初心者が中古マンション投資で気をつけるべきポイントは?

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マンション投資には、資産形成や家賃収入、そして相続税対策などさまざまな魅力があります。そのなかでも、中古マンション投資は、「割安感」「挑戦のしやすさ」などから、現役のサラリーマン世代や老後を迎えた年金世代を中心に人気となっています。ただし、マンション投資では、不動産という高価な買い物をすることになるため、甘い見通しや知識不足などによる失敗はできるだけ避けなければなりません。

本記事では、中古マンション投資を始めようとする初心者の方が、どのような点に気をつければよいのかについて分かりやすく解説します。ぜひ参考にしてみてください。

  1. 1 投資は慎重におこなう
  2. 1-1 中古マンション投資のメリット
  3. 1-2 中古マンション投資のリスク
  4. 2 資金計画
  5. 3 中古物件の選定・購入
  6. 3-1 中古物件を選ぶときのポイントは?
  7. 3-2 適切な購入時期と購入時の注意点は?
  8. 4 賃貸管理
  9. 4-1 賃貸募集時のポイントは?
  10. 4-2 管理委託契約について
  11. 5 まとめ

1 投資は慎重におこなう

マンション投資を始める前に、まず自分の中でしっかりとした青写真を作ることが大切です。いわば投資の骨組みです。投資対象として「なぜ中古マンションを選ぶのか」「どの程度メリットが見込めるか」「どのようなリスクがあるか」「ターゲットの規模(ワンルームかファミリータイプか)」「築年数」「立地エリア」「所有見込期間」などの項目について、事前に情報収集や検討をする必要があります。

この過程をおざなりにして不動産業者のところに出向いても、営業トークにのせられて
不本意な契約をした結果、後悔することになりかねません。

1-1 中古マンション投資のメリット

中古マンション投資では、「手頃な販売価格」「相続税対策」「利回りがいい」などがメリットになります。

販売価格が安い

財団法人東日本不動産流通機構から、中古マンションの築年数別成約単価が公表されています。そのデータから、年数を経るとどの程度価格が下落しているかがわかります。

築年数区分 1㎡当り成約単価下落率
築0~5年から築6~10年にかけて 6.0%
築6~10年から築11~15年にかけて 14.7%
築11~15年から築16~20年にかけて 31.30%
築16~20年から築21~25年にかけて 10.20%

(注)2011年1~12月における中古マンションの成約状況から算出

このように、中古物件は新築に比べて割安で購入できる反面、賃貸する場合は家賃相場にもよりますが、大幅に値下げしなくてもよいメリットがあるでしょう。
また、築20年を基準に下落率が鈍化していることから、購入・売却時期のタイミング次第で、中古物件のほうが有利ともいえます。

相続税対策などの節税効果

次に、中古に限らずマンション投資は相続税対策として有効です。相続税算定において、預金は残高そのままの評価額になるのに対して、不動産は、多くの場合、市場価格よりも低い評価額で算定されます。さらに賃貸していれば一定割合が減じられます。
詳しい計算は省略しますが、賃貸マンションでは、その遺産評価額が市場価格より低く算定される結果、相続税の節減を期待できます。

ここで気をつけたいのは、「マンション投資では設備の修繕費用や減価償却費を経費に計上できるので、所得税上の節税になる」という業者の勧誘文句です。前述の相続税をみると確かに節税効果は見込めますが、所得税の節税に繋がるかは慎重に検討する必要があります。

現役のサラリーマンで不動産収入がある場合、不動産収入がマイナスのときに給与収入と合算して申告することにより、源泉徴収された所得税の還付を受けることが可能です。しかし、不動産収入がマイナスになるケースは「年の途中からしか賃貸収入が見込めない」「なおかつ登記費用など諸経費が多くかかる初めの年」などと限られます。また、減価償却費を計上できる期間も定めがあり、償却期間が過ぎれば経費計上できなくなることも考慮する必要があります。

利回りがいい

さらに、中古マンション投資のメリットとして「利回りがいい」ことがあげられるでしょう。利回りとは、マンションの購入費用に対する収益の割合をいいます。よく業者が説明するのが

利回り=1年間の家賃収入÷購入価格

という計算式で、表面利回り(グロス利回りとも)といいます。しかし、利回りは管理費などの「1年間にかかる必要経費」や登記費用などの「購入にかかる諸経費」も加味して、

利回り=(1年間の家賃収入-1年間の必要経費)÷(購入価格+購入にかかる諸経費)

という実質利回り(ネット利回りとも)で計算する必要もあります。ただし、入居者がいない空室状態の物件を購入する場合、「1年間の家賃収入」はあくまで想定された数字であり、募集時に値下げするケースもあります。あくまで目安の一つとして考えましょう。

また中古マンションの場合は新築に比べ、分母となる「購入価格」が小さいわりに、分子である「家賃収入」を「それほど下げなくてもよい」という利点があるため、利回りが新築よりもいい場合があります。

利回りの種類

表面利回り(グロス利回り) 利回り=年間家賃収入÷購入価格 満室時を想定して算出されていることが多い。家賃相場を想定して計算していないこともある
実質利回り(ネット利回り) (年間家賃収入-年間支出)÷(購入価格+購入にかかる諸経費) 年間家賃収入は満室時、年間支出は過去の平均的支出から計算されることが多い

1-2 中古マンション投資のリスク

中古マンションには、築年数経過によるさまざまなデメリットがあります。
まず、建物の老朽化です。中古マンションは一定の築年数を経るごとに大規模修繕を行っています。不動産業者を通じて、過去の修繕履歴や次回の実施予定などの情報を確認しておく必要があります。

室内の設備機器では、老朽化や故障などによりリフォームや修理・交換の費用がその都度かかります。

また、購入後の賃貸期間では、入居者が決まらない空室状態や家賃滞納のリスクがあります。さらに将来売却するさい、社会経済状況によっては自分が予定していた売却価格で売ることができず投資のトータル損益が赤字となってしまう危険性もあります。

このように中古マンション投資のメリットとデメリット、リスクを十分に検討し、次章のような資金計画を立てることが大切です。

2 資金計画

資金計画は中古マンション投資で最も大切なポイントの一つです。

物件購入の予算のうち、手持ち資金以外の不足分は住宅ローンを組むのが一般的です。ここで注意すべきは、物件の購入に要する費用は、購入額のほかに「不動産業者の仲介手数料」「登録免許税」「司法書士手数料」などの諸経費がプラスされるということです。

次に、ローン返済には、購入後の賃貸収入を充てることになりますが、「物件購入後、すぐに家賃が入るわけではない」という点に留意する必要があります。時期にもよりますが、物件購入後にすぐに家賃が入るケースというのは稀で、募集しても入居者が決まらず空室状態が続くこともあります。

不動産業者が空室リスク解消を掲げて長期間の「家賃保証」を行うシステムがありますが、契約途中で定期的に見直しが入り、保証額が当初より下げられてしまうこともあるので注意が必要です。

一方で、物件取得直後から恒常的にかかる支出として、管理会社に毎月支払う「管理費」「修繕積立金」「固定資産税」などがあります。さらに、設備機器が古い場合は、修理交換の時期が近いことを覚悟する必要があります。給湯器やエアコンなど値が張るものもありますが、故障すればただちに修理する必要があります。

このように一定期間家賃収入が見込めないにもかかわらず、支出だけが重なる状態がつづくことも考えられます。この場合でもローン返済が滞ることがないよう、ある程度の予備資金が必要と考えられます。資金計画は、最悪の状況も予測しながら、余裕を持たせることが大切です。物件の購入費に諸経費を加え、予備資金も含めて全体予算を立て、住宅ローンは必要額を申請するなどして資金不足にならないようにしましょう。

さらに、将来の売却時期や売却額、税金などをどのように予測し、目標を立てているかということも重要な要素です。投資は、投下資金を回収して初めて結果が出るものです。将来予測は非常に難しいですが、不動産市場の見通しなど、信頼できる業者にアドバイスを求め、調べておくことが必要です。

3 中古物件の選定・購入

物件の選定で気をつけなければいけないのは、「投資のために購入する」ためであり、「マイホームを買うのではない」という点です。購入する物件は、自分の好みを優先せず、購入後の賃貸や将来の売却が有利となるよう、広く一般社会のニーズを重視して選ぶことが肝心です。

3-1 中古物件を選ぶときのポイントは?

具体的には、未来予想図に沿いながら購入予算に見合う物件に目星を付け、「築年数」「立地」「地域の環境」「外観」「間取り」「入居者の状況」などの項目について調べます。不動産業者に相談しながら説明やアドバイスを受けるのがいいでしょう。

いろいろな判断要素がありますが、このなかで取り上げたいのは、「築年数」「立地」「間取り」です。

築年数が経過している物件では、「建物の耐震性」という安全の観点が優先項目となります。昭和53年に起きた宮城県沖地震の被害を踏まえ、耐震基準の見直しが行われた結果、昭和56年に建築基準法で新耐震基準が導入されました。新基準では、震度6強から7程度の地震においても、「人命保護のためただちに建物が倒壊しないこと」が目標とされています。したがって、この新耐震基準に基づき建築されていることは、最低限必要な条件といえるでしょう。

立地面では、都心・最寄り駅へのアクセスが重要です。「山手線の主要駅に出る時間」「途中で乗り換えが必要か」「最寄り駅からの徒歩時間はどのくらいか」「駅前は開けているか」「急行が停車する駅か」などが判断材料でしょう。一般的に、都心・最寄り駅へのアクセスがよくない物件は、空室状態がなかなか解消できず、将来の売却でも不利になると予測できます。

間取りでは、近年の晩婚化・少子化傾向を踏まえると、ファミリー層向けの広めの物件に比べ、単身者向けの小さめな物件の方が合理的といえます。

また、南に面した開口部がどの程度あるかも重要なポイントでしょう。ウナギの寝床のように南北に細長い部屋の配置などは、一般的なニーズが高いとはいい難いでしょう。

物件選定では、必ず現地を訪問し、疑問点・不明点は納得できるまで確認することが必要です。

3-2 適切な購入時期と購入時の注意点は?

物件を購入したあと入居募集を始めますが、入居者がなかなか決まらない場合があります。人の移動は、3~4月の「卒業」「入学」「就職」「転勤」「退職」などのシーズンに集中しているため、この時期を外してしまうと、長期間空室という事態もありえます。

そのため、入居者が決まりやすい春をターゲットに、年明けから募集を始められるようなスケジュールを組み、そこから逆算して前年に物件の選定・購入を行っておく方法などの方法が考えられます。

さらに、消費税の改正をはじめ、不動産価格に影響を及ぼしかねない社会経済状況の変化を捉えるため、常に情報収集を怠らないようにしましょう。簡単ではないですが「行動するべきタイミング」と「様子見に徹するタイミング」の見極めが重要となります。

また、選定した物件を購入する際、特に中古マンションの場合には、販売価格からさらに安くしてもらう「値引き交渉」を行う余地があります。不動産業者に所有者との間に入ってもらい、時間的な余裕がある場合は、粘り強い交渉で少しでも安くしてもらう努力も必要です。

4 賃貸管理

前述したように、人の移動シーズンを外してしまうと、長い期間空室がつづく可能性があります。その場合、臨機応変に募集家賃を下げるか、敷金・礼金を抑える工夫などが必要になります。

4-1 賃貸募集時のポイントは?

ただし、毎月のローン返済額との兼ね合いを考える必要があります。また、一度下げた家賃で入居者が決まると、途中での値上げはなかなか難しいため、「家賃の値下げ」などは慎重に検討したほうがいいでしょう。

4-2 管理委託契約について

入居者の「募集」「契約締結」「契約更新」「退居事務」など、専門的かつ法律的な事務作業は管理会社に委託せざるを得ないと思いますが、その都度費用がかかります。

また、設備機器故障時の対応や家賃滞納の督促なども、まるごと委託することができます。しかし、管理戸数が少ない場合で時間が比較的自由に使える方は、委託費用節約のため、その部分は自分で対処することも検討したほうが良いといえます。

5 まとめ

マンション投資における大切なポイントは、まず必要な情報を集め、投資のメリットとリスクを事前に十分検討することです。そのうえでしっかりとした投資の青写真を作り、勝算が見込める場合に行動に踏み切る、という慎重さが求められます。そのことを念頭に置きながら、豊かな生活に向けて合理的な資産形成ができるよう、日々の情報収集や勉強が大切となります。

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HEDGE GUIDE 編集部 不動産投資チーム

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