クラウドファンディングと寄付の違いは?仕組みや特徴を比較

社会貢献に興味があって手段を調べている人の中には、寄付以外にクラウドファンディングという手段があることを知り、どのような支援に活用できるのか知りたいと考えている人もいると思います。

クラウドファンディングの仕組みは社会貢献に活用することも可能ですが、多種多様なプロジェクトがあり、寄付と異なる部分も多いため、違いをしっかり理解しておくことが重要です。

この記事では、クラウドファンディングと寄付との違い、クラウドファンディングの種類を解説します。

目次

  1. クラウドファンディングと寄付の違い
    1-1.クラウドファンディングの仕組みや特徴
    1-2.寄付の仕組みや特徴
  2. クラウドファンディングの種類
    2-1.寄付型クラウドファンディング
    2-2.ふるさと納税型クラウドファンディング
    2-3.購入型クラウドファンディング
    2-4.投資型クラウドファンディング
  3. まとめ

1.クラウドファンディングと寄付の違い

クラウドファンディングと寄付の違いを詳しく解説していきます。

1-1.クラウドファンディングの仕組みや特徴

クラウドファンディングとは、群衆を意味する「クラウド」と資金調達を意味する「ファンディング」を組み合わせた言葉で、プロジェクトの内容に共感した人が企画者を寄付金で支援する仕組みのことを指しています。

クラウドファンディングのプロジェクト内容には、例えば、地元の農業に欠かせない貯水池の整備に必要な資金、過疎化が進む地域で地域住民が集う喫茶店を開業するために必要な資金を募るなどの事例があります。

クラウドファンディングと寄付との違いは、プラットフォームが間に入ってお金のやり取りをするか、寄付先に直接お金が届くか、という点です。

また、購入型クラウドファンディングと呼ばれるサービスでは、収穫されたお米や野菜、喫茶店で使用できるクーポンなどが配布されるなどのリターンを提供しているケースもあります。しかし、寄付型クラウドファンディングと呼ばれるリターンのないプロジェクトもあり、リターン目的の場合には出資前に確認をすることが大切です。

1-2.寄付の仕組みや特徴

寄付は、お金や必要とされている物品を贈って支援をする行為です。特定のプロジェクトなど寄付の用途を指定することもできますが、多くの場合では活動全体の支援のために寄付が使われます。

また、原則としてリターンがないという点もクラウドファンディングとは異なる点となります。ただし、自治体への寄付である「ふるさと納税」などでは、返礼品や寄付を行った時の寄付金控除(税制の優遇)を受けられるという点は寄付のリターンとも言えるポイントでしょう。

【関連記事】寄付金控除となる対象団体は?金額の上限や申請手順も解説

2.クラウドファンディングの種類

各クラウドファンディングについて詳しく説明していきます。

2-1.寄付型クラウドファンディング

寄付型クラウドファンディングとは、寄付と同様に、プロジェクトに対して資金を提供するタイプです。寄付と同様に、基本的に商品やサービス、分配金などのリターンはありません。

しかし、プロジェクトの中には、支援してくれたことに対するお礼として手紙や写真などをリターンしてくれるケースもあります。

また、プロジェクトによっては、寄付のように税制の優遇を受けられるケースもあります。ただし、全てのプロジェクトが税制の優遇を受けられるわけではないので注意が必要です。

【関連記事】寄付型クラウドファンディングの仕組みは?メリットや注意点も

2-2.ふるさと納税型クラウドファンディング

ふるさと納税型クラウドファンディングとは、ふるさと納税制度を使って自治体、自治体の認めた個人や団体のプロジェクトに資金を提供するタイプです。

ふるさと納税型クラウドファンディングはふるさと納税の制度を使っているため、プロジェクトによっては通常のふるさと納税と同様に返礼品を受け取れるものもあります。また、寄付金控除の対象にもなっているため、返礼品を受け取りつつ寄付金控除も受けたい人にも向いています。

2-3.購入型クラウドファンディング

購入型クラウドファンディングとは、プロジェクトの支援によって商品を受け取るまたはサービスを利用できるタイプです。募集期間内に目標金額に到達した場合のみプロジェクトが実行される形式と目標未達でもプロジェクトが成立する形式の大きく2つに分類されます。

しかし、支援金だけ集めてプロジェクトが実行されないケースもあるため、プロジェクトの詳細を事前にしっかり確認しておくことが重要です。興味のある商品やサービスを提供したいと考えている人を支援したい人に向いています。

2-4.投資型クラウドファンディング

投資型クラウドファンディングは、クラウドファンディングの仕組みをつかって特定のファンドへ出資を行い、分配金という形でリターンを得る投資方法の一つです。特定の団体や対象に支援を行う寄付とは異なり、金銭的なリターンを得る目的で行われ、元本棄損のリスクがあります。

投資型クラウドファンディングには、大まかに下記の3種類があります。

融資型クラウドファンディング

融資型クラウドファンディングは、事業者が仲介し、資産を運用したいと考えている個人投資家から小口資金を集めて、大口化したものを企業に融資するタイプです。ソーシャルレンディングとも呼ばれ、融資先に貸し付けた金額に応じて金利収益を得る投資方法となります。

ファンド型クラウドファンディング

ファンド型は特定の運用対象や事業のファンドを組成し、運営企業によって運用が行われるクラウドファンディングです。不動産を対象とした「不動産投資型クラウドファンディング」が多く提供されています。

株式投資型クラウドファンディング

株式投資型クラウドファンディングとは、企業に資金を提供する代わりに企業の未公開株を受け取れるタイプです。株主優待が受けられるケースもあります。

3.まとめ

リターンを目的としない寄付とは違い、クラウドファンディングはリターンを目的とするプロジェクトや、特定の小規模団体や個人に向けたプロジェクトが多く見られます。

目的によってどちらを選ぶべきかが異なるので、それぞれの特徴をよく理解してから選びましょう。特にクラウドファンディングは、税制の優遇を受けられるかどうか判断が難しいケースも多いため、寄付金控除を検討している場合には注意が必要です。

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矢野翔一

関西学院大学法学部法律学科卒。宅地建物取引士、管理業務主任者、2級FP技能士(AFP)などの保有資格を活かしながら、有限会社アローフィールド代表取締役社長として学習塾、不動産投資を行う。HEDGE GUIDEでは不動産投資記事を主に担当しています。専門用語や法律が多く難しいジャンルですが分かりやすくお伝えしていきます。