iDeCoにおすすめの金融機関は?手数料・取扱商品数・評判を徹底比較

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老後のための資産運用の制度で、節税メリットも大きいiDeCoは、銀行・証券会社・保険会社など、さまざまな金融機関から加入することができます。しかし、iDeCoを取り扱う金融機関が多すぎて、どこを選べばいいのかわからないという方も多いのではないでしょうか。

そこで今回は、iDeCoに加入するのに適した金融機関について、手数料や取扱商品数、評判などを比較しながら紹介します。また、iDeCoの始め方や金融機関の変更方法についても解説しますので、チェックしてみてください。

目次

  1. iDeCoとは
    1-1.iDeCoの節税メリット
  2. iDeCo口座開設に適した金融機関
    2-1.松井証券
    2-2.SBI証券
    2-3.楽天証券
    2-4.マネックス証券
    2-5.auカブコム証券
    2-6.イオン銀行
  3. iDeCo口座の開設方法
    3-1.iDeCoの運用窓口となる金融機関を選択する
    3-2.積立を行う金融商品・金額を決める
    3-3.申込書類に必要事項を記入して金融機関に郵送する
    3-4.iDeCoの運用を開始する
  4. iDeCo口座を開設する金融機関の変更方法
    4-1.金融機関を変更する場合の注意点
  5. まとめ

1.iDeCoとは

iDeCo(イデコ・個人型確定拠出年金)は、自分が拠出した掛金を自分で運用して資産を形成する年金制度です。

iDeCoでは、加入者が毎月定額を積み立てながら、定期預金や投資信託などの金融商品を自分で選択して運用します。掛金は60歳になるまで拠出し、60歳以降に積み立てた掛金と運用益を老後給付金として受け取れます。

iDeCoの加入資格は以下の通りです。

加入区分 加入対象者 加入できない方
国民年金の第1号被保険者 日本国内に居住している20歳以上60歳未満の自営業者、フリーランス、学生など 農業者年金の被保険者
国民年金の保険料納付を免除されている方
(障害基礎年金受給者は加入可能)
国民年金の第2号被保険者 60歳未満の厚生年金の被保険者(サラリーマン・公務員) 勤務先企業で、企業型確定拠出年金に加入している方
(年金規約にて個人型同時加入を認めている場合は加入可能)
国民年金の第3号被保険者 20代以上60歳未満の厚生年金に加入している被扶養配偶者

また、iDeCoの掛金には上限(拠出限度額)が設定されています。加入区分によって上限が異なり、掛金は月額5,000円から1,000円単位で設定できます。

加入区分 拠出限度額
自営業者(第1号被保険者) 月額68,000円(年額81.6万円)
※国民年金基金または国民年金付加保険料との合算枠
会社員・公務員等
(第2号被保険者)
会社に企業年金がない会社員 月額23,000円(年額27.6万円)
企業型DCに加入している会社員 月額20,000円(年額24.0万円)
DBと企業型DCに加入している会社員 月額12,000円(年額14.4万円)
DBのみに加入している会社員
公務員等
専業主婦・主夫(第3号被保険者) 月額23,000円(年額27.6万円)

※DC:確定拠出年金、DB:確定給付企業年金、厚生年金基金

1-1.iDeCoの節税メリット

iDeCoには、老後の資産を運用できることに加え、節税メリットがあるという特徴があります。

  1. 掛金が全額所得控除となる
  2. 運用益が非課税で再投資できる
  3. 給付を受ける場合も控除を受けられる

掛金が全額所得控除となる

iDeCoに加入して支払う掛金は、全額が所得控除の対象となるため、所得税・住民税を節税できます。

例えば、掛金の月額が20,000円の場合、年額24万円の所得控除を受けることができます。所得税と住民税の税率がそれぞれ10%とすると、合計48,000円の節税効果があります。

個人年金保険の控除上限額が所得税40,000円、住民税28,000円の合計年間68,000円であることを考えれば、掛金を全額控除できるiDeCoの節税効果は高いといえます。

運用益が非課税で再投資される

投資信託などの金融商品で資産運用を行う場合、運用によって発生した利益に課税(所得税15%、復興特別所得税0.315%、住民税5%の合計20.315%、2021年4月時点の税制)されます。しかし、iDeCoでは運用益が非課税となり、そのまま再投資されます。

iDeCoは原則として60歳まで引き出せないため、長期運用が前提となります。そのため、利益を再投資しての複利効果の活用が重要です。利益をすべて再投資できるiDeCoは、通常の資産運用より資金を増やしやすいといえます。

給付を受ける場合も控除を受けられる

iDeCoで運用した資産を受け取る場合、「年金」「一時金」「年金と一時金の併用」のいずれかの方法を選択できます。そして、年金として受け取る場合は「公的年金等控除」、一時金として受け取る場合は「退職所得控除」を利用して節税することができます。

「公的年金等控除」を利用する場合、厚生年金等との年金の合計額が65歳未満なら60万円まで、65歳以上なら110万円までなら課税対象外となり、税金は発生しません。上記以上の受取額となる場合は、金額に応じ課税されることになります。

また、「退職所得控除」を利用する場合は、以下のような計算式で控除額を計算します。

iDeCoへの加入年数(退職金の場合の勤続年数に当たる) 退職所得控除額
20年以下 40万円×加入年数
※80万円に満たない場合は80万円が控除額となる
20年超 800万円+70万円×(加入年数-20年)

2.iDeCo口座開設に適した金融機関

iDeCoは銀行や証券会社、保険会社など、さまざまな金融機関が取り扱っています。iDeCoの口座は1人1口座しか作ることができませんので、多くの金融機関のなかから、自分に合った金融機関を選択しなければなりません。

iDeCo口座を開設する金融機関を選択するポイントはいくつかありますが、今回は「手数料が安いこと」「取扱銘柄が多いこと」、この2点にフォーカスして、口座開設に適した金融機関を紹介します。

今回紹介する金融機関は下記の通りです(2021年4月19日時点の情報です)。

金融機関 取扱銘柄数 手数料
松井証券 40本※(投資信託39/元本保証1) 手数料月額171円
(国民年金基金連合会105円・信託銀行66円)
SBI証券 40本※(投資信託36/元本保証4)
楽天証券 32本(投資信託31/元本保証1)
マネックス証券 27本(投資信託26/元本保証1)
auカブコム証券 27本(投資信託26/元本保証1)
イオン銀行 24本(投資信託23/元本保証1)

※松井証券の法令上の商品数はターゲットシリーズを1商品とするため31本。
※SBI証券では現在セレクトプランのみ新規加入可能。旧オリジナルプランと合わせれば87本。

2-1.松井証券

松井証券のiDeCoでは、低コストで運用できる銘柄を業界最多水準の40本取り扱っています。運営管理手数料は誰でも0円で、運用にかかるコストは月額171円と最安クラスになっているため、長期間の運用に対するコスト負担を減らすことができます。

また、投資信託の資産状況を確認できるサービスも提供しており、積立金の総額や資産クラスのそれぞれの割合などを簡単に確認できるのも強みです。

松井証券のiDeCoに対する評判は以下の通りです。

  • 運用管理手数料が0円なのがうれしい
  • iDeCo対象商品が増えて、ラインナップに満足している
  • slimシリーズを扱ってくれているのがうれしい
  • 対象商品が増えたせいで迷ってしまう

※上記はすべて個人の感想です。最新情報などについてはご自身でもよくお調べの上、ご利用をご判断ください。

松井証券では、12本だったiDeCo対象商品が2020年10月から40本に拡充され、人気が高い銘柄も取り扱うようになったことを評価する声があります。一方で、商品が増えたせいでどれを選べばいいのかわからないといった声も聞かれます。

2-2.SBI証券

SBI証券のiDeCoでは、投資信託36本・元本保証型商品4本の合計40本の銘柄を取り扱っています。こちらも運営管理手数料は0円で、国民年金基金連合会と信託銀行に支払う手数料が合計月額171円となっています。

iDeCo対象商品のラインナップが豊富で、低コストと多様性にこだわった銘柄が揃っているため、さまざまな運用スタイルに対応しやすいといえます。

SBI証券のiDeCoに対する評判は以下の通りです。

  • 手数料が安い
  • 投資信託のラインナップが豊富
  • 問い合わせへの対応が良く丁寧
  • 商品展開が多すぎる

※上記はすべて個人の感想です。最新情報などについてはご自身でもよくお調べの上、ご利用をご判断ください。

iDeCoの運用にかかる手数料が安いこと、信託報酬が低い銘柄をこと、問い合わせ対応の良さなどに対して好評を得ています。一方、松井証券と同様にラインナップの豊富ゆえに、加入者が銘柄を迷ってしまうこともあるようです。

※SBI証券では2021年1月4日以降「iDeCoオリジナルプラン」への新規加入を停止しており、現在は「iDeCoセレクトプラン」への新規加入のみ対応しています。

2-3.楽天証券

楽天証券のiDeCoでは、投資信託31本・元本保証型商品1本の合計32本の銘柄を取り扱っています。運用コストを抑えられる銘柄を多く揃えており、松井証券・SBI証券と同様に運営管理手数料が0円となっています。

また、証券資産とiDeCoを1つのIDで管理できる便利さと、iDeCoのスタートガイドやセミナーの開催など、加入者をしっかりサポートできる体制が整っているのが楽天証券の特徴です。

楽天証券のiDeCoに対する評判は以下の通りです。

  • 運用状況を確認しやすい
  • 取扱商品や商品選びに役立つ情報があってわかりやすい
  • 株式や投資信託と同じサイトで確認できるのがいい
  • ラインナップが他社に劣る
  • サイトが見づらい
  • ネットですべて作業するというのが、自分にとってハードルが高い

※上記はすべて個人の感想です。最新情報などについてはご自身でもよくお調べの上、ご利用をご判断ください。

iDeCoの運用状況を確認しやすいこと、銘柄選びに参考になる情報が提供されていることなどに対して評価する声があります。一方で、取扱銘柄のラインナップやWEBサイトの見にくさなどに対する不満の声も見られます。

2-4.マネックス証券

マネックス証券のiDeCoでは、投資信託26本・元本保証型商品1本の合計27本の銘柄を取り扱っています。低コストの投資信託を多数取り揃えており、運営管理手数料が条件なしで誰でも0円となっているため、コスト負担を抑えながら長期間資産を運用できます。

また、iDeCo専用のロボアドバイザーサービス「iDeCoポートフォリオ診断」というサービスを提供しており、簡単な質問に回答するだけで加入者に最適な資産運用プランを提案してくれるのも特徴です。

「マネックス証券iDeCo専用ダイヤル」は平日20時まで、土曜日17時まで対応しているため、どんな方でも利用しやすいといえます。

マネックス証券のiDeCoの評判は以下の通りです。

  • 手数料が安い
  • 信託報酬が低い投資信託が多い
  • 商品数が多すぎず選びやすい
  • 問い合わせの対応が良い
  • 外部サイトで確認するため、ID・パスワードの入力が面倒
  • 商品や投資比率の変更方法がわかりづらい

※上記はすべて個人の感想です。最新情報などについてはご自身でもよくお調べの上、ご利用をご判断ください。

手数料の安さ、低コストの投資信託の多さ、程良い商品数に対する評判が高く、問い合わせへの対応の良さも好評を得ています。一方で、ネット上での手続き方法に対する不満の声も見られました。

2-5.auカブコム証券

auカブコム証券では、投資信託26本・元本保証型商品1本の合計27本の銘柄を取り扱っています。投資初心者から投資経験者まで幅広いニーズに応えられる商品が揃っており、既出のネット証券同様に運営管理手数料が0円となっていることが特徴です。

また、対象銘柄の保有残高に応じてPontaポイントが貯まる点や、専用アプリによってiDeCoを簡単に管理できる点も、auカブコム証券を利用するメリットといえます。

auカブコム証券のiDeCoの評判は以下の通りです。

  • 運営管理手数料が0円で使いやすい
  • 専用アプリが使いやすく管理が簡単
  • ポイントが貯まるのがうれしい
  • 商品数が他社と比較して少ない

※上記はすべて個人の感想です。最新情報などについてはご自身でもよくお調べの上、ご利用をご判断ください。

手数料コストの安さ、専用アプリの使いやすさ、ポイントサービスに対する評価の声が見られます。一方で、他社よりも取扱銘柄数が少なく、資産運用の選択肢の幅が狭いと感じているユーザーもいます。

2-6.イオン銀行

イオン銀行では、投資信託23本・元本保証型商品1本の合計24本の銘柄を取り扱っています。投資初心者でも選択しやすい商品ラインナップとなっていることに加え、iDeCoを扱う銀行としては唯一運営管理手数料が条件なしで0円となるのが特徴です(2021年4月時点)。

また、ロボアドバイザーサービス「SMART FOLIO」を使えば、加入者に最適な運用プランを提案してくれるほか、店舗で担当者に相談できるなど、加入者をサポートする体制がしっかり整っているといえます。

イオン銀行のiDeCoの評判は以下の通りです。

  • 店頭で相談できるのが良い
  • どんなことでも相談しやすく、対応も丁寧
  • 他の銀行と比較して運用コストが低い
  • 先進国株式の信託報酬が高い
  • 選択できる商品数が証券会社より少ない

※上記はすべて個人の感想です。最新情報などについてはご自身でもよくお調べの上、ご利用をご判断ください。

店頭でiDeCoについて相談できる点や、銀行のなかでは運用コストを安く抑えられる点に対する評価の声が見られます。一方で、先進国株式の信託報酬が高く、証券会社よりも商品の選択肢が少ないことに対する声もあります。

3.iDeCo口座の開設方法

実際にiDeCo口座を開設する手順は下記の通りです。

  1. iDeCoの運用窓口となる金融機関を選択する
  2. 積立を行う金融商品・金額を決める
  3. 申込書類に必要事項を記入して金融機関に郵送する
  4. iDeCoの運用を開始する

3-1.iDeCoの運用窓口となる金融機関を選択する

iDeCoを始める場合は、運用窓口となる金融機関を選んでiDeCo口座を開設します。

先述したように、iDeCoは銀行や証券会社、保険会社など、さまざまな金融機関で口座を開設できます。ただし、1人につき1つの口座しか開設できません。そのため、取り扱っている金融商品や手数料などを比較して、自分に合った金融機関を選択することが大切です。

各金融機関のWEBサイトから[口座開設]のボタンをクリック・タップして、必要事項を記入して口座を開設し、iDeCoの資料を請求しておきましょう。

3-2.積立を行う金融商品・金額を決める

次に、iDeCoで運用する金融商品と積み立てる金額を決めます。

iDeCoでは、月額5,000円以上から1,000円単位で積立金額を自由に設定できます。また、加入区分(加入者の職業)によって、毎月拠出できる限度額が異なります。特に、企業などに勤務している場合は、総務や人事などに確認して拠出限度額を確認しておいた方がいいでしょう。

3-3.申込書類に必要事項を記入して金融機関に郵送する

次に、運用する金融商品や積立額などを申込書類に記入して、金融機関へと郵送します。

金融機関では、書類の郵送後にiDeCoに加入できるかどうかの審査が行われます。審査に通過し、内容の確認・手続きが完了したら加入者に通知書が発送されますので、内容について間違いがないかを確認しましょう。

なお、iDeCo口座の開設手続きが完了するまでに1ヶ月~2ヶ月程度掛かります。

3-4.iDeCoの運用を開始する

金融機関からの通知書に間違いがなければ、iDeCoの運用を開始できます。後は、毎月掛金を拠出しながら、資産を運用することになります。運用開始後もWEBサイトから月々の掛金の配分や変更、商品の変更などを行うことができます。

また、不明点についてはコールセンターサービスやチャットサービスなどを利用して相談できます。

4.iDeCo口座を開設する金融機関の変更方法

先述したように、iDeCo口座は1人1つしか開設できません。そのため、iDeCo口座を開設する金融機関を変えたい場合は、変更手続きを行う必要があります。

具体的な手順としては、まず新しく乗り換える金融機関から申込書類を取り寄せます。次に、「加入者等運営管理機関変更届」に掛金の配分指定や移管金の配分指定、その他必要事項を記入し、必要書類を添付して、金融機関に返送します。

金融機関で書類が確認され、国民年金基金連合会の審査を通過できれば、金融機関の変更は完了です。

4-1.金融機関を変更する場合の注意点

金融機関の変更手続きにおける注意点は以下の通りです。

  • 変更時には手数料が掛かる
  • 運用商品は現金化しなければならない
  • 変更手続き中は運用ができない

まず、金融機関の変更手続きを行う場合には、「現在の金融機関が新しくiDeCo口座を作る金融機関に資産を移すための手数料」と「新しくiDeCo口座を作る金融機関が現在の金融機関から資産を受け入れるための手数料」が発生します。

他社へ資産を移すための手数料は、多くの金融機関で4,320円となっていますが、手数料が発生しない金融機関もあります。

他社からの資産を受け入れるための手数料は、無料となる金融機関もありますが、WEBサイトに表示されていない金融機関もあるため、それぞれ問い合わせて確認したほうがいいでしょう。

次に、金融機関の変更時には、運用商品をそのまま持ち越すことができないため、一度現金化する必要があります。相場の状況によっては、売却することで損失が発生する可能性もあります。

さらに、変更手続きの最中は、運用商品の積立購入ができません。変更後に再度同じ銘柄を購入する場合でも、相場の影響を受けることがあるため、注意しましょう。

iDeCoで金融機関を変更する場合、新規加入するよりも手間やコストが掛かり、損失発生のリスクもあります。そのため、金融機関を運用途中で変更する必要がないよう、加入時にしっかり比較・検討して金融機関を選ぶことが重要といえます。

まとめ

今回はiDeCoで資産運用する場合に適した金融機関について、主要6社を比較しました。iDeCoはほかにも多くの金融機関が取り扱っており、特徴や取扱商品、手数料などが異なります。

また、金融機関を変更する際には手数料が発生したり、運用商品の現金化が必要になったりするため、新規加入時には十分に検討して金融機関を選択することが大切です。

今回紹介した金融機関は運用コストを抑えられることに加え、それぞれに特徴があります。自分に合った金融機関を見つけたい場合は、本記事も参考に検討を進めてください。

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山本 将弘

フリーランスWebライター。主に株式投資や投資信託の記事を執筆。それぞれのテーマに対して、できるだけわかりやすく解説することをモットーとしている。将来に備えとリスクヘッジのために、株式・不動産など「投資」に関する知識や情報の収集、実践に奮闘中。