寄付金と献金、意味の違いは?税制上の区分についても詳しく解説

寄付金と献金は、いずれも金銭を無償で贈る行為であるといえますが、どのように違うのか気になる方も多いのではないでしょうか。

税制上、寄付金や献金はどのような相手に金銭を贈るかによって取扱いに違いがあります。また、寄付金や献金をおこなった側が、個人であるか法人であるかによっても取扱いが大きく異なります。

本記事では、寄付金と献金の意味の違いと税制上の取扱いについて詳しく解説していきます。

目次

  1. 寄付金と献金の違い
  2. 寄付金と献金の税制上の取扱い
    2-1.寄付金や献金を受けた側の取扱い
    2-2.寄付や贈与をおこなった側の取扱い
  3. 寄付金や献金をおこなった個人の税制上の取扱い
    3-1.寄付金や献金をおこなった個人の所得税控除
    3-2.寄付金や献金をおこなった個人の住民税控除
  4. 寄付金や献金をおこなった法人の税制上の取扱い
  5. まとめ

1.寄付金と献金の違い

寄付金とは、公共的な慈善目的のために金銭を無償で譲渡することです。これに対して、献金とは、ある目的に役立ててもらうように、金銭を献上することを指しています。

いずれも金銭を贈る行為ですが、寄付金と献金の違いは、金銭を贈る相手の違いと目的の違いにあるといえるでしょう。

寄付金を寄付する相手は、個人から一般企業、NPO法人、公益法人、国や地方公共団体など様々であり、特に限定されません。

これに対して、献金の場合は政治献金や宗教団体への献金など、金銭を贈る相手が限定されています。また、献金の場合、政治献金では政治活動に利用してもらうことを目的としており、宗教団体への献金であれば宗教活動に利用してもらうために金銭を贈ります。このように、献金では、金銭の利用目的が限定されているのが特徴といえます。

寄付は、公共的な慈善目的のために譲渡するという性格から、寄付をおこなった側には税制上、優遇措置が設けられています。優遇措置を受けられる寄付として認められる対象は、国や地方公共団体、公益法人、NPO法人などに限定されています。

献金の場合には、個人がおこなう政治献金については政治資金規正法に則ったものに限り、税制上の優遇措置が設けられています。

2.寄付金と献金の税制上の取扱い

まずは、寄付金や献金を受けた側とおこなった側での税制の取扱いを大まかにみていきましょう。

寄付金と献金を受けた側では、法人である場合、法人税法の規定に基づき、収益事業に該当する収入かどうかによって取り扱いが変わります。

寄付金や献金をおこなった側では、個人と法人とで取り扱いが異なります。

2-1.寄付金や献金を受けた側の取扱い

寄付金や献金を受けた側の取扱いをみてみましょう。なお、ここでは寄付金や献金を受けた側は法人であるとします。

法人税は収益事業から生じる所得に課税する税金という性格があるため、法人税法では収益事業以外から生じた法人の所得には法人税を課さないものとしています。寄付金や献金は、いずれも収益事業のために受け取る金銭ではありません。

したがって、寄付あるいは献金を受けた団体の収入は、原則としてその団体側では非課税になるといえます。

2-2.寄付金や献金をおこなった側の取扱い

寄付や献金をおこなった側の税制の取扱いは、個人と法人とで異なります。

個人が寄付・献金を行うケース

寄付や献金をおこなったのが個人であり、特定の寄付金に該当する場合は、寄付金控除として所得税の所得控除あるいは税額控除、住民税の税額控除の対象となります。個人のおこなった献金で、政治資金規正法に則った一定のものは、所得税の政党等寄付金特別控除の対象となります。

法人が寄付・献金を行うケース

寄付や献金をおこなったのが法人である場合、法人税の寄付金の損金算入限度額の範囲内で、課税所得の計算上損金となり、法人税額が軽減されることになります。特定の寄付金に該当する場合は、全額を損金に算入することができます。

3.寄付金や献金をおこなった個人の税制上の取扱い

個人が寄付金や献金をおこなった場合、その個人の税制上の取扱いについて詳しくみていきましょう。

3-1.寄付金や献金をおこなった個人の所得税控除

寄付や献金をおこなった個人の所得税控除制度は、所得控除の制度と税額控除の制度に分かれます。

寄付金の場合、寄付をした相手方が特定の団体である場合、所得控除または税額控除の適用を受けることができます。両方とも適用を受けることができる場合、いずれか有利な方を選ぶこともできます。

献金の場合、特定の団体に対してされた政治献金については、所得税の税額控除制度の一つである政党等寄付金特別控除の適用を受けることができます。

所得控除制度

所得控除制度としては、寄付金控除があります。寄付金控除の対象となる寄付や献金は、特定寄付金として定められた特定の団体への金銭の譲り渡しになります。特定の団体とは、国・地方公共団体、公益法人等、所得税法別表第一に掲げる法人等となります。(※参照:国税庁「一定の寄附金を支払ったとき(寄附金控除)」)

控除額は、次の算式で計算されます。

寄付金控除額=その年に支出した特定寄付金の額―2,000円

所得から控除できる寄付金額は、その年の総所得金額の40%から2,000円を差し引いた金額が上限となります。

税額控除制度

税額控除制度として、公益社団法人等寄付金特別控除、認定NPO法人等寄付金特別控除、政党等寄付金特別控除、があります。政治献金で一定の要件を満たすものは、政党等寄付金特別控除の適用を受けることができます。

公益社団法人等寄付金特別控除は、一定の公益法人等、学校法人への寄付、認定NPO法人等寄付金特別控除は、所轄庁の認定を受けた認定NPO法人への寄付について、寄付金額から2,000円を差し引いた額の40%を、所得税額から直接控除する制度です。(※参照:国税庁「認定NPO法人に寄附をしたとき」)

税額控除の金額は、次のように計算します。

寄付金税額控除額=(その年に支出した一定の寄付金の額―2,000円)×40%

政党等寄付金特別控除は、政治資金規正法に規定する政治資金団体に対する政治活動に関する寄付で、同法の報告書によって報告されたものにつき、寄付金額から2,000円を差し引いた額の30%を、所得税額から直接控除する制度です。(※参照:国税庁「政党等寄附金特別控除制度」)

税額控除の金額は、次のように計算します。

寄付金税額控除額=(その年に支出した一定の寄付金の額―2,000円)×30%

3-2.寄付金や献金をおこなった個人の住民税控除

個人が地方公共団体、都道府県共同募金会・日本赤十字社、地方公共団体が条例で指定する団体に対して寄付をおこなった場合、住民税の税額控除制度の適用を受けることができます。

住民税では、寄付金額から2,000円を差し引いた額の10%を、住民税額から直接控除します。税額控除の金額は、次のように計算します。(※参照:総務省「ふるさと納税以外の寄附金税制」)

寄付金税額控除額=(一定の寄付金の額―2,000円)×10%

なお、住民税は前年の所得を下に課税されるため、税額が控除されるのは寄付金を支出した年の翌年になり、対象となる寄付金額は総所得金額の30%が上限となります。特例として、ふるさと納税対象の寄付金のみ基本控除に加えて以下の算式により計算された額を控除することが可能です。

寄付金税額控除額=(一定の寄付金の額―2,000円)×(90%―寄付者に適用される所得税率)

4.寄付金や献金をおこなった法人の税制上の取扱い

法人が寄付金や献金をおこなった場合、次の算式により計算した損金算入限度額の範囲内で法人税額の課税対象となる所得の計算上、損金に算入できます。

損金算入限度額=(所得金額×2.5/100+期末資本金等の額×当期の月数/12×2.5/1,000)×1/4

特定の公益増進に著しく寄与する法人、認定特定NPO法人に対する寄付金については、損金算入限度額は、以下の金額に増額されます。

損金算入限度額=(所得金額×6.5/100+期末資本金等の額×当期の月数/12×3.75/1,000)×1/2

また、国又は地方公共団体、一定の公益法人等に対する寄付金は、その額が損金に算入されます。

※参照:財務省「寄附税制の概要(法人税)

まとめ

寄付金、献金ともに、相手方に金銭を贈る行為ですが、献金は、寄付金に比べて金銭を贈る相手が社会的権威のある相手に限定され、その目的も政治活動や宗教活動という形で特定されているといえます。

寄付金や献金を受けた側が法人である場合、収益事業以外の所得となり、非課税となります。
寄付金や献金をおこなった側では、個人であれば、所得税における所得控除あるいは税額控除の寄付金控除、住民税における寄付金控除の取扱いによることになります。

政治献金については、特に、所得税の税額控除制度の一つに、政党等寄付金特別控除が設けられています。

法人が寄付金や献金をおこなった場合、寄付金の損金算入限度額制度によって、一定限度額まで損金に算入することができます。特定の団体に対する寄付金については、損金算入限度額が増額されます。

寄付金や献金をおこなう際は、このような税制上の取扱いも意識しておこなうことを検討してみましょう。

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佐藤 永一郎

佐藤 永一郎

筑波大学大学院修了。会計事務所、法律事務所に勤務しながら築古戸建ての不動産投資を行う。現在は、不動産投資の傍ら、不動産投資や税・法律系のライターとして活動しています。経験をベースに、分かりやすくて役に立つ記事の執筆を心がけています。