相続した土地を自治体に寄付(寄贈)する方法・手順は?注意点も

相続した土地は売却するだけでなく、自治体や個人へ寄付(寄贈)するという選択肢があります。不要になった土地を贈ることで、その土地を必要とする人に有効活用してもらえるだけでなく、管理の手間や固定資産税等の税負担を軽減できるメリットがあります。

しかし、土地のような現物資産の寄付は現金寄付のように手軽には行えず、寄付先に合わせた手順を踏む必要があります。土地を自治体に寄付・寄贈する際の手順が分からず、お困りの方も少なくないのではないでしょうか。

そこでこの記事では、相続した土地を自治体に寄付する方法・手順、注意点を解説します。土地の寄付・寄贈を検討していた方はご参考下さい。

目次

  1. 土地を自治体に寄付する方法・手順
  2. 相続した土地を自治体に寄付(寄贈)する際の注意点
    2-1.断られる可能性が高い土地の特徴
  3. 自治体に断られた場合
    3-1.認定地縁団体に寄付する
    3-2.個人に寄付する
    3-3.法人に寄付する
  4. まとめ

1.土地を自治体に寄付する方法・手順

土地を自治体に寄付する方法・手順として、以下の3つが挙げられます。

  1. 自治体の担当窓口に相談する
  2. 自治体の担当部署が土地の調査を行う
  3. 審査後に必要書類を提出する

土地を自治体に寄付するというのは頻繁に発生するものではありません。専門の担当部署を常時設置していない可能性もあることから、まず自治体の総合窓口に連絡して担当窓口につないでもらいましょう。

自治体の担当窓口で土地の寄付について相談してから、担当部署が土地の調査を行います。寄付できるかどうかは、この調査後の審査に通った場合のみです。

審査に無事に通ることができれば、以下のような書類の提出を求められます。

  • 寄付申請書
  • 所有権移転登記承諾書
  • 権利者の承諾書
  • 公図
  • 登記簿謄本
  • 現況写真

必要な書類は自治体によって異なるため、速やかに書類を準備するためにも事前に確認しておきましょう。

2.相続した土地を自治体に寄付(寄贈)する際の注意点

土地の寄付・寄贈を行ったとしても、寄付が必ずしも受け入れてもらえるとは限りません。

自治体の担当部署が土地の調査を行った際に利用価値が低いと判断した場合には、寄付を受け入れてもらえない可能性もあるので注意が必要です。

どのような土地が断られる可能性があるのかについて詳しく見ていきましょう。

2-1.断られる可能性が高い土地の特徴

寄付を断られる可能性が高い土地の例として、以下の2つが挙げられます。

  • 利用が困難な土地
  • 利用するのに多額の費用がかかる

例えば、山奥の土地・傾斜地などのように、利用が困難な土地の場合、自治体から寄付を断られる可能性があります。取得しても自治体として利用できなかったり、第三者に譲ることもできなかったりするためです。

また、土壌汚染などの問題を抱えており、問題の解決に多額の費用がかかるような土地の場合、自治体にとってプラスになる土地とみなされずに寄付を断られる可能性が高いと言えるでしょう。

このように、土地の自治体への寄付は自治体にとって利用価値のある資産を送る手段となります。自治体への寄付は、管理に困った土地を無条件に引き取ってもらう手段ではない点に注意が必要です。

3.自治体に断られた場合

自治体以外の寄付の選択肢として、以下の3つが挙げられます。

  • 認定地縁団体に寄付する
  • 個人に寄付する
  • 法人に寄付する

それぞれの寄付の特徴について詳しく見ていきましょう。

3-1.認定地縁団体に寄付する

認定地縁団体とは、町内会や自治会などです。市区などの地方自治体に受け入れてもらえなかったとしても、市よりも小さな単位である町内会や自治会などでは寄付を受け入れてくれる可能性があります。

しかし、認定地縁団体も地方自治体と同様に利用価値のある土地かどうか審査を行うため、必ず寄付を受け入れてくれるわけではない点に注意が必要です。

3-2.個人に寄付する

相続した土地は知人や近隣住民といった個人に寄付することも可能です。しかし、個人への寄付は税法上贈与として扱われるので注意が必要です。

贈与を受けた方は、基礎控除後(110万円)の課税価格に基づいて、以下のような贈与税が課されます。

課税価格(基礎控除後) 税率 控除額
200万円以下 10%
300万円以下 15% 10万円
400万円以下 20% 25万円
600万円以下 30% 65万円
1,000万円以下 40% 125万円
1,500万円以下 45% 175万円
3,000万円以下 50% 250万円
3,000万円超 55% 400万円

※参照:国税庁「財産をもらったとき

土地の寄付を受け入れた場合、無償で土地が手に入る、自身の所有地が大きくなるといったメリットがある一方、贈与税を納めるための現金を確保しなくてはなりません。

善意のつもりが相手の負担になる可能性もあるため、一方的に寄付するのではなく、事前に相手側とよく話し合ってから寄付を検討しましょう。

3-3.法人に寄付する

寄付は個人だけでなく法人に行うことも可能です。しかし、寄付するのが営利法人もしくは公益法人なのかによって税金の扱いが異なります。

営利法人に相続した土地を寄付した場合は、寄付した側に譲渡所得税が課される可能性があります。

個人に寄付した場合、贈与を受けた側に贈与税が課されますが、贈与した側は課されません。しかし、営利法人に寄付すると、贈与した側に税負担が生じるので注意が必要です。

公益法人に寄付した場合、社会貢献と見なされるので譲渡所得税が免除されます。しかし、勝手に免除されるというわけではなく、課税を免除してもらうために「租税特別措置法第40条の規定による承認申請書」を提出しなければなりません。

※参照:国税庁「公益法人等に財産を寄附した場合の譲渡所得等の非課税の特例のあらまし

まとめ

相続した土地を自治体や個人への寄付(寄贈)することは、その土地を必要とする人に有効活用してもらえるだけでなく、管理の手間や固定資産税等の税負担を軽減できるメリットがあります。

ただし、自治体は土地の調査を行って受け入れの審査を行うため、土地の寄付を受け入れてくれない可能性もあります。また、特定の公益法人以外への個人や法人への贈与には、贈与税や譲渡所得税が課税される点にも注意しておきましょう。

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矢野翔一

矢野翔一

関西学院大学法学部法律学科卒。宅地建物取引士、管理業務主任者、2級FP技能士(AFP)などの保有資格を活かしながら、有限会社アローフィールド代表取締役社長として学習塾、不動産投資を行う。HEDGE GUIDEでは不動産投資記事を主に担当しています。専門用語や法律が多く難しいジャンルですが分かりやすくお伝えしていきます。