グッドガバナンス認証制度とは?評価基準や主な認証NPOも

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非営利組織・法人を評価するグッドガバナンス認証制度は、一般財団法人非営利組織評価センターが定めた基準の審査を通過した団体に対し「信頼性」を認証する制度です。

グッドガバナンス認証制度は、非営利組織だけではなく非営利組織を支援したい個人・企業・団体に対しても支援を検討する上での基準を示す役割を担っています。

グッドガバナンス制度の認証はどのような基準で審査され、認証された非営利組織にはどのような団体があるのでしょうか?

本記事ではグッドガバナンス認証制度の概要と評価基準、認証された主な非営利組織を解説していきます。

目次

  1. グッドガバナンス認証制度とは
    1-1.グッドガバナンス認証制度の評価基準
  2. グッドガバナンス認証制度、認証された主なNPO法人3つ
    2-1.認定NPO法人プール・ボランティア
    2-2.特定NPO法人アートコラールきくがわ
    2-3.認定特定NPO法人人と動物の共生センター
  3. まとめ

1.グッドガバナンス認証制度とは

一般財団法人非営利組織評価センターグッドガバナンス認証制度とは一般財団法人非営利組織評価センター(JCNE)が実施する非営利組織・法人を評価する制度です。

ガバナンスは統治・管理・支配を意味し、JCNEでは的確な組織マネジメント力や業務遂行能力を持ち自ら統制し法令・定款に基づく組織運営を行っている法人を「グッドガバナンス」としています。

JCNEは第三者として中立な姿勢で、非営利組織からの申請に基づき認証機関として組織評価を行います。組織の「信頼性」を独自の基準で審査し、通過した際には認証します。

グッドガバナンス認証制度は、非営利組織のためだけのものではなく非営利組織を支援したいと考えている市民・企業・団体などが、信頼できる非営利組織を見つける、支援する基準となるための情報発信の役割も担っています。

認証された法人は認証証書が発行され、認証マークを広報誌やサイトで公表できます。また、JCNEでは「ベーシックガバナンスチェック」と言う23項目に基づく簡易的な組織評価制度を設け、評価結果を公開しています。

1-1.グッドガバナンス認証制度の評価基準

グッドガバナンス認証制度では組織の信頼性を一体どのように評価するのでしょうか?申請できる団体の基本的な要件は下記の3点です。

  • 特定非営利活動法人(認定・特例認定を含む)・一般社団法人(非営利型)・一般財団法人(非営利型)・公益社団法人・公益財団法人・社会福祉法人、のいずれかである
  • 機関設置型の組織で、定款に基づく役員会を設置し、理事・監事を選任している、設立後2事業年度以上を経て決算及び事業報告を行っているなどの要件を満たしている
  • 定款・役員名簿・直近年度の事業計画書・前事業年度の活動計算書(収支計算書)・役員報酬などの情報を公開している

上記に該当する団体に対し、JCNE認証事務局ではアドバンス評価・認証申請を行います。

アドバンス評価は非営利組織が目指すべき以下4つの領域について、12の項目で評価をします。

  • 学びと創造
  • 市民参加と連携・協働
  • 社会的責任と信頼
  • 自立と自律

例えば、学びと創造の領域では「社会課題の解決のために、必要に応じ、国や企業、市民等に対し提案や情報提供を行っている。」などの点が確認されます。その他、社会的責任と信頼の部分は「組織としての行動規範を明確にし、役職員は事業や組織運営において社会規範に即した倫理的な行動をしている。」を評価基準としています。

アドバンス評価の後は、書類審査を通過した団体に評価員が訪問を行います。ヒアリングや書類確認によって組織運営の状況を把握し、組織運営やガバナンスが一定水準以上のレベルの団体が審査に通過し認証を受けられます。

アドバンス評価基準(27基準)について、27全基準を満たしている、評価や審査に関わる各種方針に合致している団体は認証が付与されます。なお、JCNE事務局が「客観的な事実確認を行い、条件がクリアできる」と判断した団体は「条件付き認証」となります。

2.グッドガバナンス認証制度、認証された主なNPO法人3つ

グッドガバナンス認証を受けた団体はどのような理念を持ち活動を行っているのでしょうか?認証を受けた主なNPO法人を3つご紹介します。

  • 認定NPO法人プール・ボランティア
  • 特定NPO法人アートコラールきくがわ
  • 認定特定NPO法人人と動物の共生センター

2-1.認定NPO法人プール・ボランティア

認定NPO法人プール・ボランティアは2021年12月にグッドガバナンス認証を付与されました。1999年に設立され、大阪で「障害者も健常者も同じようにプールを楽しめる社会の実現を目的とする」ことを目的として障害者支援・リハビリ支援などを行っています。

ボランティアサービスを受ける会員は約20年の間に3000~4000人で推移しており、障害児の水泳教室では子供の個性に合わせてマンツーマンで水泳の指導をします。例えば、身体障害者やパーキンソン病患者などへのリハビリ教室、水泳大会やパラリンピック出場を目指す方への個人指導などが行われています。

代表者のメッセージ

組織的なサポート活動という点では、日本で初めての活動であり、『プール・ボランティア』という言葉も以前にはありませんでした。これからも、一人でも多くの障害を持つ人々に『楽しく安全に水と親しむ』というPVの輪を広げていきたいと考えています。今後とも、よろしくお願い申し上げます。

※引用: 一般財団法人非営利組織評価センター「グッドガバナンス認証 認証団体

2-2.特定NPO法人アートコラールきくがわ

静岡県菊川市に所在するアートコラールきくがわは、中間支援団体として市民・市民活動団体と行政・企業・学校などの協働を調整し、地域の活性化につながる活動を支援しています。

また、芸術・文化活動を通じ地域を元気にし、魅力あるまちづくりに貢献することを目的として活動されています。中間支援として菊川市市民協働センターの運営、芸術文化支援事業では詩集の展覧会開催、菊川市と共同でハロウィンイベントを開催するなどの活動も特徴的です。

代表者のメッセージ

私たちNPOは中間支援のNPOとして、地域活性化を目指し、市民や市民活動団体、企業、学校、行政をつなぐ協働の拠点として活動しております。グッドガバナンス認証にチャレンジするには小さな団体ですが、認証を得るまでの過程の中で、ミラサポから派遣された専門家や多くの方にサポートをいただきながら、自団体の取り組みを見つめ直し、基盤強化に努めることができました。これまでの経験と認証をいただいたことを糧として、協働を軸とした地域の活性化に尽力していきたいと考えております。また今後は、認証団体との交流も広げ、学んでいきたいと思っておりますので、どうぞよろしくお願いいたします。

※引用: 一般財団法人非営利組織評価センター「グッドガバナンス認証 認証団体

2-3.認定特定NPO法人人と動物の共生センター

2012年に岐阜市で設立された人と動物の共生センターは、「人と動物が共に生活することで起こる社会的課題の解決を通じて、誰もが他者を思いやることの出来る社会創りに貢献すること」を理念とし、適正な飼育の普及活動や繁殖対策の取り組みなどを行っています。

動物の殺処分問題に関するシンポジウム開催、ペット防災の普及を目的としたカレンダー作りプロジェクトなどの動物に関する支援活動を行っています。

代表者のメッセージ

当法人は2012年の設立以来、ペットとそれらを扱う人々と周囲の諸問題の解決を目指し活動してきました。人と動物という分野は、殺処分に代表されるような、直接的な命の問題を取り扱います。命の問題ですから、様々な考え方があります。 「人と動物の命の問題」関わる方々には、様々な価値観、倫理観があります。それぞれが抱く哲学、思想、宗教、文化、などが複雑に絡み合い、意見の対立を招くこともしばしばです。その寄付が、その活動が、本当に命の為に使われているのか?という支援者の疑問に、常に答え続けることを求められます。 私たちは、その問いに答える一つの方法が、組織運営・組織統治がきちんとなされていることであると考え、ガバナンスの改善に取り組み、グッドガバナンス認証の取得を目指しました。 認証の取得はスタートラインで、それを維持し続けることに価値があるものだと考えております。動物に関わる公益法人としての取得は当法人が先駆けとなりましたが、追随する団体に恥じない運営ができるよう一層気を引き締めて参ります。

※引用: 一般財団法人非営利組織評価センター「グッドガバナンス認証 認証団体

上記3つのNPO法人ではホームページに寄付金の使い道を公開しています。アドバンス評価基準の項目の1つである「個人、および法人からの寄付金の募集について、適切な情報を提供するとともに使途を明示している」を満たしている事が分かります。

寄付金の使い道の公開は、寄付をしたい方、支援を希望する方にとっても団体の信頼性を判断する基準の1つとなるでしょう。

まとめ

グッドガバナンス認証制度では、JCNEが定めたアドバンス評価基準27項目を全て満たし、非営利組織が目指すべき4つの領域に関する、12の項目をクリアし、評価員の訪問とJCNE認証事務局による判定を経て審査を通過、認証されます。

認証された団体は障害児支援や動物に関わる支援などジャンルは様々ですが、寄付金の使い道を公開しているといった基準をクリアしています。

寄付・支援を行いたい方にとって「必ず満足のいく寄付・支援ができる」とは限りませんが、認証を得ている団体ということで一定の信頼がおけ、情報収集が行いやすいという点がメリットとなります。支援先として気になる団体を見つけたら、認証を受けているかどうか確認してみるのも良いでしょう。

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田中 あさみ

経済学部在学中に2級FP技能士(AFP)の資格を取得。ライターとして不動産投資を含む投資や年金・保険・税金等の記事を執筆しています。医療系の勤務経験がありますので、医療×金融・投資も強みです。HEDGE GUIDEでは不動産投資を始め、投資分野等を分かりやすくお伝えできるよう日々努めてまいります。