株式会社MFSは5月10日、「不動産投資市場マンスリーレポートINVASE Flash」を公表した。同社が運営するオンライン不動産投資サービス「INVASE」の利用動向に基づき、金利動向やREIT市場、インフレ動向を踏まえた市場分析や、INVASEの注目物件・注目エリア、不動産のプロからのアドバイスを紹介している。
今回はまず、3月に発生した欧米銀行破綻に絡む信用不安について「金融市場が落ち着きを取り戻している」とする。特にアメリカでは急速に利上げ(金融引き締め)が進んでインフレが落ち着きつつある一方、さらなる金融引き締めが景気に急ブレーキをかける懸念もあり「近々利上げが停止されるとの期待が高まっている」と見る。
不動産市況を考えればインフレ進行は賃料上昇、逆にインフレ低下は金融環境の変化(利上げ終了や将来的な金融緩和への期待)による資産価格押し上げの呼び水となるため、いずれにしてもポジティブな予想が立てられる。「日本を含む世界経済はアメリカの景気の影響を受けるため、これまでの金融引き締めが今後大きな経済ショックを引き起こすことがなければ、日本の不動産市況にはある程度明るい見通しを持てる」という理由だ。
また、日本固有のポジティブ材料として「経済リオープン」を挙げる。住宅特化REIT3銘柄平均の物件稼働率を見ると、足元ではコロナ禍後初めてとなる97%(≒空室率3%以下)を記録。かつて、2016年初頭に97%を付けたあと、20年前半にかけて賃料の大幅上昇トレンドが見られたことから、同社は「東京一極集中が続く中、今後東京都心ではマンション賃料に上昇圧力がかかりそう」と見込む。
東京都のインフレ率は上昇トレンドが継続する中、依然として全体では賃料の伸びがインフレ率にビハインドしている。また、金融市場による不動産に対する見方が反映されているREITのキャップレート(表面利回り)は、緩やかな長期低下トレンドに回帰する動きとなった。22年12月の日銀の金融緩和政策修正や今年3月の欧米の信用不安によってキャップレートは上昇していたが、これらの影響が薄れる中で再び低下している。
今月の注目地域として、勝どき〜築地を紹介している。20年以上前、タワーマンションは近隣では月島・佃エリアにしか建設されていなかったが、今では勝どき駅エリアはタワーマンション街。次の注目物件として、大規模レジデンス「晴海フラッグ」を挙げる。併せて、対岸の築地の再開発にも注目を促す。
「築地市場跡地開発については既にデザインの概要は発表されており、交通ターミナル+αの街としての発展性が約束されている。運河の対岸に位置する勝どきも、一体的な開発の恩恵を大きく受ける。一帯で見た場合の築地の機能向上の恩恵を大きく受けうることは、仮に今後ハイレンジの新築レジデンスの建築がなされずとも、賃料のアップトレンド(インフレキャッチアップ)が狙え、投資対象としての面白さは非常に強い」としている。
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HEDGE GUIDE 編集部 不動産投資チーム
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