ふるさと納税とは?ふるさと納税のメリット・デメリットも解説

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ふるさと納税制度は平成20年に導入され制度創設から10年以上が経過しました。創設当初は利用される方も少なかったですが、総務省統計によれば平成30年度の利用者は約400万人と着実に社会に浸透しています。

今回はふるさと納税制度の仕組みからメリット・デメリット、手続方法までわかりやすく解説します。ふるさと納税を検討している方はぜひ参考にしてみてください。

目次

  1. ふるさと納税とは
    1-1.日本の納税事情
    1-2.ふるさと納税の制度趣旨
  2. ふるさと納税を利用するメリット
    2-1.寄附金控除
    2-2.お礼品
    2-3.寄附の使途を指定できる
  3. ふるさと納税にデメリットはある?
  4. ふるさと納税を利用する手順
    4-1.確定申告の方法
    4-2.必要書類
    4-3.5自治体以内ならワンストップ特例制度を活用
  5. まとめ

1 ふるさと納税とは

ふるさと納税制度とは出身地や応援したい自治体に寄附(=納税)することを言います。「納税」という名前がついていますが、あくまで個人の意思で行う「寄附」になります。生まれ育った自治体に寄附をすると、確定申告した際に所得税と住民税から寄附金額の一部が控除されるという仕組みです。

1-1 日本の納税事情

現在、日本国内では様々な税金がありますが、大きく分けて法人税や所得税などの「国税」と、市民税や府民税などの「地方税」の2つに分けられます。このうち地方税については、各市町村に所在する法人や、そこに住む個人が納めることになります。

そのため、人口が集中する都心部の税収は多くなりますが、過疎化が進む地方ではますます収入が減少しています。

1-2 ふるさと納税の制度趣旨

少子高齢化、地方の過疎化などの状況を踏まえて、政府としては各自治体への寄附を行ってもらうことで、住民が少なく税収が少ない自治体の収入を増加させたい狙いがあります。

ただ、単純に自治体を応援してもらうだけでは寄附は集まりません。そこで、国は税額控除の制度を整え、さらに各自治体は寄附を行った者に様々なお礼品を用意するようになりました。

2 ふるさと納税を利用するメリット

ふるさと納税制度を利用すると寄付金控除を受けられるほか、各自治体が用意する魅力的なお礼品を受け取ることができます。それぞれ具体的に見てみましょう。

2-1 寄附金控除

ふるさと納税では、寄附額のうち2,000円を越える部分について、所得税と住民税から全額控除されます。例えば10,000円のふるさと納税を行えば8,000円控除され、50,000円のふるさと納税を行えば48,000円控除されることになります。

ただし、各人の所得(サラリーマンであれば給与所得、個人事業主であれば事業所得)や家族構成などの条件によって、実質自己負担2,000円で行えるふるさと納税の金額は異なってくるため注意が必要です。所得税・住民税それぞれの控除額を求める計算は次の通りです。

所得税から控除される額

(ふるさと納税額-2,000円)×(各人の所得税率)

ただし、寄附金の額の合計額がその年の総所得金額の40%を超える場合には40%が限度となります。

なお、住民税の控除は次の通り、「基本分」と「特例分」に分かれます。

基本分の住民税から控除される額

(ふるさと納税額-2,000円)×10%

ただし、寄附金の額の合計額がその年の総所得金額の30%を超える場合には30%が限度となります。

特例分はさらに①と②に分かれて計算されます。

特例分①の住民税から控除される額

(ふるさと納税額-2,000円)×(90%-所得税率)

特例分①住民税(特例②)から控除される額

(住民税の所得割額)×20%

税額控除額は、所得税の控除額と住民税の控除額の合計額となりますが、住民税の控除額は(基本)と(特例)の合計です。

また(特例①)の計算結果が、住民税の所得割額の20%を超えない場合には(特例①)を使用して計算し、20%を超える場合には(特例②)を使用して計算します。

ご自身の所得に照らし、実質自己負担が2,000円でふるさと納税が行えるのか、ぜひ計算してみてください。

なお、上記の税額控除額や寄付金上限額の計算には、ふるさと納税サイトのシミュレーションを活用することもできます。たとえば、「ふるさと本舗」というサイトでは、税理士が監修した分かりやすいシミュレーション機能があり、簡単に寄付可能金額を調べることができます。

ふるさと本舗・寄付上限額シミュレーション

ちなみに、ふるさと納税を行うことで節税ができる(税金が少なくなる)という情報も見受けられますが、ふるさと納税はあくまで実質自己負担2,000円で寄附を行うものになり税金が減るわけではありません。寄付に対して3割程度のお礼品がもらえることが多いため、実感としては節税と感じられる、というイメージとなります。

2-2 お礼品

上でも述べたように、お礼品をもらえるのもふるさと納税のメリットです。多くの自治体がふるさと納税のお礼として各地の特産物など魅力あふれる商品を用意しています。

その種類は、お米やお肉などの食料品もあれば、タオルやガラス製品などの雑貨まで多種多様です。税額控除を使って実質自己負担が2,000円でお礼品がもらえることから、お礼品の内容によっては多くの寄付額が集まることもあります。

ただ、少しでも寄附を集めようと他の自治体よりも高価なお礼品を用意する競争が過熱し、問題視された経緯があります。政府はそのような「返礼品競争」を見直そうと、2017年4月、「全ての返礼品の還元率を3割以内にせよ」との通達を各自治体に行いました。

本来は、それぞれが「自治体を応援するため」にふるさと納税を行うことが制度趣旨です。お礼品の内容で寄附先を選ぶという状況になってしまっている現状を改善するため、今後も何らかの制度見直しが行われる可能性もあります。

なお、各自治体が用意しているお礼品は、「ふるなび」のようなふるさと納税のポータルサイトから、確認することが可能です。

ふるなび

ふるなび

2-3 寄附の使途を指定できる

近年では、ふるさと納税により寄附した金額の使途を指定できる自治体も増えています。例えば、お祭りなどのイベント開催資金としての利用や、自治体のシンボルとなるお城の建築費用に充てるなど自治体によって様々です。

また、災害によって多数の被害を被った自治体には、復興のためにふるさと納税を利用した多数の寄附が集まりました。お礼品は辞退することもできるため、地震など災害が多く発生した近年は、寄付のみの納税が多く行われました。実質自己負担が2,000円でそれ以上の寄附ができるふるさと納税制度は災害からの復興にも役立っていると言えます。

3 ふるさと納税にデメリットはある?

ふるさと納税制度を利用するデメリットはほとんどないと言えるでしょう。寄附を行った金額のうち、2,000円を超える部分は税額控除ができ、かつ寄附先からお礼品を受け取ることができるためメリットが多い制度です。

ただし、税額控除を受けるためには一定の手続きが必要となります。次はその手順を見ていきましょう。

4 ふるさと納税を利用する手順

通常、サラリーマンの方は勤務先で年末調整が行われるため、給与以外の所得がない場合、確定申告が不要です。

しかし、ふるさと納税を行う場合には原則として確定申告しなければなりません。

4-1 確定申告の方法

まずは下記の3つの方法から申告方法を選びます。

  1. 税務署や確定申告相談会に行き、申告書を作成し提出する
  2. 市販のソフトや国税庁が提供しているホームページにて申告書を作成し、印刷したものを郵送にて提出する
  3. 方法②と同様に申告書を作成し、電子申告にて提出する

①の方法では、税務署の職員や税理士が相談できます。ただし、毎年確定申告の時期は2月16日~3月15日の間となるため、確定申告時期の税務署や相談会場はかなり込み合います。会場によっては午前中に整理券を受取り、実際に対応してもらえるのは夕方ごろ、というケースも珍しくありません。

②の方法では、確定申告ソフトや国税庁のホームページを利用すれば簡単に作成することができます。特に近年の国税庁のホームページは改良が進み、指示された内容に沿って入力をするだけで確定申告書が完成するため、ふるさと納税による還付手続きだけの申告であればおすすめです。

③の方法は、自宅で作成が完了し、郵送も必要ありませんが、電子申告を行うためには所定のカードリーダーを購入する必要があります。

なお、ふるさと納税制度を利用しなかったとしても毎年確定申告が必要な方は、これまで行ってきた確定申告に寄附金の情報を追加するだけで済みます。不安に思われる方や、専門家によるチェックを必要とする方は、税金に関する専門家である税理士に依頼してみましょう。

4-2 必要書類

申告方法を決めたあとは、次に必要な書類を確認します。サラリーマンの方であれば一般的に下記の書類が必要になります

  • ふるさと納税を行った自治体から発行を受けた「寄附金受領証明書」
  • 勤務先の源泉徴収票
  • 顔写真付きのマイナンバーカード、あるいは、マイナンバーの通知カードと身分確認書類

そのほかにも、還付金を受け取ろうとする口座情報や、紙ベースで申告書を作成する場合には認め印を用意します。
なお、寄附金受領証明書は寄附金控除を受けるために必ず必要です。自治体によっては再発行可能な自治体もありますが、すぐに再発行してもらえるとは限らないため注意しましょう。

4-3 5自治体以内ならワンストップ特例制度を活用

ふるさと納税制度が導入された当初は必ず確定申告を行う必要がありましたが、平成28年度の税制改正により申告義務のない「ワンストップ特例制度」が創設されました。

ワンストップ特例とは、年間5つまでの自治体に対するふるさと納税であれば確定申告を行うことなく税額控除を受けることができるという制度です。ただし、この制度が利用できるのはサラリーマンなどふるさと納税による税額控除を受けなければ確定申告を行う必要のない人に限られており、個人事業主の方やサラリーマンでも副業などで確定申告を行う必要がある方は利用できないため注意しましょう。

ワンストップ特例制度を受けるためには、ふるさと納税を行った自治体から送られてきた「寄附金税額控除に係る申告特例申請書」に必要事項を記載し、ふるさと納税を行った自治体に郵送します。
なお、例えば平成30年度の申請は、平成31年1月10日までに提出する必要があるなど、期限が定められているため注意が必要です。

ワンストップ特例を利用した場合には、ふるさと納税を行った年の翌年の6月頃に住民税の控除通知が届きます。本当に控除がなされているのかチェックしてみると良いでしょう。

5 まとめ

今回はふるさと納税の趣旨や制度の内容についてご紹介しました。

ふるさと納税は、各自治体による返礼品競争など問題点はありますが、生まれ育った地方自治体に寄付することで地方創生につながる画期的な制度といえます。

申告手続きも簡素化されているため、これまで「難しくてよく分からない」と敬遠していた方も、是非ご自身が応援したい市町村を見つけて寄附をしてみてください。

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HEDGE GUIDE 編集部 ふるさと納税チーム

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