Airbnb、IPO後初の決算内容は?業績から民泊の需要動向を考察

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民泊仲介サービス大手のAirbnbが、IPO後初となる2020年の決算を2021年2月に発表しました。

コロナショックによってかつてない大きなダメージを受けた2020年の民泊は、仲介大手のAirbnbの業績にどのように反映されたのでしょうか。

本記事では、Airbnbの2020年の決算業績から、民泊の需要回復について考察します。

目次

  1. AirbnbのIPO後初の決算内容
    1-1.2020年通算の決算
    1-2.2020年の四半期決算の推移
  2. Airbnbの好決算は民泊の需要回復可能性を示唆している
  3. まとめ

1.AirbnbのIPO後初の決算内容

民泊仲介サービス大手のAirbnbが、IPO後初となる2020年の決算を2021年2月15日に公開しました。2020年は、コロナショックによって宿泊需要が激減し、回復基調はみられたものの、一年を通して新型コロナウィルスの影響を受け続けました。

民泊業界にとっては非常に厳しい年であったといえます。このような状況下で、最大手の民泊仲介サービスを提供するAirbnbの業績には新型コロナウィルスの影響をどれほど受けたのでしょうか。

1-1.2020年通算の決算

Airbnbの2020年通算の決算では、総収入が約34億ドルで、対前年比約30%の減収となりました。純損失は46億ドルとなっており、前年の純損失7億ドルと比較すると大きく損失が膨らみました。

しかし、企業の営業キャッシュフローを示すEBITDAは、2億5100万ドルのマイナスで、2019年のマイナス2億5300万ドルよりもわずかに改善しています。

なお、2020年の通算予約件数は1億9000万件となり、前年比41%減となっています。
一年間を通算すると、新型コロナウィルスは、Airbnbの売上を大きく減少させたものの、営業キャッシュフローにはそれほど大きな影響を与えていないといえるでしょう。

1-2.2020年の四半期決算の推移

Airbnb 2020年の四半期決算の推移

※画像引用:Airbnb「Shareholder Letter Q4 2020

次に、Airbnbの2020年の四半期ごとの決算をみてみましょう。2020年第一四半期の収入は8億4000万ドルで2019年とほぼ変化はありません。第二四半期に入って、コロナショックが勃発し、3億3500万ドルと対前年同期比72%減にまで落ち込んでいます。

Airbnb 2020年四半期決算の内訳推移

※画像引用:同上

しかし、第三四半期には、13億4000万ドルと対前年同期比18%減にまで回復し、第四四半期は、8億6000万ドルと対前年同期比22%減で推移しています。

また、予約件数については、第一四半期5700万件(前年同期比30%減)、第二四半期2800万件(前年同期比67%減)、第三四半期6200万件(前年同期比28%減)、第四四半期4600万件(前年同期比39%減)と推移しています。

このようにみると、新型コロナウィルスの感染が拡大し、社会・経済に大きな影響を及ぼした初期の時期にはAirbnbの売上は大きく落ち込んだものの、売上も回復して来ているといえます。

予約件数も最悪期よりも大きく改善していることから、旅行需要そのものが回復傾向にあると考えられます。

2.Airbnbの好決算は民泊の需要回復可能性を示唆している

Airbnbの2020年の決算から、旅行需要は、コロナ以前の水準にまでは達していないものの、回復基調にあることがわかりました。

このことは、新型コロナウィルスの感染拡大が、人々の生活スタイルを変え、旅行需要そのものを減退させたわけではない、ということを示しているといえるでしょう。したがって、感染が収束すれば、抑えられていた旅行需要が一気に回復してくる可能性は高いと考えられます。

Airbnbが2021年2月初旬に日本全国でおこなった調査でも、半数以上の人がコロナ収束後1年に複数回の旅行をしたいと回答したとしており、旅行需要の多さを裏付ける結果となっています。

ただ、同調査では、2021年に限ると、約4割の人が旅行するとは思えない、と回答しています。日本における新型コロナウィルスの感染収束がいまだ未知数である状況を反映したものといえるでしょう。

このように、人々の旅行需要は減退したわけではなく、民泊の需要回復可能性は高いと考えられますが、その回復は、新型コロナウィルスの感染収束の状況次第になるでしょう。

※出典:Airbnb「国内感染拡大収束後の未来の旅行に関する意識調査

まとめ

AirbnbのIPO後初の2020年決算を見ると、コロナ禍でも人々の旅行需要は衰えていません。

新型コロナウィルスの感染が収束すれば、抑えられていた旅行需要が一気に回復し、民泊にも宿泊客は戻ってくる可能性は十分にあるでしょう。ただし、新型コロナウィルスの感染収束の状況に左右されると考えられ、回復のタイミングや程度はまだ不透明であるといえます。

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佐藤 永一郎

筑波大学大学院修了。会計事務所、法律事務所に勤務しながら築古戸建ての不動産投資を行う。現在は、不動産投資の傍ら、不動産投資や税・法律系のライターとして活動しています。経験をベースに、分かりやすくて役に立つ記事の執筆を心がけています。