雨漏りのあった家の売却を考えている人の中には、トラブルなく売却できないか方法を探している人も多いと思います。
この記事では、雨漏りのあった家を売却する場合の注意点、トラブル回避の3つのコツを解説します。
目次
- 雨漏りのあった家の売却では告知義務を伴う
1-1.雨漏りによる二次被害も告知義務を伴う
1-2.告知義務を満たさなければ契約不適合責任を負う
1-3.雨漏りの再発防止は難しい - トラブルを回避する3つのコツ
2-1.事前に不動産会社に相談する
2-2.不動産買取を利用する
2-3.建物診断(ホームインスペクション)を受ける - まとめ
1.雨漏りのあった家の売却では告知義務を伴う
雨漏りがあることを購入希望者に告げた場合、値下げを要求される、購入を見送られるなど売却に不利な可能性があります。
しかし、雨漏りは物理的瑕疵という欠陥が物件に潜んでいることになります。売買契約時にはあらかじめ購入希望者に欠陥内容を伝えなくてはならず、欠陥を隠してしまうと告知義務に違反してしまうこととなります。
1-1.雨漏りによる二次被害も告知義務を伴う
雨漏りが原因で建物内にカビや湿気を含んだ木材を好むシロアリが発生している可能性もあります。このようなカビやシロアリによる被害も告知義務の対象です。
カビやシロアリの被害が発生しているにもかかわらず告知せずに放置していた場合には、告知義務違反で契約不適合責任を問われる可能性があることを理解しておきましょう。
1-2.告知義務を満たさなければ契約不適合責任を負う
2020年4月の民法改正では、瑕疵担保責任が契約不適合責任に変更されました。
改正前の瑕疵担保責任では、売主が負う責任は隠れた欠陥(瑕疵)に限定されていました。しかし、契約不適合責任では、隠れた欠陥に限定されていません。
引渡後の不動産が契約内容に適合していなかった場合、売主が責任を負うことになるため、瑕疵担保責任よりも責任が重くなったといえます。
買主が売主に請求できるのは以下の4つです。
- 追完請求
- 代金減額請求
- 契約解除
- 損害賠償
追完請求は完全な状態にしてから再度引き渡してもらうことで、雨漏りの場合は雨漏りの修繕、カビやシロアリの除去といった修補です。
代金減額請求は追完請求に応じない場合に売却代金を減額してもらうことです。
上記のような請求があった際に応じなければ契約解除や、損害賠償を請求される可能性があります。
【関連記事】契約不適合責任をわかりやすく解説!売主が注意したい3つのポイントも
1-3.雨漏りの再発防止は難しい
雨漏りは修繕を行っても再発してしまう可能性のある欠陥の一つです。雨漏りの原因は多岐にわたり、住宅の致命的な部分が損傷している場合には完全な修繕が難しかったり、高額な修繕費用がかかるケースもあります。
修繕をおこなったうえで売却を行ったとしても、売却後に雨漏りが再発してしまうと前述した契約不適合責任の範囲・期間内であれば、責任追及をされてしまう可能性は高いと言えます。契約不適合責任の一部を免責にするなど、契約の方法にも工夫が必要になります。
2.トラブルを回避する3つのコツ
トラブルを回避するには、欠陥の存在を把握している場合は欠陥を修繕してから売却する、欠陥内容を売買契約書に盛り込んでおくことが大切です。
売買契約書に欠陥の内容が明記されていて、重要事項説明の際に買主が説明を受けた場合、記載されている欠陥については基本的に免責されます。
また、中古住宅の売買では、物件を引き渡した後のトラブルを回避するために「契約不適合責任を負わない」という免責特約を売買契約書に盛り込むこともあります。
これらを踏まえ、雨漏りのあった家をトラブル回避しながら売却するコツとして、以下の3つが挙げられます。
- 事前に不動産会社に相談する
- 不動産買取を利用する
- 建物診断を受ける
それぞれのコツを詳しく説明していきます。
2-1.事前に不動産会社に相談する
雨漏りの修繕を行う前に不動産会社に相談すれば、修繕を行うべきかどうかの判断に対してアドバイスを行ってくれます。
例えば、そのまま不動産を売りに出して、購入希望者に修繕を実施(代金上乗せ)してから引き渡す、欠陥の修繕にかかる費用を代金から減額するのかを買主に決めてもらう方法も検討できます。
その他、契約不適合責任をどのように設定するのか、という点も重要なポイントです。
契約不適合責任の免責範囲を大きくするほど、契約不適合責任を追及されるリスクは下がります。しかし一方で、買主の購入リスクが増してしまい、売却価格は安くなってしまうデメリットがあります。
このような価格と契約条件のバランスをとった売却戦略をどのように立てていくのか、不動産会社に事前に相談を行うことで、慎重に検討していくことが重要となってきます。
2-2.不動産買取を利用する
雨漏りのような欠陥を告知しなければ契約不適合責任を負うことになるため、必ず欠陥を告知して売却を進めることになりますが、欠陥のない住宅と比較して売却が不利になるのは避けられません。
このような場合、不動産買取を検討してみるのも選択肢の一つです。不動産買取は、不動産買取業者に物件を買い取ってもらうという売却方法です。
個人を買主の対象とした仲介とは異なり、契約相手が宅建業者である不動産買取の場合は契約不適合責任を問われることはありません。
また、買主と売主の双方が契約条件に合意すれば、すぐに契約が成立するため、物件が売れるまでに時間がかかって困るという事態を回避できます。
しかし、買取価格が市場相場よりも2~3割程度低くなる傾向があるため、少しでも物件を高く売却したい人は、複数の買取業者の査定を比較しながら買取先を決めましょう。
複数の不動産会社を比較する際は、不動産一括査定サイトの利用を検討してみましょう。不動産一括査定サイトでは、物件情報を一度登録するだけで複数社から査定結果を受けとることが可能です。物件情報の備考欄には、雨漏りしている物件であることを明記しておきましょう。
また、買取価格と合わせて仲介時の査定価格も合わせて提出してもらうようにしてみましょう。仲介と買取の価格を比較することで、どちらの売却手段が適しているのか判断する際にも役立ちます。
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【関連記事】不動産査定会社・不動産売却サービスのまとめ・一覧
2-3.建物診断(ホームインスペクション)を受ける
建物診断とは、売却前の物件に瑕疵が潜んでいないかを専門家に検査してもらうことです。住宅診断やホームインスペクションとも呼ばれます。
雨漏りの場合、原因となっている箇所を修繕しても、床下や柱などの目には見えない箇所に何らかの欠陥が潜んでいる可能性があるので要注意です。
専門家に劣化状況や欠陥の有無などを確認してもらい、修繕が必要な場合はアドバイスに従って修繕、問題なければ診断済みの物件として売り出すことで、需要を増加させられる可能性があります。
ただし、建物診断の費用を買主に請求することは難しいと言え、基本的に売主負担となります。調査の内容で費用は大きく異なりますが、戸建住宅の住宅診断は5万円程度の費用を想定しておく必要があります。
また、調査と言っても、目視や計測によって行う調査が主体となるため、完全に劣化を把握できるわけではない点に注意が必要です。
【関連記事】家の売却、住宅診断(ホームインスペクション)のメリット・デメリットは?
まとめ
民法改正によって瑕疵担保責任が契約不適合責任に変化したことにより、売主の売却後の物件に対して負う責任が以前よりも重くなりました。告知義務に違反すれば買主から追完や代金減額などを請求される可能性があります。
また、「欠陥を修繕して売却すれば問題ない」と思っていても、雨漏りが原因で他の部分に欠陥が潜んでいる可能性もあるうえ、雨漏りのような再発防止が難しい欠陥の場合にはリスクが高いと言えるでしょう。
売却後のトラブルを回避するためには、不動産の専門家である不動産仲介会社に相談する、不動産買取業者に物件を買い取ってもらうなど、コツを押さえながら売却を進めましょう。
矢野翔一
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