申告できる人は、収入が給与所得、雑所得(公的年金等を含む)、一時所得のいずれかに該当する人である必要があります。サラリーマンや公務員など給与所得者の場合、2か所以上でもスマホで申告可能です。
サラリーマン以外の副収入がある人であっても、事業所得といえる規模でなければ通常は雑所得とされるため、スマホ申告は可能です。その他、保険金や懸賞金などの一時所得があった人もスマホで申告することができます。
しかし、不動産所得や事業所得がある人は、スマホで申告することはできないので注意しましょう。所得控除については、すべての控除に対応しており、上述の収入条件を満たしている人であれば、寄付金控除の確定申告をスマホで行うことが可能です。
1-2.スマホで確定申告を行う方法
スマホで確定申告を行う方法には、大きく3つの方法があります。
- マイナンバーカード方式(e-Tax)
- ID・パスワード方式(e-Tax)
- スマホで作成した確定申告書を紙ベースで印刷して郵送
まず、e-Taxを利用して電子申告による確定申告を行う方法として、2種類の方法があります。
1つは、マイナンバーカード方式といって、マイナンバーカードによって本人認証をおこなってe-Taxによって送信する方法です。
2つ目は、マイナンバーカードを持っていない人が、税務署でID・パスワードを取得して、そのID・パスワードによって本人認証を行い、e-Taxによって送信する方法です。
3つ目の方法は、スマホで作成した確定申告書を紙ベースで印刷して郵送する方法になります。
印刷するのは手間がかかるため、通常はe-Taxを利用した電子申告の2つの方法のうちのいずれかを選択することが多いでしょう。ただし、その場合にも添付書類を別途郵送しなければならないケースもあります。
2.マイナンバーカード方式かID・パスワード方式で寄付金控除の確定申告をする手順
寄付金控除を受ける際は、確定申告を行うことが原則になっています(ただし、一定要件を満たすふるさと納税の場合は、ワンストップ特例により確定申告をせずに寄付金控除を受けることが可能です)。
そこで、寄付金控除を受けるために、スマホで確定申告を行う方法のうち、前述のe-Taxを利用して電子申告を行う2種類の方法について、手順を解説していきます。
2-1.寄付金控除の対象かどうかを確認し、受領証や領収書を取得
寄付金控除を受けるには、控除対象となる団体へ寄付していることが条件になります。寄付をおこなった団体が、所得税の所得控除を受けられる団体であるかどうかを確認しましょう。
そのうえで、寄付をした団体などから、寄付の受領証や領収書の交付を受けます。寄付金を受領した法人の名称、受領した旨、寄付金額、受領年月日、寄付金控除(寄付金税額控除)の対象であること、が記載してあるかどうか、を確認しましょう。
スマホによる電子申告で寄付金控除の適用を受けるには、受領証や領収書を5年間保管し、税務署から提示を求められたときは応じる必要があります。
なお、確定申告の際には、その年のすべての所得を示す書類が必要になります。給与所得がある人は給与所得の源泉徴収票、副収入がある人はその収入や経費が分かる書類などを準備しましょう。
【関連記事】寄付金控除に領収書は必要?確定申告のポイント5つ解説
【関連記事】寄付金控除となる対象団体は?金額の上限や申請手順も解説
2-2.マイナンバーカードあるいはID・パスワードの取得
スマホによる電子申告で確定申告を行うには、マイナンバーカードあるいはID・パスワードを取得しておくことが必要です。
マイナンバーカードを持っていない人は、住民票のある市区町村から「マイナンバーカード交付申請書」が送付されて来ているので、確認してみましょう。
申請書のQRコードにアクセスし、必要事項を入力の上スマホで撮影した顔写真を添付して送信することで交付を受けることができます。スマホによる方法以外には、パソコンでWEBサイトにアクセスするか、あるいは郵送による申請なども可能です。
スマホによっては、マイナンバーカード方式に対応していない機種もあります。その場合、ID・パスワードを取得します。ID・パスワードは、近隣の税務署で本人確認書類を提示することで、発行を受けることができます。
平成30年以降に確定申告会場などでパソコンにより申告書を作成して提出している場合、すでに「ID・パスワード方式の届出完了通知」が発行されているので、該当する人は以前の確定申告書の控えを確認してみましょう。
2-3.確定申告書等作成コーナーにアクセス
寄付金控除の受領証などの書類、マイナンバーカードあるいはID・パスワードの準備が整ったら、いよいよ実際の確定申告手続きになります。
まずは、税務署に提出する確定申告書の作成を行います。スマホで「確定申告書等作成コーナー」にアクセスしましょう。「マイナンバーカード方式」あるいは「ID・パスワード方式」のいずれかを選びます。
「ID・パスワード方式」の場合、「ID・パスワード方式の届出完了通知」に記載されている利用者識別番号と暗証番号を入力してe-Taxにログインします。
2-4.マイナポータルAPをインストール(マイナンバーカード方式の場合)
マイナンバーカード方式による場合、マイナンバーカードを読み取るためにマイナポータルAPのインストールが必要になります。
マイナポータルAPをインストールしたら、マイナンバーカードをスマホにかざして読み取ります。マイナンバーカード情報を読み取った後、利用者証明電子証明書のパスワードを入力することでe-Taxにログインできます。
2-5.源泉徴収票や寄付金控除の情報を入力し、申告書を作成
利用者情報、住所、所轄税務署などの基本情報の確認後、源泉徴収票や寄付金控除などの所得や所得控除情報を入力していきます。
サラリーマンの人が寄付金控除を受ける場合、源泉徴収票と寄付金控除の項目で情報を入力することになります。その他、2か所給与があるなどで年末調整済でない源泉徴収票がある場合、生命保険料控除などの項目の入力が必要となることがあります。
所得や所得控除情報の入力を終えたら、所得税額の計算結果とともに申告内容を確認しましょう。「帳票表示・印刷」画面にて確定申告書の内容をデータで確認することができます。
2-6.作成した申告書に電子署名をおこなって送信する
確定申告書を作成したら、電子署名をおこなって送信します。マイナンバーカード方式の場合、マイナポータルAPを実行してマイナンバーカードを読み取り、署名用電子証明書のパスワードを入力することで、電子署名を行います。
そして、電子署名をしたデータを利用者証明用電子証明書のパスワードを入力することで、e-Taxに送信するという流れになります。
ID・パスワード方式の場合、e-Tax用のパスワードを入力することで電子署名と送信を行うことができます。
2-7.受付結果を確認し送信票を保存、添付書類がある場合別途郵送する
確定申告書を送信した後は、正常に受け付けられたかどうか、受付結果を確認しましょう。「送信票兼送付書等印刷」を行い、送信した確定申告書をPDFファイルで保存しておくようにしましょう。
別途添付して郵送しなければならない書類がある場合、「送信票兼送付書」の一覧表に表示されます。確認し、別途書類を準備して郵送するようにしましょう。
まとめ
スマホで確定申告できる人の範囲は限られています。寄付金控除の確定申告をスマホで行う際は、まず、自分が対象となっているかどうかを確認しましょう。
マイナンバーカード方式、ID・パスワード方式による電子申告では、事前にマイナンバーカードを取得したり、ID・パスワードの発行を受けたりする必要があります。
スマホを利用してe-Taxによる確定申告で寄付金控除を行う手順は、寄付金の受領証や領収書、その他の必要書類を用意することから始めます。マイナンバーカードあるいはID・パスワードも取得しておくようにしましょう。
スマホでの操作手順は、確定申告書等作成コーナーにアクセスし、確定申告書を作成し、電子署名をおこなって送信するという流れになります。マイナンバーカード方式による場合は、途中でマイナポータルAPを起動して、マイナンバーカードを読み取り、認証を行う必要があります。
確定申告書を送信した後、受付結果を確認し、送信データを保存することも忘れないようにしましょう。
佐藤 永一郎
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