孤立する若者のための第3の居場所を。東京都立川市のふるさと納税で寄付募集

「若者と社会をつなぐ」をミッションに子ども・若者を支える認定NPO法人育て上げネットは、ふるさと納税制度を活用したガバメントクラウドファンディングを東京都立川市で開始した。募集期間は2023年11月10日〜12月31日まで。目標金額は300万円で、集まった寄付は若者のための第3の居場所「夜のユースセンター」の運営費用に充てられる。

内閣府の調査では、10代から30代の若者の約5〜7%が、孤独感を「しばしば・常に感じている」という結果が出ている。若者の生きづらさにつながる「不登校」「児童虐待」は過去最多を記録し、中学2年生のヤングケアラーは5.7%、高校2年生で4.1%と1クラスにひとりは苦しい境遇にある若者がいることが明らかになった。

最近では「トー横」「グリ下」と呼ばれる場所に、家に居場所がない若者が集うようになっており、経済的な困窮や自尊感情の乏しさにより、売春や違法薬物の売買、闇バイトの紹介など、危険な行動に向かわせている報道がなされている。家や学校が安心・安全でいられる場所になっていない現実を前に「第3の居場所(サードプレイス)」と呼ばれる取り組みが全国的に注目を集めている。

そこで、育て上げネットは、毎週土曜日18〜21時にオープンする若者のためのフリースペース「夜のユースセンター」事業を2023年度から本格的に開始。近隣の10代の若者、ひきこもり、夜勤前の会社員など、さまざまな境遇の若者が訪れ、多いときは40名以上集まることも。地域の飲食店の協力により、夕食は無料で提供。ゲーミングPCやボードゲーム、さまざまな楽器もあり、思い思いの時間を過ごせる空間だ。出入口には生活用品や食料品も準備されていて、インスタント食品やティッシュ、生理用品など必要なものを帰り際に持ち帰ることができるという。

「夜のユースセンター」は従来の就労支援とは異なり、夜に開催される。これまで多くの支援プログラムは日中に行われているため、生活サイクルが夜型の若者に支援が届いていなかった。また、長期目線のプログラムである点も特徴的だ。利用期限を設けず、気が向いたときに立ち寄れる空間を目指し「働く」や「自立」といった具体的な目標にはあえて触れない支援を実施している。

ふるさと納税で集まった寄付は、食事代(夕食の提供)や生活用品・食料品、場所代(会場費、光熱費、通信費)などに使われる。1回あたりの想定費用は計6万円。年間50回開催予定のため、300万円の集金を目指す。

【関連サイト】ふるさとチョイス「孤独・孤立から子どもを守りたい。家でも学校でもない第3の居場所を立川市につくる

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岡村 幸治

フリーライター。2020年までスポーツニッポン新聞社で野球記者を務め、読売巨人軍やアマチュア野球などの取材、原稿執筆を担当。得意分野はスポーツ、旅行、ニュース記事。中立でわかりやすい記事を心がけています。 
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