ロシアによるウクライナへの軍事侵攻で、認定NPO法人 AAR Japan[難民を助ける会]は現地団体を通じた障害者への支援を7月から継続して実施している。知的障がい者の親でつくる2団体に、レスパイト・ケア(介護者と障がい者が一時的に離れて互いに休息を取る)にかかる費用などを提供する。
ウクライナ軍事侵攻は戦局の膠着が報じられており、ウクライナ国内に留まっている一般市民、なかでもケアが必要な障がい者の環境が懸念される。同会によると、ウクライナでは3万人以上の知的障がい者が施設で生活しており、こうした施設の多くが軍事侵攻の影響で予算が急に削られたり、安全確保のため活動を禁止されたりした。さらに、砲撃音や空襲警報、避難生活は障がい者が混乱する要因となり、その家族も含めて大変な疲労につながっているとAARは報告している。
2団体は、首都キーウにある「ジェレラ(Djerela)」と、キーウの南西約260キロのビンニツァ(Vinnytsia)市にある「オープン・ハーツ(OPEN HEARTS)」。いずれも障がい者の親の会によって運営され、長年の活動実績がある。
ジェレラはキーウとその近郊でリハビリテーションや就労支援、デイケアなどの活動を行っており、現在は180の家族を支援している。キーウでは何度も空爆があり、ブチャなど周辺地域には一時ロシア軍が進軍して地雷も残されている。こうした状況下、障がい者と介護する家族の肉体的、精神的負担も限界に達していた。このため、障がい者には安全な郊外の施設で10日間ほど休息をとってもらい、その間家族も休養するレスパイト・ケアを実施。AARは、施設滞在費や移動の費用、その間のカウンセリング費用などを提供する。
オープン・ハーツでは、自分たちの滞在施設に、戦闘の激しいウクライナ東部から避難して来た知的障がい者とその家族を受け入れている。今後も避難してくる家族の増加が見込まれることなどから、施設内に新たに6つの居室と倉庫、会議スペースを設置する。
日本外務省の海外安全情報(7月末現在)では、ウクライナは「レベル4:退避勧告」に該当するが、AAR は独自に情報収集を行い、同国中西部地域については安全を確保して短期間入域することは可能と判断。AAR職員が実際に団体を訪問し、要望を受けて支援を決定した。「紛争という厳しい状況下にある障がい者とその家族に対し今後も積極的に支援を続けていく」として、寄付をはじめ協力を呼び掛けている。AARは東京都により認定NPO法人として認定されており、寄付は控除の対象となる。
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HEDGE GUIDE 編集部 寄付チーム
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