地震や台風などの自然災害が日本や世界各地で発生すると、被災地では生活基盤であるインフラが寸断されたり、個人の家屋が損壊したりして、被災された人々の生活や健康が脅かされることがあります。
そのような災害時には、各種団体を通じて義援金の募集がなされることがあります。一方では、各種団体では寄付金(支援金と呼ばれることもあります)の募集もしています。寄付と義援金ではどのような違いがあるのでしょうか。
この記事では、災害支援における寄付と義援金の違いについて、その特徴や使い道を比較してみていきます。
目次
1.災害支援における寄付と義援金の比較
災害支援において、寄付と義援金の違いには大きく分けて下記の3点が挙げられます。
- お金の受取先
- お金の使用方法
- 被災地にお金が届くまでの時間
1-1.お金の受取先の違い
義援金は、日本赤十字社や中央共同募金会といった団体が窓口となって募集しますが、お金の最終的な受取先は被災地の個人になります。これに対して、寄付金は、寄付金を募集している各機関や非営利団体そのものが受取先になります。
被災した人々個人に直接お金を届けたい場合は義援金、被災地を支援する団体にお金を渡したい場合は寄付、という方法を検討してみると良いでしょう。
1-2.お金の利用方法の違い
寄付と義援金ではお金の受取先が異なるため、その利用方法も異なることになります。
寄付金の場合、受け取った機関や団体がそれぞれの判断によって、救護活動やインフラ整備などの復旧活動に利用され、それぞれの機関や団体がその収入と支出を公表します。
一方、義援金は、募集した団体は受付窓口であり、集められた義援金は各被災都道府県に設置された「義援金配分委員会」に送金します。送金された義援金は、委員会で決定された配分に基づいて対象市町村に送金し、市町村から被災した個々人に届くことになります。
このように、義援金は基本的に被災した個人が直接利用することになりますが、個人が義援金をどのように利用したかは明らかにはなりません。
どのような目的のためにお金を利用したかを知りたい場合や、具体的に利用してほしい目的が決まっている場合は、利用使途が明確にわかる機関や団体に寄付することを検討しましょう。
一方、利用方法が分からなくても、被災地の人々個人に直接お金が届く義援金では、お見舞いや応援の気持ちが伝わりやすい側面もあるといえるでしょう。
1-3.被災地に届くまでの時間の違い
寄付では、お金を受け取った機関や団体が使い道を判断と責任によって使用するため、寄付されてから比較的早く被災地に届くといえるでしょう。
一方、義援金はいったん配分委員会に預けられ、被災者数などの正確な情報を把握した後、各被災地にどのように配分されるかが決定されます。配分が決定した後も、個々人に届くには個々人が申請する手続きが必要になります。
お金を拠出してから被災地に届くまでのプロセスには様々な手続きが介在することになり、やや時間がかかる可能性もあります。
2.災害支援の寄付金の使途例(日本赤十字社)
寄付金を受け取った機関や団体は義援金とは異なり、その使い道をホームページなどで公表しています。日本赤十字社の例を挙げて寄付金の使い道をみていきましょう。
※引用:日本赤十字社「赤十字活動資金の使い道」
日本赤十字社は、日本や海外で災害や紛争が生じたような場面で主として医療救護活動をおこなう団体です。平時には、災害救護訓練や救援物資の備蓄、資材・機材の整備、ボランティアの育成などをおこない、災害発生時の活動に備えてます。
一方、災害発生時には、必要な救援物資を準備し、陸、海、空、様々な手段で被災地に届けます。同時に、医療救護班を送り、被災地の医療ニーズに合わせ、救護所の設置や巡回診療をおこないます。
また、このような活動報告に加えて、決算資料を確認することで集めた寄付金の額や使途を把握することが可能になっています。
※引用:日本赤十字社「令和元年度決算概要」
まとめ
災害支援において、寄付金はその寄付をした機関や団体が使い道を決め、すぐに被災地のために役立てることができます。特に役立てたい災害支援の方法があるならば、その分野の活動をおこなう機関や団体を調べるなどして、寄付をおこなうことを検討しましょう。
一方、義援金は被災地の個々人に渡され、その使い道は分からずやや時間もかかりますが、被災者の方々へ直接お金を届けることになり、お見舞いの気持ちが伝わりやすいと言えます。
特徴や使い道、被災地に届く時間に違いはあるものの、いずれも被災地の方々のために役立つことには変わりはありません。それぞれの状況に合わせて、支援の方法を検討されてみると良いでしょう。
佐藤 永一郎
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