アパート経営は、区分マンション投資や戸建て投資と比較すると初期投資が大きくなりやすいため、資金がいくら必要になるのか気になっている人も多いのではないでしょうか?
ひと口にアパート経営と言っても、新築アパートを購入するのか・中古アパートを購入するのか、土地があるのか・ないのかによって必要な資金は変わってきます。今回は、それぞれのパターン別に資金がいくら必要になるのか、各パターンで始める際のメリット・デメリットなどを解説していきます。
目次
- アパート経営の始め方
- 中古アパートを購入するケース
- 完成済み・建築途中の新築アパートを購入するケース
- 相続などで取得した土地にアパートを建てるケース
- 新しく土地を購入してアパートを建てるケース
- アパート経営のその他の諸費用
- アパート経営で計上できる経費の種類と確定申告の手順
- まとめ
1.アパート経営の始め方
アパート経営を始める流れとしては、大まかに下記の手順になります。
- 不動産経営の基本を勉強する
- アパートが購入できる不動産投資会社を探す
- 購入物件を決める
- ローン契約(金消契約)を結ぶ
- 管理会社を決める
- 引き渡し
- 賃料収入・ローン返済の開始
アパート経営を始める際は、不動産経営の基本から勉強を進めて行きましょう。まずは不動産投資の全体的な知識を深めることで、アパート経営が自身の投資目的にあっているかどうか、物件選び・エリア選びの際の判断にも役立ちます。
次に、アパートが購入できる不動産投資会社を探します。不動産会社にも種類があり、大まかには下記に分かれます。
アパートが購入できる不動産会社
- 中古アパートの仲介、販売会社
- 新築アパートの建売会社
- 用地仕入れから販売、管理までワンストップで依頼できる不動産会社
- 顧客が持っている土地にアパートを建築、管理する不動産会社
【関連記事】アパート経営に強い不動産投資会社一覧
アパート経営の不動産会社選びで重視したいポイントは、立地や物件のスペックなどもありますが、重要なのが「管理」です。入退去の賃貸管理だけでなく修繕や原状回復のコストなども適切に対処する必要があるため、特に初心者の方であれば、不動産会社がしっかり管理まで行ってくれるかどうかを判断ポイントにされておくと良いでしょう。
購入物件を決め、ローン契約を締結します。新築アパートであるほどローンが組みやすく、築年数が経過するほどアパートローンの審査が厳しくなります。これは、木造アパートの法定耐用年数が22年と短く、金融機関によっては耐用年数内での融資しか行っていないケースがあるためです。目的の物件でローンが組めなかった場合には、自身の属性にあわせて物件選びを再考されていくと良いでしょう。
また、ローンについては管理会社の信頼性も重要視されます。特にこれまで賃貸経営を行った実績が無い方であれば、アパート経営の実績豊富な管理会社に委託しているかどうかも大切なポイントです。
売買契約が締結、ローン契約が済んだらアパートの引き渡しになります。前オーナーのいる中古物件の場合は入居者の賃貸契約を引き継ぐことになるため、管理会社とよく打ち合わせをしておくと良いでしょう。
引き渡しが完了次第、家賃収入とローンの返済がスタートします。購入前に実施したシミュレーションと乖離が起きていないかなどをチェックしながら、不動産経営を行っていく流れになります。
購入するアパート別のメリット・デメリットを比較
ケース | メリット | デメリット |
---|---|---|
中古アパートを購入 | ・価格が比較的安い ・立地や収益状況が把握しやすい ・すぐに賃貸収入が得られる |
・修繕・リフォーム費用が発生する可能性 ・築年数が古いと資産価値が下がる ・空室リスク |
完成済み新築アパートを購入 | ・最新の設備で入居者を引きやすい ・修繕費が当面不要 ・すぐに賃貸可能 |
・価格が高め ・立地や需要を見誤るリスク ・建物の初期トラブル発生の可能性 |
建築途中の新築アパートを購入 | ・完成後の設備は最新 ・販売価格がやや抑えられることも ・事前に賃貸計画を立てやすい |
・途中で建設が遅延するリスク ・購入後に設計変更が難しい ・完成まで収入が発生しない |
土地を購入してアパートを建てる | ・立地・間取りを自由に設計可能 ・節税効果が期待できる ・新築プレミアムで高い賃料設定 |
・建設費が高額 ・時間がかかる ・建設途中のリスクや調整の手間 |
2 中古アパートを購入するケース
中古アパートとは、築1年を経過したアパートか一度誰かの手に渡ったことがあるアパートです。
中古アパートの売買は、一般的に不動産会社を介して行われ、売主と販売者が異なる場合には仲介手数料が発生します。中古アパートは、土地とアパートがセットになっているため、不動産会社が掲載している広告に表示されている価格はアパートの購入費用だけでなく、土地の購入費用も含まれています。
大手物件検索サイトのLIFULL HOME’Sで調べてみると、2024年3月21日時点で中古アパートの販売価格は、100万円~約9億円と非常に値幅が大きいことが分かります。件数が多い価格帯としては、3,000円~5,000円(2,372件)が最も多く、次は1億円~2億円 (2,261件)となっています。
中古アパートの価格帯
- ~500万円 (55件)
- 500万円~1,000万円 (196件)
- 1,000万円~2,000万円 (672件)
- 2,000万円~3,000万円 (1,012件)
- 3,000万円~5,000万円 (2,372件)
- 5,000万円~7,000万円 (1,818件)
- 7,000万円~1億円 (2,065件)
- 1億円~2億円 (2,261件)
- 2億円~3億円 (265件)
- 3億円~ (74件)
※LIFULL HOME’S 全国売りアパート検索結果から新築・未完成アパートを除外して算出(2024年3月21日時点)
新築アパートの掲載数と中古アパートの掲載数を比較すると、中古アパートの方が売り出されている件数が多く、投資の選択肢も多いということが分かります。ただし、中には築古やアクセスの悪さなどで入居者がつかずに経営難で売りに出されている中古アパートもあるため、投資を検討する際には注意が必要です。
2-1 中古アパートを購入するメリット
中古アパートを購入するメリットは、新築アパートよりも購入価格が2割前後低くなっており、投資金額を抑えることができることです。
また、満室時の利回りは都内の中古アパートで6~10%と新築アパートの5~6%より高くなっています。利回りが高いということは、初期投資の回収までの時間を短縮できることになるため、満室経営が実現できれば新築よりも投資効率を上げることができるという点も大きなメリットと言えるでしょう。
2-2 中古アパートを購入するデメリット
中古アパートを購入するデメリットは、投資金額を抑えることができるものの、経年劣化とともに、修繕費が増大していくため、家賃収入が圧縮されることです。
また、築年数の経過とともに入居者の確保が困難になってくるため、アパートの出口戦略を検討する必要が生じてくるなど、年々リスクが高くなってくることもデメリットと言えるでしょう。
2-3.中古アパートの購入に必要な自己資金
購入価格の約20〜30%が自己資金の目安です。頭金と諸費用(登記費用、仲介手数料など)が含まれます。3,000万円~5,000万円のアパートであれば、600万円~1,500万円が自己資金の目安となるでしょう。
なお、中古アパートの場合は融資審査が厳しくなるため、融資年数が短くなるなどでキャッシュフローがマイナスになってしまうリスクもあります。また、減価償却が計上できる年数も短くなってしまうことから、デットクロスまでの期間が短いという点にも注意が必要です。
2 完成済み・建築途中の新築アパートを購入するケース
新築アパートとは、既に完成済で一度も誰の手にも渡っていない築1年以内のアパートか建築途中で数ヵ月以内に完成するアパートです。
新築アパートの販売も、土地とアパートがセットになっているため、不動産会社が掲載している広告の価格にはアパート(建物)の購入費用だけでなく、土地の購入費用も含まれています。LIFULL HOME’Sで掲載されている新築アパートの販売価格は、1,335万円~4億6,950万円となっています(2024年3月21日時点)。また、件数が多い価格帯は7,000万円~1億円、1億円~2億円となっており、1億円前後がボリュームゾーンです。
新築アパートの価格帯
- ~500万円 (0件)
- 500万円~1,000万円 (0件)
- 1,000万円~2,000万円 (3件)
- 2,000万円~3,000万円 (13件)
- 3,000万円~5,000万円 (22件)
- 5,000万円~7,000万円 (70件)
- 7,000万円~1億円 (108件)
- 1億円~2億円 (338件)
- 2億円~3億円 (46件)
- 3億円~ (22件)
※LIFULL HOME’S全国 新築・未完成のみ売りアパートを参照(2023年3月21日時点)
新築・中古ともに値幅が数千万円から数億円と大きくなる主な原因は、地域による地価の差や規模の大きさです。その他、新築物件の場合は地域によって人件費に差があることも原因の一つです。都心に近くなればなるほど価格が高くなります。
3-1 完成済み・建築途中の新築アパートを購入するメリット
完成済み・建築途中の新築アパートを購入するメリットは、投資用の土地探しから始めてオーダーメイドのアパートを建てる場合よりも、土地を探す時間やアパートの設計を一から考える手間を省くことができるという点です。
3-2 完成済み・建築途中の新築アパートを購入するデメリット
完成済み・建築途中の新築アパートを購入するデメリットは、アパートの立地や設備が既に決まっているということです。土地を購入してアパートを新築する場合のように、需要が期待できる場所を選ぶことができず、内装や設備、間取りなどを自由に設計できません。
また、初期投資が大きくなるため、満室時の利回りは都内で5~6%前後と中古アパートの6~10%より低くなります。運用実績がなく、購入したものの利回り通りの結果を出せるか分からないため、その分リスクが高くなってしまうと言えるでしょう。
3-3.完成済み・建築途中の新築アパートの自己資金
購入価格の10〜20%程度の自己資金が必要です。ボリュームゾーンが7,000万円~1億円のため、700万円から2,000万円の自己資金が必要になります。
ただし、新築アパートは融資年数が長くとれ金利も低く設定しやすいのが強みです。自己資金を貯めておいたり、ややリスクは高くなりますが、ダブルローンを組んで諸費用を補うなどの戦略も検討できるでしょう。
4 相続などで取得した土地にアパートを建てるケース
相続などによって土地を取得した場合は、自宅を建てる・駐車場経営をするといった土地活用の方法以外にも、アパートを建てて運用するという方法もあります。アパートを建てることによって毎月の家賃収入が得られるだけでなく、「住宅用地の軽減措置」が適用されるため固定資産税も抑えることができます。
アパートを建てる費用は、建物の構造によって大きく異なります。代表的な構造は木造・鉄骨造・RC造の3種類です。それぞれの特徴と費用は以下の通りです。
木造は、建築費用を抑えることができるものの、強度が鉄骨造・RC造よりも低くなるため、低層アパート(2~3階建て)向きになります。おおよその建築費用は坪単価50万円程度となっています。
鉄骨造は、強度が木造よりも少し高くなるため、低中層アパート(2~4階建て)の建築が可能になります。しかし、おおよその建築費用は坪単価50~70万円と強度が高くなった分高額になってしまいます。
RC造は、強度が最も高くなるため、高層アパート(主にマンション)の建築が可能になります。しかし、おおよその建築費用は坪単価70~100万円と鉄骨造よりさらに高くなってしまいます。
一般的な4~6戸程度の低層アパートの場合には木造建築が多く、仮に総戸数が6戸で延床面積が60坪だった場合は、木造の坪単価を50万円で計算すると、建築費用は3,000万円必要になります。
4-1 相続などで取得した土地にアパートを建てるメリット
相続などで取得した土地にアパートを建てるメリットは、土地の購入費用が発生しないため初期投資を抑えることができ、高利回りでリスクを抑えた経営ができることです。
また、それぞれの地域に合わせた自分の理想通りのアパートを作ることができる以外にも、本来発生する予定だった土地の購入費用を回すことで太陽光パネルを設置するなど、違う部分に費用をかけることができることもメリットと言えるでしょう。
自分の土地にアパートを建てる場合に役立つのが、NTTデータグループが提供する「HOME4U」の土地活用サービスです。アパート経営の収益プランだけでなく、マンション経営や駐車場経営といった別の投資手法との比較検討もできるメリットがあります。まだ建築会社が決まっていないという場合は、こういった一括比較・問い合わせサービスを活用することも視野に入れてみると良いでしょう。
また、各アパート経営会社でも所有している土地がアパート経営に適しているか土地診断を行ってくれることがあります。
4-2 相続などで取得した土地にアパートを建てるデメリット
相続などで取得した土地にアパートを建てるデメリットは、中古アパートや完成済み・建設途中の新築アパートを購入する場合のように、既に完成している物件を購入するわけではないということです。そのため、建物の設計や打ち合わせなどの手間がかかるほか、運用を開始するまでに時間がかかってしまいます。
また、土地を既に所有していることによって初期投資を抑えることができますが、所有している土地が賃貸需要のない地域のケースも考えられます。この場合、アパートを建てても入居者が集まらずに低い利回りになってしまうことや収支が赤字になってしまうことがあるなど、土地特性の影響を受けやすいこともデメリットと言えるでしょう。
3-3.土地ありでアパートを建築する自己資金
建設費の約20〜30%の自己資金が目安です。3,000万円の建築費だった場合は600万円~900万円が自己資金の目安となるでしょう。
なお、土地ありの場合はローンの担保に土地を設定することが出来るため、土地の担保価値によっては頭金を大きく引き下げることも可能です。アパート経営に適した立地なのであれば担保価値も高くなりやすいため、最も資金調達が行いやすいアパート経営の形と言えでしょう。
5 新しく土地を購入してアパートを建てるケース
アパート経営のために最適と考えられる土地を探すだけでなく、アパートの間取りや設備などを自分で考えることもできるため、自由度の高い経営方法と言えます。
アパートを新築する場合の費用に加え、土地の購入費用が発生しますが、土地の購入費用は地域によって大幅に異なるため、その地域の地価を確認する必要があります。
都内は賃貸需要が期待できるものの、土地の購入費用が高くなるため、土地とアパートの新築費用を合わせると1億円前後になることを想定しておく必要があります。
2018年後半からアパートローンの審査が徐々に厳しくなっており、土地付きの新築アパートでは年収500万円~700万円程度が借入可能な収入の目安になってきています。ただし、勤め先の事業規模や年齢、勤続年数、業種などによっても評価が変わるため、目安として捉えておきましょう。
また、年収以上に重要なポイントは、頭金として捻出する自己資金額です。アパートを土地から取得する場合は1~2割程度の自己資金を求められることもあり、1億円のアパート取得をするのであれば1,000万円以上の資金を必要とするケースもあるためです。
「自分の借入可能額が知りたい」という方や、「どのような物件があるか知りたい」という方は、まずは下記のような新築アパート経営会社に一度相談されてみると良いでしょう。
シノケンプロデュース
シノケングループは、首都圏、福岡、大阪、名古屋、仙台など全国の主要都市でアパートを企画・開発している大手企業です。これまでのアパート販売実績は7,000棟以上、グループ会社のシノケンファシリティーズでは管理戸数47,000戸以上(2023年12月末時点)の実績と入居率98.56% (2023年年間平均入居率)の実績があります。
デザイン面では「ヨーロッパに見られる高級列車の客室をイメージさせるようなワンランク上の居住性」を追求した物件で、多くの入居者から高評価を得ています。
セキュリティや設備にもこだわり、高品質なものが導入されているのが特徴です。小規模な物件でも、オートロック式の物件が多くみられます。また、IoTを導入してスマホで空調や照明を操作できる機能がついた物件もあります。
アイケンジャパン
アイケンジャパンは、「堅実なアパート経営」をコンセプトに掲げる不動産投資会社で、2006年の創立から1000棟以上の開発・引渡し実績があります。対象エリアを主要駅10分圏内(首都圏は15分圏内)、入居者のターゲットは物件選びの目線が厳しい社会人女性に絞って、防音性・防犯性・デザイン性・コストパフォーマンスなどを追求し、入居率99.3%(2023年年間実績)を実現しています。提案時の設定家賃に対しても、10年以上経っても98.7%(2024年6月末時点)の高い収益率を達成できています。
家賃滞納保証や管理代行サポートなども利用できるため、初心者の方でもアパート経営に取り組むことができます。アイケンジャパンでは資料請求するだけで同社のアパート経営ノウハウが詰まった詳細資料とアパート経営に関する書籍のPDFを無料プレゼントしてもらえますので、まずは情報収集からという方も検討されてみると良いでしょう。
郊外の場合は土地の購入費用を抑えることができるため、土地とアパートの新築費用を合わせて5,000万円~7,000万円程度のレンジも視野に入ってきますが、空室リスクや流動性リスク(売りたい時にすぐ売れないというリスク)などは高くなると考えておいたほうが良いでしょう。
5-1 新しく土地を購入してアパートを建てるメリット
土地を購入してアパートを新築するメリットは、自分の投資条件に合う土地を納得いくまで自由に探すことができ、アパートの設備や間取りについても自分で決定ができるということです。
また、自分で自由に決定できるということは、「どこまでリスクを許容し、どれくらいの収益を狙うか」を選択できることを意味しているため、リスクと収益をコントロールしやすいというメリットもあると言えるでしょう。
5-2 新しく土地を購入してアパートを建てるデメリット
土地を購入してアパートを建てるデメリットは、土地の購入費用に加え、アパートの建築費用が発生するため、他のアパート経営手法と比べて初期投資が大きくなってしまうということです。
また、土地を探す必要があることやアパートの間取りや設計を一から考える必要があるため、アパート経営を始めるまでに手間や時間がかかってしまうというデメリットもあると言えるでしょう。
5-3.土地無しでアパートを建てる自己資金
土地購入費と建設費の総額に対し、10〜30%の自己資金が必要です。土地代が加わるため資金が多くなります。7,000万円~1億円の物件価格であれば、700万円から3,000万円の自己資金が必要になります。
資金調達のハードルは高くなりますが、実績のある不動産会社であれば提携金融機関があり、属性次第でフルローンが組めるケースも少なくありません。入居率などの実績も比較しながら、融資に強い不動産会社選びが重要となってくるでしょう。
6 アパート経営のその他の諸費用
アパートの経営に必要な資金は土地とアパートを準備する費用だけで良いのでしょうか?アパートの経営には、諸費用として土地とアパートを準備する費用のさらに7~10%程度の資金が必要になります。主な諸費用は以下の通りです。
- 仲介手数料(※中古アパートなどの場合)
- 契約印紙代
- 登録免許税
- 不動産取得税
仲介手数料とは、アパートを購入する際に不動産会社を仲介した場合に支払う手数料です。(購入費用×3%+6万円)+消費税で求めることができます。(※購入費用が400万円を超える場合の簡易計算式)
この計算式で求められるのは宅地建物取引業法に規定されている仲介手数料の上限です。購入費用の3%以上が仲介手数料として発生することになるため、少しでも費用を抑えたい場合には、不動産会社に仲介手数料の交渉をしてみると良いでしょう。
契約印紙代とは、売買契約書などの契約書や領収書などに課税される国税です。登録免許税とは、契約印紙代と同じく国税で、所有権移転(名義変更)登記を行う場合に支払います。登記を司法書士に依頼する場合にはさらに諸費用が増えるので注意が必要です。
不動産取得税とは、売買による不動産の取得時や新築時に都道府県が課税する地方税です。物件の購入費用ではなく、固定資産税評価額の4%(平成33年3月31日まで特例により3%)が課税されます。
このようにアパートを経営するには、土地の購入費とアパートの建築費用以外にも費用がかかるということを想定して、余裕を持った資金計画を立てるようにしましょう。
7.アパート経営で計上できる経費の種類と確定申告の手順
アパート経営を個人でおこなっている場合、所得税法の不動産所得として家賃収入とその必要経費を計算して申告をすることになります。木造アパートは法定耐用年数が短く1年ごとに計上できる減価償却費が大きいため、給与所得と損益通算をされる方も多いでしょう。
ここではアパート経営を始める際に注意しておきたい、アパート経営で計上できる経費の種類と確定申告の手順について詳しくみて行きます。
7-1 アパート経営で計上できる、不動産所得の主な費用科目
不動産所得の計算で計上できる経費は、家賃収入を得るために直接要した費用として、税金(固定資産税)、損害保険料、建物・設備の減価償却費、管理費、修繕費、立退料などが挙げられます。間接的に必要な費用として、広告宣伝費、仲介手数料、士業報酬なども計上可能です。
アパート経営で計上されやすい項目としては以下のようなものが挙げられます。
- 租税公課・損害保険料
- 建物・設備の減価償却費
- 管理費・修繕費・立退料
- 広告宣伝費・仲介手数料
- 借入金利息
- 給料賃金・士業報酬
- 車両費・事務用品費・通信費
- 貸倒損失・除却損
- 専従者給与
ただし、税法は法改正も頻繁に行われており、事業規模もそれぞれに異なるため、解釈によって適用できるかどうか難しい部分があります。計上できる経費の計算で迷ったときは、税理士などの専門家に相談することも大切です。
特に注意しておきたいポイントとしては、生活に利用している車やパソコンなどの経費の家事按分についてです。家事按分とはプライベートの生活費と事業費が混在している費用について、事業で使用した分の割合で計算し算出することを指しています。
家事按分を行わないまま計上すると過少申告と見なされ、追徴課税などのペナルティを受けることもあります。事業規模が大きくなりやすいアパート経営においては、税理士など専門家のアドバイスを受けながら、経費の仕分けを行っていくことが重要となります。
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7-2 アパート経営の確定申告の手順
アパート経営の確定申告の手順としては、大まかに下記のような手順となります。
- 必要書類・環境を整える
- 不動産所得の帳簿を作成し決算をおこなう
- 確定申告書を提出・納税する
まず、確定申告に必要な書類を整えます。家賃収入があって確定申告をおこなう不動産投資家であれば、確定申告書と収支内訳書もしくは青色申告決算書を提出することになります。これらの書類を作成するために必要な書類を整えます。
アパートの管理会社の家賃明細や家賃の入金先に指定している銀行口座などで確認しましょう。経費についても管理費・修繕費などの領収書で確認します。クレジットカードや銀行口座と連携できる会計ソフトを使用するなどして、日々の記帳を小まめにおこなうと良いでしょう。
必要書類が揃ったら、不動産所得の収支内訳書(白色申告)もしくは青色申告決算書を作成します。不動産所得の収入帳や経費帳などの帳簿を作成、整理して一年分の収入と経費の集計をおこないます。この一年分の集計をおこなって、収支内訳書もしくは青色申告決算書(損益計算書、貸借対照表)を作成する作業を「決算」と言います。
すべての書類を作成したら、管轄の税務署に提出します。提出方法は、直接持参するか、郵送、あるいは電子申告(e-Tax)であればインターネットで送信することによって提出します。所得税の確定申告書等の提出期限は、翌年の2月16日から3月15日までとなります。
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まとめ
アパートの経営には、中古アパートを購入する・完成済み・建築途中の新築アパートを購入する・相続などで取得した土地にアパートを建てる・新たに土地を購入してアパートを建てる、の4つのパターンがありました。
アパートを経営する場合には、それぞれの経営方法によって異なる初期投資の金額に加え、仲介手数料などの諸費用が上乗せされるため注意が必要です。
アパート経営を円滑におこなうためには、初期投資を抑えるだけでなく、それぞれの経営方法のメリットとデメリットをきちんと理解する必要があります。どの経営方法が最もリスクを抑えることができるのか考慮した上で、最適な経営方法を見つけましょう。
矢野翔一
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