ふるさと納税で寄付したお金は何に使われる?自治体の取り組み事例5つ紹介

ふるさと納税は、納税者が納税資金の使い道を知ることができ、寄付先の自治体を選択することができる仕組みです。

ふるさと納税では「どのような返礼品がもらえるか?」という点が注目されやすい制度ですが、自治体の取り組み内容や事例を知っておくことで、応援したい自治体へ向けて納税するといった方法も検討することが可能です。

本記事では、ふるさと納税の使い道を知ることの意義と、寄付したお金の使い道について解説していきます。

目次

  1. ふるさと納税とその使い道を知ることの意義
  2. ふるさと納税を活用した地方自治体の取り組み事例
    2-1.青森県むつ市・ジオパークの推進とみまもりサービス
    2-2.長野県長野市・松代城の復元、戸隠の街並みや伝統の保存
    2-3.長崎県五島市・離島のハンデを乗り越えるためICTで教育充実
    2-4.福岡県大牟田市・世界文化遺産「三池炭鉱」を世界に発信する
    2-5.沖縄県読谷村・美しいサンゴ礁の海を守りたい
  3. まとめ

1.ふるさと納税とその使い道を知ることの意義

ふるさと納税は、元々、地方で生まれ育ち、都会に出てきた人々が、自分たちを育ててくれたふるさとへ税制を通じて貢献する仕組みがあってもよいのではないか、という想いの下導入されました。

2023年時点、ふるさと納税の裾野は拡大し、ふるさとや地方自治体を応援したい納税者と、人口減少が深刻化する中で限りある地域資源を最大限活用し、地域経済を再生させたい地方自治体とを橋渡しする重要な役割を担う制度になっています。

納税者も、ふるさと納税の資金がどのように使われているのかを知ることで、自らの納税が地域社会に貢献していることを実感することができます。地方自治体の側も、ふるさと納税の使い道や成果を明確にすることで、納税者に共感を持ってもらうことができ、交流人口や将来の移住人口の増加につなげることができるでしょう。

このように、ふるさと納税の意義がますます高まる中で、ふるさと納税の使い道を納税者が知ることの重要性も大きくなっているといえます。

2.ふるさと納税を活用した地方自治体の取り組み事例

ふるさと納税を活用した地方自治体の取り組みにはどのようなものがあるのでしょうか。総務省が創意工夫に溢れた好事例として取り上げた「ふるさと納税活用事例集」の中から、次の5つの事例を紹介していきます。

  • 青森県むつ市・ジオパークの推進とみまもりサービス
  • 長野県長野市・松代城の復元、戸隠の街並みや伝統の保存
  • 長崎県五島市・離島のハンデを乗り越えるためICTで教育充実
  • 福岡県大牟田市・世界文化遺産「三池炭鉱」を世界に発信する
  • 沖縄県読谷村・美しいサンゴ礁の海を守りたい

以下で、それぞれの事例を詳しくみてみましょう。

2-1.青森県むつ市・ジオパークの推進とみまもりサービス

青森県むつ市では、下北半島が有する自然遺産・文化遺産を教育や観光推進に活用する「下北ジオパーク」の取り組みをさらに推進していくため、広報活動や体験学習等に必要な費用をふるさと納税で集めています。

また、むつ市では、ふるさと納税の寄付者に対し、その家族などで市内に一人暮らしをする高齢者の「みまもり訪問サービス」を提供しています。

このように、ふるさと納税の寄付金が、教育・観光推進事業や地方に住む高齢者と離れた家族を直接つなげる事業に使われることで、地域を産業と人の両面から活性化することができるようになるでしょう。

2-2.長野県長野市・松代城の復元、戸隠の街並みや伝統の保存

長野県長野市では、ふるさと納税を活用して、地元の伝統文化を保存する取組みをおこなっています。

その一つが、松代城を復元するプロジェクトです。市では、真田氏の居城として著名な松代城跡の保存整備事業をおこなっており、ふるさと納税の寄付金が、発掘調査や土塁・堀の保存整備、城門の復元整備に充てられます。

国の重要伝統的建造物群保存地区に選定された戸隠神社の門前町の景観維持向上、伝統工芸品「戸隠竹細工」の技術を受け継ぐ人材育成などにふるさと納税の寄付金を充てています。
寄付者が、どのような事業に寄付金を活用してほしいかを選択できるだけでなく、寄付者には、松代城の入場券を配布したり、戸隠竹細工の森保全活動体験会に招待したりするなど、寄付者と街とのつながりを大切にしています。

このように、ふるさと納税の寄付金が、地元の伝統文化を保存継承し、なおかつ、交流人口を増やす取組みに充てられることで、その自治体の伝統文化を愛する交流人口が増え、地域活性化にもつながっていくことでしょう。

2-3.長崎県五島市・離島のハンデを乗り越えるためICTで教育充実

長崎県の五島市は、九州から100キロ離れた離島から成る地方自治体であり、住民の生活には様々なハンデがあります。

その中でも、教育に関するハンデは子どもたちの将来に関わる重要な問題です。離島であるがゆえに、課外授業や部活動の遠征・合宿には船や飛行機を使わなければならず、教育活動が制限を受けてしまう実情があります。

そこで、五島市では、「島の子どもと他校、他県、世界の人との交流を」という目標の実現に向け、ICT環境の整備を積極的に進めています。五島市のふるさと納税の寄付金の一部は、このような子どもたちの教育充実のためのICT環境整備事業に充てられています。

子どもたちへの教育は、日本の将来を担う人材を育成し、社会の基盤を形成する大切な事業といえます。ふるさと納税で寄付をした資金が、子どもたちへの教育事業に活用されるのを知ることで、納税者が納税を通じて社会貢献することの重要性を実感することができるでしょう。

2-4.福岡県大牟田市・世界文化遺産「三池炭鉱」を世界に発信する

特定の地域課題の解決に特化して寄付を集めるふるさとチョイス「ガバメントクラウドファンディング®」では、世界文化遺産の魅力を世界に発信する事業にふるさと納税の資金が活用された事例もあります。

福岡県大牟田市では、明治日本の産業革命遺産として世界文化遺産に登録された遺産群を構成する「三池炭鉱」を抱えています。(※参照:「明治日本の産業革命遺産」)

しかし、炭鉱の坑口から港まで石炭を輸送した炭鉱電車の移設・展示を計画していたものの、財政難から厳しい状況がありました。

このような状況の中で、クラウドファンディング型のふるさと納税により、資金を集めることができ、炭鉱電車の移設・展示に漕ぎつけることができました。寄付者の氏名は、炭鉱電車が設置された線路の枕木に刻まれています。

地域課題の解決という明確な目的達成のために、ふるさと納税の寄付金を役立てることができる事例もあります。

【関連記事】ふるさとチョイス「ガバメントクラウドファンディング®」の利用手順は?税金の控除を受ける方法も

2-5.沖縄県読谷村・美しいサンゴ礁の海を守りたい

ふるさとの自然環境に思い入れがある方も多いでしょう。ふるさと納税の寄付金によって自然環境を守る取組みもあります。

沖縄県読谷村では、美しいサンゴ礁が生息する約14キロもの自然海岸を有しています。しかし、近年、海水温の上昇やオニヒトデの食害により、サンゴ礁は減少傾向にありました。

そこで、読谷村では、ふるさと納税で集めた資金を活用して、生態系に配慮しながらサンゴの移植事業を実施しています。寄付者の寄付額に応じて、サンゴの株数を増やすことができ、寄付者は、自身のネームプレートが設置され、サンゴの移植の様子を撮影した動画を受け取ることができます。

寄付者のふるさとの自然環境への想いを明確な形にすることができる取組みであるといえます。

まとめ

ふるさと納税の寄付金が活用された好事例をご紹介しました。地域の活性化、伝統文化を保存継承、教育の推進、地域課題の解決、自然環境の保全など、ふるさと納税の活用シーンは多岐にわたります。

どの取組みも、納税者が自身の寄付したふるさと納税の資金がどのように活用されたのかをフィードバックする仕組みが構築されています。納税者にとっては納税の意義を実感できるだけではなく、ふるさとやその地域への想いを形にできる取組みであるといえるでしょう。

【関連記事】ふるさと納税のサービス・会社一覧
【関連記事】寄付をすると住民税・所得税は安くなる?寄附金控除の仕組みや手順を解説

The following two tabs change content below.

佐藤 永一郎

筑波大学大学院修了。会計事務所、法律事務所に勤務しながら築古戸建ての不動産投資を行う。現在は、不動産投資の傍ら、不動産投資や税・法律系のライターとして活動しています。経験をベースに、分かりやすくて役に立つ記事の執筆を心がけています。