ステーキングによる報酬が、米国では受け取ったタイミングでは所得税の対象とは見なされない可能性が高まった。ステーキング報酬への課税に関する裁判で、過去に徴収した税金を返還する判決が2月2日下されている。
今回の判決は、米国テネシー州に在住の夫婦に対して課税されたステーキング報酬を巡るものだ。この夫婦は、2021年5月26日にテネシー州中部地区連邦地方裁判所に対して、ステーキング報酬によって徴収された税金の返還を求める訴状を提出している。
夫婦は、2019年に所得税3,293ドルを支払ったという。これは、Tezosトークンのステーキングによって得た報酬8,876XTZを対象にしたもののようだ。夫婦の主張では、ステーキングによって得た報酬は納税者が生み出した財産であり、売却または他の暗号資産へ交換するまで課税されるべきではないとしていた。
この主張に対して米内国歳入庁(IRS)は、徴収した税金を返還する決定を行っている。これにより、米国におけるステーキングの課税ルールが明確に定まったわけではないものの、一つの参考事例として大きな意味を持つ事例になることは間違いない。
なお、今後この夫婦がステーキング報酬を売却したり他の暗号資産に交換した場合には、改めて所得税が課税されることが考えられる。
2021年12月に米暗号資産取引所Krakenが買収した大手ステーキングプロバイダーStakedによると、ステーキング業界の市場規模は約180億ドルに及ぶという。今回の判決によりステーキング報酬が所得ではなく財産であるとされたことは、ステーキング市場にとって追い風となる。
昨今、プルーフオブワーク(PoW)におけるマイニングによって消費される電力が、環境に悪影響を与えているとの指摘が相次ぎ、プルーフオブステーク(PoS)が注目を集めている。イーサリアムも、イーサリアム2.0による大型アップデートを経て、PoSへの移行が進められている最中だ。
PoSでは、マイニングに変わるネットワークへの参加方法としてステーキングが必要となる。ステーキングによる報酬が所得ではないと判断されることで、市場への資金流入が一層期待される。
【関連記事】テゾスとは?
【参照記事】Sources: In Win for Crypto Stakers, IRS Says Untraded Tokens Are Tax-Free – Blockworks
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