不動産投資に強い税理士を探すポイントは?相場や相談方法も

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不動産投資をおこなっていく上で、確定申告を含め税金に関連する手続きや税金に関わる問題は避けて通ることができません。

不動産投資を行いながらこれらの手続きを自身で解決していくのは困難であると感じ、税金の専門家である税理士に依頼している方も少なくありません。しかし、不動産投資に強い税理士をどのようにして探せばよいのか、悩む方も多いのではないでしょうか。

この記事では、不動産投資で税理士に依頼できる業務、不動産投資に強い税理士を探すポイント、料金相場や相談方法について解説していきます。

目次

  1. 不動産投資で税理士に依頼できる業務
    1-1.記帳代行
    1-2.確定申告
    1-3.法人設立相談
    1-4.相続税対策
    1-5.各種税務関係届代行、税務相談
    1-6.不動産投資の経営相談
    1-7.融資時の試算表・収支計画書作成
  2. 不動産投資に強い税理士を探すポイント
    2-1.不動産業関連の実績があるかを確認する
    2-2.不動産投資の経営相談をおこなっているかを確認する
    2-3.相続税関連の実績があるかを確認する
    2-4.融資時の試算表・計画書作成をおこなっているかを確認する
  3. 税理士の依頼費用の相場
    3-1.確定申告の依頼費用
    3-2.顧問料
  4. 不動産投資に強い税理士への相談方法・探し方
    4-1.自分でホームページを検索して探す
    4-2.セミナーや不動産投資家の紹介
    4-3.税理士紹介サイトの利用
  5. まとめ

1.不動産投資で税理士に依頼できる業務

まず、不動産投資で税理士に依頼できる業務には、どのようなものがあるのか確認してみましょう。主に、次のような業務があります。

  • 記帳代行
  • 確定申告
  • 法人設立相談
  • 相続税対策
  • 各種税務関係届代行、税務相談
  • 不動産投資の経営相談
  • 融資時の試算表・収支計画書作成

以下でそれぞれの業務内容を説明していきます。

1-1.記帳代行

記帳代行とは、領収書や預金通帳などの資料から現金出納帳や総勘定元帳などの会計帳簿を作成する業務です。これらは、確定申告の際に税金の計算の基礎となる、貸借対照表や損益計算書を作成する際の元になる帳簿です。

会計帳簿は、簿記の知識があれば作成することができ、必ずしも税理士が作成する必要はありません。しかし、確定申告で青色申告の適用を受けるためには、複式簿記による一定の帳簿を作成することが条件になっています。

帳簿作成の際に税務知識が必要になることもあるため、記帳代行を税理士に依頼すると税務面からリスクの低い会計帳簿の作成が可能になります。

1-2.確定申告

確定申告は、税理士に依頼する業務として最も主要なものになります。

不動産投資をおこなっている個人は、不動産投資から生じた所得につき、毎年翌年の3月15日までに税務署に確定申告をおこなって、所得税と住民税を納める必要があります。法人で不動産投資をおこなっている場合は、各事業年度の末日から2カ月以内に法人税の確定申告をおこない、法人税等を納める必要があります。

税理士に依頼する確定申告業務は、この申告書類を作成する業務とそれに付随して発生する税金に関する相談業務が含まれます。どのような経費を計上することができるのかなどを予め相談することも可能です。

また、確定申告業務には、通常、本人の代理として税務署に主張を伝える、いわゆる税務代理業務も含まれます。税理士に依頼した確定申告について税務署から問い合わせがあった場合、税理士に対応してもらうことも可能です。

1-3.法人設立相談

法人を設立して不動産投資をおこないたい場合、個人事業主から法人化するのであれば予め法人化した場合の税金やキャッシュフローを予測して検討することが重要となります。

このような法人化のシミュレーションや法人化のメリット・デメリットのコンサルティングを請け負い、法人設立の窓口として相談に応じている税理士もいます。

また、不動産投資をおこなう法人にも、不動産所有型やサブリース型、管理型などの形態が考えられます。各形態を比較検討する際のコンサルティングをおこなう税理士もいます。

1-4.相続税対策

投資目的が他にある場合であっても、不動産投資をおこなう上で相続税対策を検討することもあるでしょう。このような不動産を含む相続が発生した場合の相続税額のシミュレーションや遺産分割の方法を予め考慮しておくことは大切であるといえます。

相続税申告業務をおこなう税理士の中には、不動産投資をおこなうオーナーの相続税対策について、コンサルティング業務を請け負うケースもあります。

1-5.各種税務関係届代行、税務相談

所得税や消費税、法人税、相続税の申告以外にも、税務に関係する届け出が必要になることがあります。このような税務関係届の代行も税理士の業務の一つです。

また、税務署から申告内容についての質問や、立ち入り調査が行われることがあります。このような税務署対応も、税理士の業務に含まれます。その他、顧問契約を締結した場合、日常の記帳や投資の各場面で発生する税金に関する相談にも対応してもらえるケースが多いでしょう。

1-6.不動産投資の経営相談

不動産専門の税理士のなかには、将来の資産形成を見据えた経営相談をおこなう税理士もいます。このような税理士に依頼することで、会計技術と税務知識を駆使して、キャッシュフロー予測や税金のシミュレーションに基づくコンサルティングが期待できます。

1-7.融資時の試算表・収支計画書作成

不動産投資をおこなう上では、融資を受けて新たな収益物件を購入することが多いでしょう。融資を受ける際には、過去の決算書・申告書のほかに、現況の財務状態を示す試算表や、収益物件の事業収支計画書を提示すると、融資審査において有利に働くことがあります。

このような財務書類の作成も税理士の主要業務の一つとなり、融資支援を積極的におこなう税理士もいます。

2.不動産投資に強い税理士を探すポイント

不動産投資に強い税理士を探すポイントは、まず、不動産業という業種の担当実績があるかどうかというのが基本になるでしょう。その他には、依頼したい業務内容によって、経営相談、相続税、融資支援などに注目してみるとよいでしょう。

以下で詳細を説明していきます。

2-1.不動産業関連の実績があるかを確認する

税理士には、小売業や不動産業、医業など、担当実績のある業種によって得意な分野が分かれることがあります。

不動産業関連の実績があれば、不動産業の分野に強いといえ、不動産投資において発生する取引処理にも通じていると考えられます。確定申告や記帳代行に関連する税務相談においても迅速かつ適切な対応が可能でしょう。

2-2.不動産投資の経営相談をおこなっているかを確認する

不動産投資を専門に経営相談をおこなっている税理士の数は多くありませんが、対応可能であるかどうか確認しておくことも一つのポイントとなります。

不動産業を専門としている場合でなくても、経営コンサルティングを請け負っている税理士であれば、一定の範囲において不動産投資の経営相談を依頼できる可能性があります。

2-3.相続税関連の実績があるかを確認する

相続税対策として不動産投資をおこなう場合や、長期の資産形成を目的として不動産投資をおこなっている場合では、収益物件の相続に関連する問題が発生します。相続税は、税理士によって得意・不得意が明確に分かれる分野であるといえます。

相続税関連の実績があるかどうかを確認して、相続が発生する前から、相続に強い税理士に依頼することを検討しましょう。

2-4.融資時の試算表・収支計画書作成をおこなっているかを確認する

融資を受けて新たな収益物件を取得することを考慮し、融資支援をおこなっている税理士に依頼することを検討してみましょう。

現況の財務状態を適切に示した試算表や、精緻な予測に基づいた収益物件の収支計画書作成が融資審査に有利に働くだけでなく、融資支援のアドバイスは、融資を受けやすい健全な財務状態作りにも役立ちます。

3.税理士の依頼費用の相場

実際に、税理士に業務を依頼する場合の費用相場はいくらぐらいなのでしょうか。個人あるいは法人が、スポットで確定申告を依頼する場合と、顧問料という形式で日常業務から依頼する場合とに分けて説明していきます。

3-1.確定申告の依頼費用

以下、確定申告の依頼費用の相場を見て行きましょう。記帳を自分で行う場合と、確定申告と合わせて記帳も依頼する場合で費用が変わります。

  • (個人)確定申告+記帳代行:10万円~25万円
  • (個人)確定申告のみ:5万円~15万円
  • (法人)決算・確定申告+記帳代行:25万円~40万円
  • (法人)決算・確定申告のみ:20万円~35万円

※上記はおおよその相場です。家賃収入の規模や依頼先の税理士によって費用は大きく異なる可能性があります。

3-2.顧問料

不動産投資の規模が大きくなってきたり、法人を設立して不動産投資をおこなっていたりする場合は、記帳代行の手間が増え、確定申告や税金に関連する手続きが複雑になって来ます。

手続きには期限があることが多く、適切な判断をタイムリーに処理していくことが求められます。税金に関連するリスクを減らすためには、顧問契約を検討するとよいでしょう。

税理士と顧問契約をした場合の顧問料の相場は、個人では月1万円~3万円、法人では月2万円~4万円程度となります。顧問契約をしている場合は、決算・確定申告料金は、顧問料の4カ月~6カ月分程度が相場となります。

4.不動産投資に強い税理士への相談方法・探し方

不動産投資に強い税理士を探して相談依頼するには、インターネットのホームページ経由、セミナー・不動産投資家の紹介、税理士紹介サイトの利用、などの方法があります。

4-1.自分でホームページを検索して探す

近年では、事務所のホームページを持ち、業務内容の紹介をしている税理士も増えています。インターネットで税理士事務所のホームページを検索し、業務内容を調査して不動産投資に強い税理士を探してみるのもよいでしょう。

興味を持った税理士がいたら、一度面談を設定してもらい、依頼内容と料金の確認をし、複数の事務所を比較検討してみましょう。面談をする場合は、確定申告時期・3月決算の申告時期(5月)などの繁忙期を避けるとよいでしょう。

ただし、自身の条件に合った税理士を探す必要がある点や、比較したい場合には複数の面談を設定する手間がかかる点がデメリットとなります。

4-2.セミナーや不動産投資家の紹介

不動産投資に強い税理士事務所では、不動産投資に関連する税金についてのセミナーを開催していることがあります。

セミナーでは、事務所の業務内容を紹介しているケースも多いため、セミナーをきっかけに税理士を探すのもよいでしょう。また、不動産投資家の会合に出席するような機会があれば、実際に確定申告などを依頼している投資家に税理士を紹介してもらうという方法もあります。

不動産投資に詳しい税理士を見つけられる可能性がある反面、複数の税理士を比較したい場合に大きな手間がかかる点がデメリットです。

4-3.税理士紹介サイトの利用

税理士紹介サイトを利用して、不動産投資に強い税理士を紹介してもらうという方法もあります。税理士紹介サイトでは、コーディネーターが、相談者のニーズに合った税理士をピックアップし、面談を調整してくれます。税理士との依頼内容の調整や、料金交渉などもコーディネーターに任せることが可能です。

税理士ドットコム

税理士ドットコム税理士ドットコムは、全国5,900名の税理士の中から無料で希望に沿った税理士を紹介してもらえるウェブサービスです。複数の税理士を比較することができるうえ、「費用はいくら?」「どんな税理士を選ぶべき?」といった税理士を選ぶ際の相談も可能となっています。

報酬引き下げの実績も豊富なため、すでに税理士と契約している方でも利用が可能です。コーディネーターが複数の税理士に相見積りをとり、費用についての交渉までサポートしてくれます。

利用時の主な注意点としては、提携している税理士の紹介しか受けられない点です。提携外の税理士も比較していきたい方は、自身で探してみたり、セミナーに参加するなどと並行して利用を検討すると良いでしょう。

まとめ

不動産投資に強い税理士を探すポイントは、不動産業の担当実績があるかどうかというのが基本になるでしょう。確定申告や記帳代行以外に依頼したい業務内容がある場合、経営相談、相続税、融資支援などに対応する税理士もいます。

料金は、確定申告と記帳代行、スポットか顧問かで分かれていることが多いでしょう。その他、家賃収入の規模によっても変わります。依頼したい業務内容との費用対効果や相性なども考慮して選ぶとよいでしょう。

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佐藤 永一郎

筑波大学大学院修了。会計事務所、法律事務所に勤務しながら築古戸建ての不動産投資を行う。現在は、不動産投資の傍ら、不動産投資や税・法律系のライターとして活動しています。経験をベースに、分かりやすくて役に立つ記事の執筆を心がけています。