「一般社団法人アジアパシフィック アライアンス(A-PAD:Asia Pacific Alliance for Disaster Management、本部:東京都渋谷区)」は、2月28日、創設10周年を記念して10周年記念フォーラムを開催した。イベントでは、主催者であるA-PAD理事長のカズィ カムルズザマン(医師)のあいさつ、オープニングでは、ゲストの逢沢 一郎衆議院議員(NGO/NPOの戦略的あり方を検討する会座長)、塩崎 恭久元官房長官、河野 太郎衆議院議員(アジア太平洋災害支援議員フォーラム事務局長)、武井 俊輔外務副大臣などが登壇した。
2012年10月にアジア防災閣僚級会合でアジアパシフィック アライアンスの設立が発表されてから10年が経過した。今回の国際フォーラムでは、近年頻発している災害に対応する仕組み構築を支援してきた10年間の活動についての報告と、次の10年に向けての取り組みの発表を目的とした。気候変動による災害は、特にアジア太平洋地域にとっての共通課題であり、気候変動対策や人道支援が必要となっている昨今に、国家という枠を超えて災害支援や、官民連携を行う必要性がさらに高まっていることについても触れた。
A-PAD理事長のカズィ・カムルズザマン(医師)はあいさつの中で、「新興国に対する災害の対策を行っているが、この展開に苦労しながら進んでいる。多くの自然災害、戦争、過激派の活動にとって革新的な対策が必要だということはどれだけ強調してもし足りない」と述べた。
パネルトークでは、「Beyond Disaster Management~アジア太平洋を連携で進化させるために」をテーマとし、外務省国際協力局長 遠藤 和也氏、笹川平和財団常務理事 茶野 順子氏、関西学院大学教授村尾 信尚氏、A-PAD CEO大西 健丞氏、A-PAD COO(A-PADスリランカ代表)のフィルザン・ハシム氏が登壇し、現状起こっている災害や気候変動に対して、各国がどのように連携を行っていく必要があるかトークを繰り広げた。
村尾氏は、「A-PADは『Beyond Disaster』ではなく、『Beyond Nation』『Beyond States』であり、平和を求める私たちの声は一つだ」と力を込めた。
茶野氏は、「自分たちの手だけで災害支援をするのではなく、資金や経験、土地勘がある人がいることでよりよい支援ができるようになり、自分たちにも経験が貯まっていくだろう」と今後の活動について語った。
遠藤氏は、2023年2月6日のトルコ地震の当日にスタッフを派遣できたことに対して、「これまでの経験があったからこそスムーズな対応ができた」と振り返った。また、現在は複合的な危機が発生しており、要因は紛争、気候変動、避難民など様々であることから、各関係者が連携して対応することの必要性を訴えた。
また、最後に大西氏が、インパクト投資について触れた。外務省の遠藤氏に対して、「企業の資金を呼び水的に復興や開発分野の対象に入れられると、インパクト投資の普及に繋がるので入れていただきたい」と呼びかけた。
災害が起きた時にしなやかに回復する力を表す「災害レジリエンス」という概念がある。災害レジリエンスを高める上で重要なことの一つは、どこかの地域で災害が起きたときに迅速に連携できるよう、平常時からコミュニケーションを取り合い、顔の見える関係や信頼できる関係を築くことだ。A-PADにはバングラデシュ・インドネシア・日本・韓国・フィリピン・スリランカの6ヶ国が参加しており、NGO・企業・政府・メディアなどが協力することで組織が成り立っている。会の中で、村尾氏が「全員がマスクを取ると色々な方が色々な国から来ていて、まさにダイバーシティ・多様性を感じる。このような場に招き預かったことが幸せだ」と語った通り、その場にいた多様な参加者たちの平和を願う気持ちこそが、災害時の連携の力に繋がっているのだろう。
【関連サイト】一般社団法人アジアパシフィック アライアンス「トルコ南東部地震 被災者支援の募金について」
HEDGE GUIDE編集部 ESG・インパクト投資チーム
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