iDeCoでおすすめの運用方法は?金融商品やポートフォリオをプロが解説

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iDeCoは個人年金制度の一つで、あらかじめ用意された定期預金・保険・投資信託といった金融商品から運用銘柄を自分で選択して毎月こつこつと積立運用し、掛金は60歳以降に引き出すことができます。加入対象年齢は20歳以上60歳未満(2022年からは65歳未満)で、積立金は税制上優遇され所得から控除されます。

このように税制メリットを受けながら老後資金を形成できるiDeCoですが、いざ始めようとすると何に投資をしたら良いのかわからないという話をよく耳にします。そこで、今回は金融ストラテジストの筆者の目線から、iDeCoに適した運用方法や金融商品、年代別のポートフォリオについて解説したいと思います。

※この記事は2021年1月12日時点の情報に基づき執筆しています。最新情報はご自身にてご確認頂きますようお願い致します。
※本記事は投資家への情報提供を目的としており、特定商品・ファンドへの投資を勧誘するものではございません。投資に関する決定は、利用者ご自身のご判断において行われますようお願い致します。

目次

  1. iDeCoは株式型を中心に選ぶ
    1-1.債券型、株式型の長所と短所
    1-2.株式グローバル型を中心に組み入れる
  2. iDeCoの投資先を決めるために
    2-1.投資先選定:各国の株式指数の検証
    2-2.投資先選定:為替の検証
  3. 銘柄の選択方法:SBI証券のラインナップを例に
    3-1.20代から50代半ばまでの運用
    3-2.50代後半からの運用
  4. iDeCoの運用で押さえておきたいポイント
    4-1.毎月、運営管理手数料がかかる
    4-2.商品ごとに手数料が違う
  5. まとめ

1.iDeCoは株式型を中心に選ぶ

iDeCoでは、まず株式を中心としたポートフォリオを構成することを検討してみると良いでしょう。以下、解説していきます。

1-1.債券型、株式型の長所と短所

債券型の長所は、元本割れのリスクが小さい点です。短所は、高い運用成績が期待できないことや、インフレに弱いことが挙げられます。特にインフレに弱いことには注意が必要です。現在100円で買える缶コーヒーが30年後、40年後に同じ価格で買える保証はありません。物価などの上昇率が債券価格の上昇率を上回れば、実質的に損失となります。

一方、株式型は価格変動リスクが債券型よりも高いものの、将来大きなリターンが期待できます。インフレにも強く、長期運用に適していると言えます。

1-2.株式グローバル型を中心に組み入れる

債券型、株式型にはそれぞれ、国内とグローバルを対象に運用するファンドがあります。世界経済は拡大傾向にありますが、一方で日本は超高齢化社会を迎えていることや人口減少を考慮すると経済成長はあまり期待できません。経済成長が株式上昇率に反映されるため、世界中の企業を投資対象とするグローバル型を選ぶのが有効です。

2.iDeCoの投資先を決めるために

グローバル投資には、指数と為替の2面から分析する必要があります。株式指数の上昇を為替が打ち消してしまうことがあるためです。為替の変動は新興諸国ほど大きいため、注意が必要です。

2-1.投資先選定:各国の株式指数の検証

まず、各国の株式指数(先進国と新興国、米国ナスダック指数、ラッセル2000)の過去データを分析してみました。「運用期間が長いほど、上昇率が高い傾向にある」ということがわかり、投資は「なるべく早くから始めたほうが良い」ということが改めて裏付けられた結果でした。

分析結果を下表にまとめました。新興国の株式指数(現地通貨建て)は、30年前と比較すると10倍以上に成長しているものが目立ちます。先進国指数では、ナスダック指数やラッセル2000の上昇率の高さが目立ちます。しかし、外国株投資には為替リスクが存在します。株式指数の成績が良くても、円高が指数の上昇率を引き下げる要因となるからです。

株式指数の上昇率(現地通貨建て)

【先進国株式指数】

3年 5年 10年 20年 30年
英国 -11.10% 15.72% 13.20% 10.39% 221.80%
ドイツ 3.92% 41.04% 100.18% 117.66% 895.08%
フランス 2.61% 29.92% 44.20% -2.21% 263.81%
米国 21.94% 88.60% 162.98% 189.15% 1101.42%
日本 13.44% 52.88% 160.64% 95.10% 12.41%
カナダ 21.94% 43.25% 33.09% 105.15% 454.25%

【新興国株式指数】

3年 5年 10年 20年 30年
インド 41.81% 178.00% 135.00% 1070.00% 4666.07%
メキシコ -8.35% 8.24% 18.27% 653.71% 1651.58%
南ア 4.00% 25.43% 90.75% 744.62% 1167.45%

【その他指数】

指数 3年 5年 10年 20年 30年
ナスダック指数 80.00% 159.85% 375.18% 396.36% 3369.00%
ラッセル2000 32.28% 85.62% 161.87% 331.21% 1478.00%

2-2.投資先選定:為替の検証

為替についても過去データを分析したところ、新興国通貨に対し円高が進行したことが確認できました。新興国通貨の多くは、20年で価値が半分程度に下落しており、なかでもトルコリラは98%も低下しました。新興諸国は成長期待が持てますが、為替が不安定な国が多いため、新興諸国のみの投資は避けた方が良いでしょう。

為替ごとの騰落率

為替(対円) 5年 10年 20年
ブラジルレアル -33.62% -60.74% -67.41%
トルコリラ -63.75% -73.41% -92%
南アランド -3.71% -44.91% -56.10%
メキシコペソ -20.30% -21.69% -56.12%
インドルピー -19.95% -22.21% -43.50%
ドル -2.43% -0.97% -11.64%
豪ドル -2.23% -2.15% 21.20%
ユーロ -0.90% 16.90% 14.32%

3.銘柄の選択方法:SBI証券のラインナップを例に

iDeCoの対象商品は証券会社により異なります。そのため、より多くの商品を取り揃えている金融機関が望ましいと言えます。各金融機関のラインナップをみるうえでは、モーニングスターのホームページ上にある「金融機関比較ガイド」が参考になります。金融機関ごとの月額手数料も確認できます。

ネット証券ではトップクラスの口座開設数を有するSBI証券(セレクトプラン)のiDeCo対象の商品は37本です。37本の内訳は、国内株式が6本、先進国株式が12本、新興国株式が2本、国内債券が1本、先進国債券が3本、新興国債券が1本、バランス型が4本、ターゲットイヤー型が4本、REITが2本、コモディティ(金)が1本、元本確保型が1本です。SBI証券にiDeCoの口座を開設した場合、これらが投資対象となります。

これらの銘柄を選定した結果、世界株式を投資対象とする①SBI・全世界株式インデックスファンド(雪だるま)、世界の中小小型株を投資対象とする②SBI-EXE-iグローバル中小小型株式ファンド、米国株式を投資対象とした③農林中金-農林中金<パートナーズ>長期厳選投資(おおぶね)の3本は、特にiDeCo向きと考えられます。

3-1.20代から50代半ばまでの運用

この年齢層の方に適した投資対象はグローバル株式です。上記の検証から、新興諸国のみを対象としたファンドは為替リスクが高いため、グローバルファンドを中心に組み入れましょう。

SBIの銘柄では、全世界株式インデックスファンドが向いています。全世界の株式市場の動きに連動するファンドで、信託報酬が低い点が強みです。この銘柄をベースに考えると良いでしょう。

30年以上運用が可能な20~30代の方には中小小型株式ファンドを組み入れるとより高い運用益が期待できます。農林中央長期厳選投資(おおぶね)は、アクティブ運用のため信託報酬が0.99%とインデックスファンドよりも高いのですが、シャープレシオ(リスクに対するリターンの割合)が高く運用成績も良いため望ましいファンドです。

協会コード 銘柄 信託報酬 シャープレシオ
8931217C SBI・全世界株式インデックスファンド(雪だるま) 0.1102% 0.35
89313135 SBI-EXE-iグローバル中小小型株式ファンド 0.3270% 0.26
25311177 農林中金-農林中金<パートナーズ>長期厳選投資(おおぶね) 0.9900% 0.79

3-2.50代後半からの運用

50代後半の方は、株式型から国内債券型など低リスク資産にファンドを移行する時期です。iDeCoの満期まであとわずか。株価が急落し、損失が膨らんでしまった場合、取り戻すことが困難となるためです。

4.iDeCoの運用で押さえておきたいポイント

iDeCoを始めるまえに押さえておきたいポイントを解説します。

4-1.毎月運営管理手数料がかかる

初期費用のほかに毎月、運営管理手数料がかかります。iDeCoへの加入時には初期費用2,829円(税込)が必要で、加えて毎月手数料も必要です。毎月の手数料は、①国民年金基金連合会・収納手数料105円、②事務委託手数料66円の合計171円となります。

このほかに手数料が必要な金融機関もあるため、月額手数料が最低の171円(年間2,052円)の金融機関を選ぶとアドバンテージと言えます。条件付きですが野村證券やみずほ銀行、またSBI証券や楽天証券などのネット証券でも最低手数料が設定されています。

4-2.商品ごとに手数料(信託報酬)が違う

口座運営管理手数料のほか、投資信託を購入すると、信託報酬という手数料が日々必要となります。同じインデックスに連動するファンドなら手数料が安い銘柄を選択するようにしましょう。

アクティブファンドはインデックスファンドと比べると信託報酬が高めに設定されています。アクティブファンドはベンチマークを上回る運用を目指すものですが、iDeCoのように長期間運用する中では、将来的にインデックスファンドよりも高い成績を残せるかは分かりません。信託報酬の差額分、インデックスファンドに分があると見て良いでしょう。

まとめ

将来への老後資金を確保するためにも、税額控除を受けながら資産形成ができるiDeCoを活用し、さらに運用利回りが高い金融商品を賢く選ぶことで、より豊かな老後を送ることができるかもしれません。

毎月1万円を30年間5%のパフォーマンスで積み立てることができると、元本360万円が832.2万円になります。10%で運用ができたら2,260万円です。なお参考までに、2020年の日経平均株価指数の年間上昇率は16.01%、米国のS&P500指数が16.26%でした。

もちろん、必ずしも上記の通りに好成績を収められるわけではなく、市況によってはマイナスの成績が数年間続くこともあります。しかし、統計的には株式投資は長く続ければ続けるほど運用利回りが上昇します。老後資金を貯めておきたい現役世代の方でiDeCoを始めていない方は、なるべく早く始めたほうがメリットが大きいため、気になる場合は具体的に検討してみてはいかがでしょうか。

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藤井 理

大学3年から株式投資を始め、投資歴は35年以上。スタンスは割安銘柄の長期投資。目先の利益は追わず企業成長ともに株価の上昇を楽しむ投資スタイル。保有株には30倍に成長した銘柄も。
大学を卒業後、証券会社のトレーディング部門に配属。転換社債は国内、国外の国債や社債、仕組み債の組成等を経験。その後、クレジット関連のストラテジストとして債券、クレジットを中心に機関投資家向けにレポートを配信。証券アナリスト協会検定会員、国際公認投資アナリスト、AFP、内部管理責任者。