イーサリアム創設者の一人であるビタリック・ブテリン(Vitalik Buterin)氏は4月1日、イーサリアムの供給量にキャップを提案するEIP(Ethereum Improvement Proposal)を発表した。同氏は自身が作り出した仮想通貨の方針にはほとんど関与しておらず、このEIPの内容自体も「エイプリルフールのメタジョーク」としているものの、コミュニティでは活発な議論が進められているようだ。
同氏が、4月1日に投稿したコメントでは「供給上限を120,204,432ETH、または元々販売された量の2倍にすることを勧める。」としていた。供給キャップを適用することは、イーサリアムを投資家にとってより魅力的なものにするという見方も強い。
イーサリアムは時価総額で第2位の仮想通貨にもかかわらず、供給量の上限が設定されておらず、長期投資価値に関する疑問を払しょくしきれずにいた。こうした懸念に対し、イーサリアムが過去数週間で大幅に価値を下げていくのを見てきたコミュニティと投資家の両者が、ビットコインのように供給キャップという希少性の追加を歓迎するのも不思議ではない。
創設者であっても自分ひとりではプロジェクトを歪曲させることはできないという皮肉を込めた同氏の発言は、多くの人々を巻き込んだ。しかし、今回の騒動はEIPをジョークだと開発者が考えていてもコミュニティ全体が必要だと判断すれば採用されることの裏返しでもある。
最近では、新しいBitmain Ethereum ASIC(GPUよりも格段に優れた高度なマイニングハードウェア)に対して懸念の声が挙がっている。非中央集権が特徴であるはずの仮想通貨がマイナー主導の中央集権化しつつある現状を鑑みた結果、一部のデベロッパーはBitmainのマイニング独占を無力化する対策としてハードフォークを提案している。もちろん、こうした考えに反対する人々も少なくない。
さまざまな考えや思惑の中、中央管理者をもたない仮想通貨が定期的に大きな変化の判断を迫られるのは必然なのかもしれない。
【参考記事】Meta: cap total ether supply at ~120 million #960
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