売却が難しい不動産を相続した時の対処法は?売却や相続放棄、寄附の手順を解説

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売却できない、または売却が難しい不動産を相続してしまった時は、一体どうしたら良いのでしょうか?

相続不動産の売却が難しいからと言って放置してしまうと、特定空き家に指定される可能性もあります。特定空き家に指定されてしまうと、固定資産税の増額や行政指導の対象となるケースもあるため、注意が必要です。

まずは不動産会社に査定を依頼し、不動産の資産としての価値を把握しましょう。それでも売却できない時は、相続放棄、空き家バンクの活用などの方法が検討できます。売りにくい相続不動産は、このように順を追って対処法を検討することが大切です。

この記事では相続した不動産の売却価格を知る方法や売れない不動産を相続した時の対処法、不動産会社の探し方を解説します。相続不動産の売却に悩む方はご参考下さい。

目次

  1. 不動産を相続する前に資産としての価値を確認しておく
  2. 売れない不動産を相続した時の不動産会社の探し方
    2-1.不動産一括査定サイトで探す
    2-2.相続専門の業者に依頼する
    2-3.特定地域に特化した不動産会社に依頼する
  3. 売れない不動産を相続した時の対処法4つ
    3-1.相続を放棄する
    3-2.空き家バンクを活用する
    3-3.国・自治体・法人に寄付を行う
    3-4.個人の売買サイトを利用する
  4. まとめ

1.不動産を相続する前に資産としての価値を確認しておく

不動産を相続した方・する予定のある方は、相続不動産の資産価値を確認しておきましょう。

相続において家屋は自治体が決定した「固定資産税評価額」により評価額が決定しますが、この評価額と不動産市場での売買価格は大きく異なります。実際の売買は売主と買主、双方のやりとりで価格が決まるためです。

売却活動において売却における相場価格の把握は重要となるため、インターネットで調べる、不動産会社に査定を依頼するといった方法で売却価格の相場を調べておきましょう。

売却価格の相場を調べる手順は、以下のような流れになります。

  1. 国土交通省の「土地総合情報システム」で近辺の似た条件の不動産の取引価格を調べる
  2. 複数の不動産会社に一括査定を依頼し、①で調べた取引価格を考慮に入れ、訪問査定を依頼する
  3. 不動産会社に直接訪問してもらい、物件の詳しい状況を加味した査定額を出してもらう

不動産査定を依頼する際は、複数の不動産会社へ査定依頼することが大切です。複数の査定結果や査定の根拠を比較することで、より良い条件で売却できる可能性を高めることができます。

下記は主な不動産一括査定サイトの一覧です。ここでご紹介している査定サイトは悪徳業者の排除を積極的に行い、全国エリアに対応している特徴を持っています。

主な不動産一括査定サイト

サイト名 運営会社 特徴
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【関連記事】不動産査定会社・不動産売却サービスのまとめ・一覧

なお、不動産にローンが残っている場合には、ローンの残債と売却価格の相場を比較します。ローンの残債が売却価格を上回る際は資産としての価値はマイナスとなり、売却価格がローンの残債を上回る時はプラスの財産となります。

築年数やエリアの関係で買い手が見つからない不動産、資産としてマイナスである物件等は、相続放棄なども視野にいれて検討することとなります。

2.売れない不動産を相続した時の不動産会社の探し方

売却困難な不動産を売却する場合、不動産会社へ仲介依頼をしても断られることがあります。このような場合、相続不動産の売却が得意な不動産会社を探したり、相続専門業者への依頼を検討してみましょう。

それぞれの手順を詳細に解説します。

2-1.不動産一括査定サイトで探す

「1.不動産を相続する前に資産としての価値を確認しておく」で紹介した不動産一括査定サイトを利用し、不動産会社を探す方法です。

不動産一括査定サイトでは、売却困難な物件を専門に扱う不動産会社も提携していることがあります。このような不動産会社を探す際も、不動産一括査定サイトは効率的に活用することができます。

査定サイトに物件情報を登録する際、登録者が自由に記載できる備考欄があります。この備考欄に「売却困難な相続不動産の相談にのってくれる不動産会社を探している」と記載してみましょう。備考欄に物件詳細を記載することで、対応可能な業者から返答がくる可能性が高まります。

このように、不動産一括査定サイトは幅広いジャンルの不動産会社に効率的にアプローチすることにも利用することが可能です。過去の査定結果が良くなかった場合にも、あらためて利用を検討してみましょう。

2-2.相続専門の業者に依頼する

相続に関する業者の中には、相続不動産の売却代理を取り扱っている企業も存在します。手数料がかかりますが、一定の条件を満たした不動産の売却を代わりに行ってもらうことができます。

遺品処理や名義変更といった煩雑な業務も一括で行ってもらえる場合がありますので、時間が無い方や手間を掛けたくない方は相続に強い業者を探し、依頼してみましょう。

2-3.特定地域に特化した不動産会社に依頼する

地方の不動産売却では、大手の不動産会社より中小規模で地域に根付いた地域特化の不動産会社の方が売却依頼に適しているケースがあります。地域の不動産はエリアの特色を把握している企業が多く、求められる不動産の特徴や独自のネットワークを持っている事があるためです。

相続した不動産が地方にある場合、会社の規模にこだわらず地域に根付いた不動産屋をあたってみるとスピーディーに売却が進む可能性があります。

3.売れない不動産を相続した時の対処法4つ

上述した方法でも不動産売却が難しい場合は、下記の4つの方法を検討してみましょう。

  1. 相続の放棄
  2. 空き家バンクを活用
  3. 国・自治体・法人への寄付
  4. 個人の売買サイト

それぞれ詳しく解説します。

3-1.相続を放棄する

相続放棄は、被相続人の遺産を放棄する方法です。ただし、相続放棄を行うと、指定した不動産だけではなく、不動産以外の資産の相続も放棄することになる点には注意が必要です。

被相続人(亡くなられた方)の権利や義務の一切を受け継がない「相続放棄」の他に、「限定承認」という相続によって得た財産の限度額内で被相続人の債務の負担を受け継ぐ方法があります。

不動産以外にも債務があり、価額が分からない際には限定承認として家庭裁判所に申し立てを行う事で、財産と一定額の債務を相続する事が可能です。限定承認を行う際には、被相続人のプラスの遺産の価額の合計がどのくらいになるか、あらかじめ調べておきましょう。

相続人全員が不動産の相続放棄をした場合の注意点

民法第940条第1項では「相続の放棄をした者は、その放棄によって相続人となった者が相続財産の管理を始めることができるまで、自己の財産におけるのと同一の注意をもって、その財産の管理を継続しなければならない。」と規定されています。

相続を放棄した時においても相続人全員が相続放棄を行ったケースでは、その後の不動産を管理する義務は残り、売却や処分等を行う必要があります。

なお、家庭裁判所に相続財産管理人の選任を申し立て、選任された管理人に財産を引き渡して保存義務を終了させることも可能です。しかし、この方法だと相続財産管理人に対し報酬費用を支払い続ける必要があるため、売却、または自身で管理をされる方が多い事が現状です。

3-2.空き家バンクを活用する

総務省の「平成 30 年住宅・土地統計調査」によると、少子高齢化の影響で空き家の件数は年々増加しており、社会問題となっています。

国土交通省では空き家バンクという、空き家を譲渡したい方と空き家を活用したい方をマッチングさせるサービスを提供し、空き家が放置されないような対策を打ち出しています。

国土交通省では全国版の「空き家バンク」を掲載していますが、各地方自治体でも空き家バンクの取り組みが行われています。空き家バンクを利用したい方は両方チェックしてみましょう。

3-3.国・自治体・法人に寄付を行う

不動産を行政目的で使用できる場合、自治体や国に寄付を行う事ができます。法人でも寄付を受け付けている団体がありますので、近隣の不動産関係の法人や公益性の高い学校法人等のウェブサイトを調べてみましょう。

ただし、法人によっては相手方に贈与税がかかる可能性があり、引き取ってもらえないケースもあります。個人に無償で譲渡する際も贈与税がかかる可能性があります。

引き取り手の無い不動産が増加し社会問題化する中、財務局では所有権の放棄、相続人不存在の場合における清算後の残余財産の国庫帰属といった方法を検討しています。

3-4.個人の売買サイトを利用する

不動産は仲介会社を通して売買を行うケースが多いものの、個人で広告を出し売買できる不動産売買サイトがあります。

個人の売買サイトでは、「不動産会社で仲介を断られた物件を売買できる可能性がある」というメリットがありますが、契約書の作成や所有権移転の登記など不動産取引は専門知識が必要となります。

後々トラブルに発展してしまう可能性もあるため、利用する際は不動産会社のサポートを受けながら売却を行う事ができるサイトを選ぶようにしましょう。

まとめ

売却が難しい不動産を相続した時には、まず資産としての価値を把握し、仲介売却ができない時には空き家バンクの活用、国・自治体・法人への寄付等も検討していくことになります。

不動産会社は不動産仲介会社に加え、相続に詳しい業者、地方の物件は地域に根付いた業者等をあたってみましょう。

相続不動産には管理責任があり、事故やトラブルが起きてしまうと、所有者の責任が問われることもあります。相続不動産は放置してしまうのではなく、それぞれに適した対処方法を検討していきましょう。

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田中 あさみ

経済学部在学中に2級FP技能士(AFP)の資格を取得。ライターとして不動産投資を含む投資や年金・保険・税金等の記事を執筆しています。医療系の勤務経験がありますので、医療×金融・投資も強みです。HEDGE GUIDEでは不動産投資を始め、投資分野等を分かりやすくお伝えできるよう日々努めてまいります。