金・貴金属のETF、メリット・デメリットは?銘柄の価格や純資産額も

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金や銀など貴金属現物への投資は、保管コストの発生や取引手数料が高いなどの理由で敬遠している方もいるでしょう。しかし、貴金属ETFならより手軽かつ少額から貴金属に投資することができます。

今回は金、銀、プラチナ、パラジウムといった貴金属の価格に連動するETFに投資するメリット・デメリットや、主な対象銘柄を紹介します。

※本記事は投資家への情報提供を目的としており、特定商品・ファンドへの投資を勧誘するものではございません。投資に関する決定は、利用者ご自身のご判断において行われますようお願い致します。

目次

  1. ETFとは
    1-1.金や貴金属に投資できるETFとは
  2. 金ETF
    2-1.金ETFのメリット・デメリット
    2-2.金ETFの銘柄
  3. 銀ETF
    3-1.銀ETFのメリット・デメリット
    3-2.銀ETFの銘柄
  4. プラチナETF
    4-1.プラチナETFのメリット・デメリット
    4-2.プラチナETFの銘柄
  5. パラジウムETF
    5-1.パラジウムETFのメリット・デメリット
    5-2.パラジウムETFの銘柄
  6. まとめ

1.ETFとは

ETFとは「Exchange Traded Fund」の略称で、日本語では上場投資信託といいます。日経平均株価や東証株価指数(TOPIX)などのように、特定の指数(ベンチマーク)に連動するように運用される投資信託です。

ETFが連動を目指す指数は、複数の銘柄で構成されているので、ETFの投資対象も複数の銘柄ということになります。そのため、現物の株式や金を購入するよりも手軽に分散投資効果を得ることが可能という特徴があります。

また、ETFは証券取引所に上場しているため、株式取引のように取引時間内であればリアルタイムで取引できるという特徴もあります。

1-1.金や貴金属に投資できるETFとは

金や銀、プラチナ、パラジウムなどの貴金属は投資対象として取引されています。また、それぞれの貴金属の価格に連動するよう設計されたETFに投資することもできます。ETFは「株式のようにリアルタイムで取引可能」「少額から取引できる」「リアルタイムでの価格変動リスクがある」などの特徴を持っています。

2.金ETF

金ETFとは、金の価格に連動するように設計された上場投資信託です。

2-1.金ETFのメリット・デメリット

金の現物に投資するわけではないため、盗難・紛失リスクが小さく、保管場所を確保する必要はありませんし、管理コストも発生しません。

金現物の取引と比較して、金ETFでは取引手数料をかなり抑えられることや、証券会社や管理会社が破綻しても、投資家の資産が保全される点などのメリットがあります。

手数料に関しては、現物の場合、500g(2021年8月26日時点における田中貴金属工業の店頭小売価格で約351万円)未満の取引に対して数千円以上の購入手数料が発生しますが、ETFの場合は1日の約定代金が100万円までは0円で取引できる(SBI証券、楽天証券、auカブコム証券など)ため、大きな差があります。

また、金相場は株式市場が下落する有事の際に上昇しやすいという特徴があり、投資におけるリスクヘッジに活用できるというのも特色といえます。

一方で、他のETFと異なり、配当がつかないというのも金ETFの特徴です。配当目当てに投資する場合は、金ETFは向いていません。ただし、金投資全般で配当はないため、金に投資することが目的であれば懸念点とはならないでしょう。

その他、ほとんどの金ETFでは現物の金を手元に保有できないことや、自動積立が難しいため、タイミングを見て自分で取引しなければならないなどのデメリットがあります。取引所での流動性が低い銘柄の場合は、売買によって大きく値が動くこともありますので注意が必要です。

2-2.金ETFの銘柄

国内の証券会社で購入できる金ETFには下記のものがあります。

項目 SPDR ゴールド・シェア
(1326)
NEXT FUNDS 金価格連動型上場投信
(1328)
純金上場信託(現物国内保管型)
(1540)
WisdomTree 金上場投資信託
(1672)
最低買付価格 18,390円 4,975円 6,000円 18,540円
信託報酬 0.4% 0.55% 0.44% 0.39%
純資産総額 605.3億円 77.4億円 1,558.2億円 6,884.1億円
現物の受取 一定の受益権口数保有で可能
管理会社 ワールド・ゴールド・トラスト・サービシズ・エルエルシー 野村アセットマネジメント 三菱UFJ信託銀行 ウィズダムツリー・マネジメント・ジャージー・リミテッド
特徴 円換算した金地金価格(ロンドン金値決め・LBMA金価格)との連動を目指すETF 円換算した金地金価格(ロンドン金値決め・LBMA金価格)との連動を目指すETF 国内の商品先物取引市場における金の先物価格から評価した金地金の現在の理論価格との連動を目指すETF ロンドン地金市場協会(LBMA)の規格に基づく金地金の現物に投資し、金価格との連動を目指すETF

※最低買付価格は2021年8月26日現在の値
※純資産総額は2021年7月30日現在の値

上記4つの銘柄のうち、純金上場信託(現物国内保管型)は国内の金地金の理論価格、それ以外の銘柄はロンドン金値決めの金地金価格にそれぞれ連動するようになっています。

また、純金上場信託(現物国内保有型)は条件次第で金現物を保有できる唯一の金ETFですので、金を実際に保有したい場合は投資を検討してみてもいいでしょう。

3.銀ETF

銀ETFとは、銀の価格に連動するように設計された上場投資信託です。

3-1.銀ETFのメリット・デメリット

銀は農産物や原油などの価格に連動する傾向があり、物価上昇の局面(インフレ)での資産価値を守りやすい、金と同様に有事の際のリスクヘッジに活用できるといったメリットがあります。

また、銀ETFは金ETFと比較して価格変動が大きいという特徴があり、短期的に大きな利益を狙いやすい投資対象であるといえます。一方で、価格変動の大きさは想定以上の損失が発生しやすいということにも繋がるため、投資判断は慎重に行う必要があります。

さらに、銀の需要の半数以上は工業用であるため、景気変動の影響を受けやすく、銀の消費が特に多い中国・アメリカ・日本・インドが不況に陥った場合、銀への需要が低下し価格が下がりやすくなります。

加えて、メキシコやペルー・中国など、銀の産出国の国内事情も銀価格に影響しやすいといえます。銀ETFでの投資では、関連国の経済情勢・政治情勢などにも注目する必要があるのです。

3-2.銀ETFの銘柄

国内の証券会社で購入できる銀ETFには下記のものがあります。

項目 純銀上場信託(現物国内保管型)
(1542)
WisdomTree 銀上場投資信託
(1673)
最低買付価格 7,850円 24,220円
信託報酬 0.55% 0.49%
純資産総額 88.7億円 2,798.8億円
現物の受取 一定の受益権口数保有で可能
管理会社 三菱UFJ信託銀行 ウィズダムツリー・マネジメント・ジャージー・リミテッド
特徴 市場における銀の先物価格から評価した銀地金の理論価格との連動を目指すETF ロンドン地金市場協会(LBMA)の規格に基づく銀地金の現物に投資し、銀価格との連動を目指すETF

※最低買付価格は2021年8月26日現在の値
※純資産総額は2021年7月30日現在の値

最低買付価格が安い「純銀上場信託」のほうが活発に取引されています。銀取引は金や他の貴金属と比較して流動性が低いため、平均売買代金や平均売買高なども検討材料に加えるようにしましょう。

4.プラチナETF

プラチナETFとは、プラチナの価格に連動するように設計された上場投資信託です。

4-1.プラチナETFのメリット・デメリット

プラチナETFは他の貴金属ETFと同様に、現物を保管する必要がないため、保管料や年会費、維持費といった保管コストが発生しないというメリットがあります。

また、プラチナの現物を購入する場合、数十万円から数百万円必要になりますが、プラチナETFは1,000円や10,000円といった少額から購入できるというのも大きなメリットといえます。

一方、プラチナ市場だけではなく、株式市場にも影響されやすいのがプラチナの特徴です。空売りができるETFでは、取引数によっては価格が想定以上に変動する可能性があるため、損失が大きくならないよう注意する必要があります。

4-2.プラチナETFの銘柄

国内の証券会社で購入できるプラチナETFには下記のものがあります。

項目 純プラチナ上場信託(現物国内保管型)
(1541)
NEXTFUNDS 日経東商取白金指数連動型上場投信
(1682)
WisdomTree白金上場投資信託
(1674)
最低買付価格 3,290円 18,700円 10,120円
信託報酬 0.55% 0.495% 0.49%
純資産総額 139億円 4.6億円 705.1億円
現物の受取 一定の受益権口数保有で可能
管理会社 三菱UFJ信託銀行 野村アセットマネジメント ウィズダムツリー・マネジメント・ジャージー・リミテッド
特徴 市場におけるプラチナの先物価格から評価したプラチナ地金の理論価格との連動を目指すETF 日経・JPX白金指数を対象指標として、取引所商品先物取引を用いてベンチマークに連動することを目指すETF ロンドン白金・パラジウム市場協会(LBMA)の規格に基づくプラチナ地金の現物に投資し、プラチナ価格との連動を目指すETF

※最低買付価格は2021年8月26日現在の値
※純資産総額は2021年7月30日現在の値

プラチナETFは株式取引などと比較すると取引数が少なく、そのため希望価格での取引ができない場合や、投資家が一気に購入することで大きく値上がりする場合があるため、注意が必要です。

5.パラジウムETF

パラジウムETFとは、パラジウムの価格に連動するように設計された上場投資信託です。

5-1.パラジウムETFのメリット・デメリット

パラジウムETFの価格が上昇しているとき、勢いがつくと短期的に上値を伸ばす傾向にあります。そのため、短期的なトレードで利益を上げたい場合や、大きなリターンを目指す場合にはパラジウムETFが向いているといえます。

一方で、価格上昇と同様に下落時にも勢いがつきやすいという特徴があります。他の貴金属ETFと比較して下落率が高くなる場合もあるため注意が必要です。

特に、パラジウムは自動車排ガス浄化装置向けの需要が全体の約80%を占めます。新興国のガソリン車の生産台数に影響を受けやすいため、普段から情報をチェックしておきたいところです。

また、貴金属取引のなかでパラジウムは最も売買規模が小さくなります。取引の状況によっては、希望価格での取引ができないケースがあることを理解しておきましょう。

5-2.パラジウムETFの銘柄

国内の証券会社で購入できるパラジウムETFには下記のものがあります。

項目 純パラジウム上場信託(現物国内保管型)
(1543)
WisdomTreeパラジウム上場投資信託
(1675)
最低買付価格 78,900円 24,480円
信託報酬 0.55% 0.49%
純資産総額 19.2億円 255.1億円
現物の受取 一定の受益権口数保有で可能
管理会社 三菱UFJ信託銀行 ウィズダムツリー・マネジメント・ジャージー・リミテッド
特徴 市場におけるパラジウムの先物価格から評価したパラジウム地金の理論価格との連動を目指すETF ロンドン白金・パラジウム市場協会(LBMA)の規格に基づくパラジウム地金の現物に投資し、銀価格との連動を目指すETF

※最低買付価格は2021年8月26日現在の値
※純資産総額は2021年7月30日現在の値

日本国内・イギリスそれぞれの取引所での価格に連動するETFがあります。取引の状況や情報の取りやすさなど、自分に合った銘柄を選ぶよう心がけましょう。

まとめ

今回は金や他の貴金属に投資可能なETFについて紹介しました。

貴金属ETFは少額からでも取引ができ、現物を保有する必要がないなど、手軽に貴金属投資を始めたい方に向いている投資商品です。株式・債券などと合わせて購入することで、分散投資によるリスクヘッジも可能となります。

貴金属への投資を考えている方は、本記事を参考に貴金属ETFの利用も検討してみてください。

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山本 将弘

フリーランスWebライター。主に株式投資や投資信託の記事を執筆。それぞれのテーマに対して、できるだけわかりやすく解説することをモットーとしている。将来に備えとリスクヘッジのために、株式・不動産など「投資」に関する知識や情報の収集、実践に奮闘中。