親の死後、家の名義変更はいつまでに必要?放置してしまった場合の注意点も

親が死亡して相続によって不動産を取得した人の中には、名義変更手続きを行っておらず、いつまでに名義変更を行う必要があるのか気になっている人もいると思います。

特に期限が設けられていないのであれば、放置していても問題がないように思われますが、放置した場合には何かペナルティがあるのでしょうか?

この記事では、相続した不動産の名義変更の期限と放置した場合における注意点について解説します。

目次

  1. 家の名義変更はいつまでに必要?
    1-1.相続不動産の名義変更は義務ではなく期限もない
  2. 名義変更を放置した場合の4つの注意点
    2-1.不動産の売却が自由にできない
    2-2.不動産の担保設定が自由にできない
    2-3.権利関係が複雑になる
    2-4.次の相続にかかる費用が2倍になる可能性がある
  3. まとめ

1.家の名義変更はいつまでに必要?

親が死亡した場合、親が有していた財産を相続することになります。親が死亡して不動産を相続した場合は親から相続人に所有権が移転しますが、名義は勝手に変更されません。

不動産の名義は相続後に自ら変更しなければなりませんが、名義変更の期限がいつなのか分からないという人も多いと思います。

例えば、相続税の申告は相続の開始後10ヶ月以内、死亡した親が事業を行っていた場合は4ヶ月以内に純確定申告と期限が決まっています。

また、相続放棄や相続の限定承認は相続開始を知った時から3ヶ月以内、遺留分減殺請求は侵害を知った時から1年以内に請求と期限が決まっているので注意が必要です。

では、不動産の名義変更の期限はいつに定められているのでしょうか?名義変更について詳しく見ていきましょう。

1-1.相続不動産の名義変更は義務ではなく期限もない

そもそも名義変更は必ず行わなくてはならないものなのでしょうか?

不動産の所有権は登記簿謄本の権利部に明示されています。登記に記載されている人が亡くなった場合は所有者が存在していないため、所有者の変更によるトラブルを未然に防ぐために新たな所有者に変更しておく必要があります。

しかし、権利部の登記は必ず行わなければならないと義務付けられていません。登記を管轄している法務局からの電話もないため、変更せずにそのまま放置してしまっている方も少なくありません。

名義変更は義務ではなく期限も設けられていませんが、名義を変更していないと売却が出来なかったり、借入時の担保として承認されないなど様々な問題が生じます。

また、所有者が不明瞭になることで放置した後のトラブルに発展することも考えられます。名義変更はなるべくスムーズに行った方が良いでしょう。

2.名義変更を放置した場合の4つの注意点

名義変更を放置した場合の注意点として以下の4つが挙げられます。

  • 不動産の売却が自由にできない
  • 不動産の担保設定が自由にできない
  • 権利関係が複雑になる
  • 次の相続にかかる費用が2倍になる可能性がある

それぞれの注意点について詳しく見ていきましょう。

2-1.不動産の売却が自由にできない

登記上の所有者がいない場合、不動産を自由に売却することが出来なくなります。

何かしらの理由によって急に不動産を売却して現金化しなくてはならなくなった場合でも、名義変更が完了するまで売却できず、売却タイミングを逃してしまう可能性があります。

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2-2.不動産の担保設定が自由にできない

金融機関で大きな借入をする場合、不動産などの資産を担保に設定することがあります。その際、金融機関は登記をもとに所有者を判断するため、名義変更がされていない家を担保設定することは出来なくなります。

2-3.権利関係が複雑になる

不動産を所有していた父Aが死亡して、母Bと息子C、娘Dが不動産を相続した場合は、B・C・Dの共有名義になります。

遺産分割協議を行ってどのように不動産を相続するのかを決める場合には、3人が集まって話し合わなくてはなりません。

どのように相続するのか決めずに共有名義のまま放置していると、Cが亡くなってしまった際、妻Eと息子F、娘Gといったように相続人が増え、遺産分割協議が複雑化してしまう可能性があります。

2-4.次の相続にかかる費用が2倍になる可能性がある

父AAが死亡して母Bが相続したものの、Bが名義変更せずに死亡しCが相続した場合には、Cが名義変更を行おうとすると費用が2倍になる可能性があります。

この場合、AからCに直接変更できず、A→B、B→Cと2回に分けて名義変更を行う必要があるため、名義変更の費用が2倍になるので注意が必要です。

また、「租税特別措置法第84条の2の3第1項」により、平成30年4月1日~令和3年3月31日までの間に上記のような名義変更を場合には、1回目の名義変更の費用が免除となります。

まだ、名義変更を行っておらず、上記のように2回分の費用がかかってしまいそうな人は、免除の適用期間内に名義変更を行いましょう。

まとめ

親の死亡によって不動産を相続した場合、いつまでに名義変更をしなくてはならないのか気になっている人も多いと思います。

しかし、不動産の名義変更は義務化されておらず、期限も設けられていません。そのため、名義変更を行わなかったからと言って、何かペナルティが科されることもありません。

ペナルティが科されないと言っても、不動産の売却が自由にできない、不動産の担保設定が自由にできない、権利関係が複雑になるなどのデメリットがあります。

後でトラブルに発展する可能性が高いため、相続によって不動産を取得した場合には必ず名義変更を行いましょう。

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矢野翔一

矢野翔一

関西学院大学法学部法律学科卒。宅地建物取引士、管理業務主任者、2級FP技能士(AFP)などの保有資格を活かしながら、有限会社アローフィールド代表取締役社長として学習塾、不動産投資を行う。HEDGE GUIDEでは不動産投資記事を主に担当しています。専門用語や法律が多く難しいジャンルですが分かりやすくお伝えしていきます。