ビザとマスターカード、露金融機関との取引停止。各国の経済制裁に対応、ウクライナ人道支援に寄付も

米クレジットカード大手のビザ(ティッカーシンボル:V)とマスターカード(MA)は、自社の決済網からロシアの複数の銀行を排除したことを発表した(*1、2)。ロシアのウクライナ侵攻を受け、各国が打ち出した経済制裁に対応する。

マスターカードは28日、自社の決済網から複数の金融機関を排除したことを発表。同社は「今後も規制当局と協力し、法令順守していく」と述べた(*1)。競合のビザも3月1日、「制裁措置を確実に順守するため迅速に行動しており、今後行われる可能性のある追加制裁へも準備する」との声明を発表した(*2)。両社はウクライナの人道支援のために、それぞれ200万ドル(約2億3,000万円)を寄付することも明らかにしている。

2月24日、ロシアが不当な軍事侵攻に踏み切ったことにより、米国を始め世界各国がロシアをグローバル金融システムから排除すべく、一連の制裁を発動した。米国は同日に複数の個人および金融機関を特別指定国民(SDN)リストに追加。これにより、米国人および企業は同リストに指定された個人もしくは企業と資金・物品・サービスの取引を禁止されることになる。また、バイデン政権はロシア中央銀行との取引を禁止する制裁措置も講じている。

さらに、米国と欧州連合(EU)は2月26日、国際的な銀行決済取引網である「国際銀行間通信協会(SWIFT)」からロシアの主要銀行を排除する方針を表明した。これにより、ロシアは世界中の金融市場へのアクセスが制限され、同国の企業にとっては貿易の決済が難しくなる。

これらの広範囲におよぶ制裁発動により、ロシアの通貨ルーブルは急落しており、ロシア市民はATMから資金を引き出そうと長蛇の列をなしているという。一方、ウクライナのミハイロ・ヒョードロフ副首相は主要な暗号資産(仮想通貨)取引所に対し、ロシアのユーザーが保有するアドレスを停止するよう要請した。

暗号資産は中央銀行などが管理していない。そこで、制裁で金融取引の場を狭められたロシア人が、その抜け穴として利用する可能性があることに対応するためだ。そのようななか、世界最大級の暗号資産取引所であるバイナンスは、制裁対象のロシア人の利用を停止するが、すべてのロシア人の口座を一方的に凍結することはないと強調している。

ロシアによるウクライナへの軍事攻撃が続くなか、今後も各国政府による制裁や企業の事業停止が続くと考えられる。ただ、過度の制裁は新たな戦争の火種にもなりかねない。緊迫した局面だからこそ、平和に向けた対話の姿勢を期待したい。

【参照記事】*1 マスターカード「Mastercard Statement
【参照記事】*2 ビザ「A message from Visa
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HEDGE GUIDE 編集部 クレジットカードチーム

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