NFTが日本国内でも注目されるようになってから、地方創生の活路としてNFTに関連したWEB3の技術が活用されつつあります。
『NFTによる地方創生』を推進する株式会社あるやうむは、Web3技術を活用した地方創生の取り組み事例を紹介するオウンドメディア「地方創生Web3研究所」を立ち上げました。そして第一弾は、新潟県長岡市、旧山古志村の「Nishikigoi NFT」について取り上げています。
ここではあるやうむの「地方創生WEB3研究所」。そして、特集記事第一弾の「山古志DAO」および「Nishikigoi NFT」とはどう言ったものなのか、詳しく解説していきます。
目次
- あるやうむの「地方創生WEB3研究所」とは
1-1. 「地方創生Web3研究所」の立ち上げの背景
1-2. 今後の取り組み
1-3.株式会社あるやうむについて - 新潟県長岡市旧山古志村のNishikigoi NFT
2-1. 取り組みのきっかけ
2-2. 山古志住民にNFTを無償配布
2-3. 山古志DAOで使われるツール「Discord」 - まとめ
①あるやうむの「地方創生WEB3研究所」とは
あるやうむが新設した本メディアは、地方創生にWeb3技術を活用した事例を紹介することで、地方創生における新しいWeb3技術の活用方法を探っていくことが目的です。Web3を活用する多くの事例を、地方創生に取り組む方々に届けることにより、全国で新しい取り組みが展開されるよう推進していくとしています。
NFTやWeb3を活用して自分たち地域の関係人口を増やしたいと考えている人たちにとって、先に行ってきたモデルケースがあることで、自分たちに当てはめて活用しやすくなると言えます。またそういった情報は一つ一つ探していく必要がありますが、本メディアのように1箇所にまとめて紹介されていることで、比較検討もしやすくなります。
1-1.「地方創生Web3研究所」の立ち上げの背景
2022年は国家としてのWeb3への注力や大企業の参入など盛り上がりを見せた年となりました。金融のみならず様々な業界でNFTやメタバース、DAOといった技術の利用が見られ、地方創生にも活用の可能性が見い出されました。
NFTを中心としたWeb3関連の技術や考え方が地方地域にどのような可能性や活用方法があるのかを、全国各地の取り組みを参考にできるのではないかと考えられ、あるやうむの本メディアが立ち上げられました。
NFTを発行するプロジェクトは発行するだけが目的ではなく、発行したNFTは道具であり、本質的なところはプロジェクトを運営していくためのコミュニティにあります。NFTは何のために発行するのか、どういったユーティリティがあるのかをコミュニティ内で話し合って決めていきます。そういった活動が、地方地域でも活用できるのではないかと注目されています。
1-2.今後の取り組み
第一弾では新潟県の旧山古志村のNFTとDAOを活用した取り組みを紹介しています。山古志村では2021年12月に世界で初めてNFTをデジタル住民票としての用途で発行しました。2021年12月に人口800人、高齢化率55%超えの限界集落が存続をかけた挑戦が功を奏し、デジタル住民(関係人口)は1,000人を超えました。山古志村の取り組みを深掘りすることで、NFT・DAOの可能性を紹介していくとのことです。
1-3.株式会社あるやうむについて
あるやうむは、「NFTによる地方創生」を推進するため、全国の自治体向けにふるさと納税NFT/観光NFTソリューションを提供する札幌発のスタートアップ企業です。地域の魅力をのせたNFTをふるさと納税の返礼品とすることで、新たな財源を創出すると共に、シティプロモーションや関係人口の創出に繋げます。
社名「あるやうむ」はアラビア語で今日を意味する言葉です。今日、いますぐチャレンジをしたい自治体・地域の皆様にNFTという先端技術を提供し、応援され続ける地域づくりを支援していきます。
支援実績としては、日本国内のNFTプロジェクトとコラボし、ふるさと納税返礼品にNFTを提供しています。2023年2月には、北陸地方で初めて福井県坂井市がふるさと納税NFTに取り組みました。あるやうむとNinja DAOのコラボで誕生した「ふるさとCNP」のNFTが返礼品となっています。また保有者特典にこだわり、CNPキャラクターの越前織ブックマーカーもあります。NFTのレベルアップ場所は越前織の工場にしており、見学もできる予定とのことです。
②新潟県長岡市旧山古志村のNishikigoi NFT
地方創生Web3研究所、最初の記事は新潟県長岡市、旧山古志村のNishikigoi NFTについて取り上げています。山古志村の錦鯉という、地域のアイデンティティの象徴をNFTアートに載せて発行しました。
結果としては、第一弾が1つ0.03ETHで350個、第二弾が1つ0.06ETHで1,150個販売され、現在までに約1,050人のNFT保有者がいます。総額取引数は61.9ETHと日本円に換算すると約21,665,000円の売上だったそうです。
2-1.取り組みのきっかけ
山古志村は、2,200人以上いた町が約800人ほどまでに減少し、高齢化率は55%と存続の危機となっている状況にあり、隣町の長岡市に合併されました。
2004年の新潟中越地震をきっかけに山古志村と関わりができ、山古志村を好きになった竹内春華氏がいます。彼は後に山古志DAOの発起人になります。山古志村は長岡市と合併しましたが、山古志村のアイデンティティを存続させるため、「山古志を疑似体験できる仮想空間を作り、価値観を共有する人と共同体を作って山古志を存続させる」という構想が立てられました。
竹内氏はエストニアの電子住民票「e-Residency(電子国民プログラム)」からインスピレーションを受け、山古志にいなくても、山古志村の一員であるような証明書として、NFTをデジタル住民票として活用することで、保有している世界中の人がデジタル上で山古志村の村民になれる世界(DAO)をスタートさせました。
2-2.山古志住民にNFTを無償配布
プロジェクトを進めていく中で、山古志村の住民によって維持されてきた村を、関係人口だけでプロジェクトを進めるのは違うのではないかという考えから、リアルの山古志住民への無償のNFT配布が企画されました。発行されたNishikigoi NFTの保有者が投票に参加できるアプリを活用し、アンケートを行ったところ、NFT無償配布の賛成が100%の結果が出て、住民への無償配布が決定されました。NFTを保有するためのウォレットMetamaskの開設などのサポートを徹底したそうです。
同プロジェクトの最も規模が大きい取り組みとして「山古志デジタル村民 総選挙」が挙げられています。NFTの売上の30%(約3ETH)をデジタル総選挙の予算として開催されました。デジタル総選挙では、NFTを持っているデジタル関係人口全員が自分のプランを考え、提案できるようになっており、最終的に4つのプランを選出するようになっています。挙げられたプランの中でディスカッションが行われ、投票をする形で選挙が行われました。
選ばれたプランには報酬が用意されており、プランをデジタル関係人口が考えるインセンティブとなっています。またイーサリアム払いによる報酬があることでよりDAOらしい活動にもなり、保有者がプロジェクトに積極的に参加しやすい仕組みとなっています。
2-3.山古志DAOで使われるツール「Discord」
山古志DAOではコミュニケーションツールとしてDiscordが使われています。チャット形式で会話ができ、音声通話もできます。全国各地に散在する、関係人口と地域住民が集まれる空間を運営していくことができます。またこれにより、デジタル総選挙で決まったプロジェクトのディスカッションを行う場としての利用や、山古志のことを知りたいときに連絡を取れる手段としての活用もされています。またDiscordは誰でも参加ができるので、鍵付きのチャンネルを用意することもでき、例えば NFT保有者限定のトークルームを作成し、より密度の高い会話を行うこともできます。
山古志DAOだけでなく、NFTを発行しているDAOではDiscordの利用が主流になっています。誰でも参加できるのでオープンではありますが、さっきもいったようにホルダー限定チャンネルを作ることもできるのは大きなポイントです。より深くプロジェクトに参加したい場合は、そのDAOが発行しているNFTを購入することで、積極的にイベントに参加できるようになります。また運営側はDiscord内でイベント発信を行いやすく、人手が足りない時はスタッフをDiscord内で募集することもできます。
③まとめ
地方地域がNFTを活用する話題を目にするようになり、中でもふるさと納税返礼品にNFTが提供されるケースがあります。返礼品のNFTを通じて寄付をした地域について興味を持ってもらいたいという思いがありますが、実際、現地へ足を運ぶのは簡単ではありません。
そういった中で山古志村の取り組みはNFTを発行するだけでなく、DAOというコミュニティを作り、提案や選挙などNFTホルダーが積極的に参加したくなるような仕組みづくりが、地域創生に活用できる部分になってくるでしょう。山古志村のように地方がWebを活用した事例をあるやうむの「地方創生Web3研究所」では今後掲載されていくので、参考にしてみたい方はぜひチェックしてみてください。
立花 佑
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