国内の不動産価格上昇や利回り低下、高齢化の進行、空き家問題などを背景として、海外不動産への投資が加速をしています。なかでも、所得が高い人ほど米国不動産への投資を積極的に進める動きが目立つようになってきています。
この記事では、米国不動産投資がいま注目されている理由や、日本の不動産投資との違い、米国以外の注目エリアなどについて詳しく解説をしていきたいと思います。
目次
- 高所得者が米国不動産に投資する目的は?
1-1.築年数が23年以降の戸建て・中古アパートを購入する
1-2.不動産賃貸事業の損益は給与所得と通算できる
1-3.米国は日本と比べて建物の評価割合が高い傾向
1-4.不動産を取得した年から5年後に売却すれば税率が低くなる
1-5.海外の国の中でも米国が特に注目されている理由
1-6.国内の税制・法制度の動向には注意が必要 - 米国以外で注目の投資エリアはどこ?
米国不動産に投資する目的は?
高額所得者が米国不動産に投資をしているのは、米国不動産を保有することが節税スキームとして非常に優れているためです。国内の不動産も節税目的に利用されることがありますが、米国での不動産投資による節税効果のほうが大きく、購入後のリスクについても軽減をすることが可能となってきています。以下では、その手法のポイントを見ていくことにしましょう。
築年数が23年以降の戸建て・中古アパートを購入する
まず、日本では木造住宅の法定耐用年数は22年と定められており、この年数が経つと建物の価値がゼロ円となるように毎年「減価償却費」という費用が計上されて建物価値が下落していきます。
では、築23年目以降の木造戸建て・木造アパートを取得した場合はどうなるのでしょうか?築23年目以降の物件を購入した場合、建物の価値は「4年」で減価償却可能となります。これが一つ目の大きなポイントとなります。
仮に建物の評価割合が不動産資産全体の半分でも、以下の計算のように減価償却費は毎年1250万円を計上できることになります。
課税評価額1億円×建物比率50%÷4年=1250万円(1年あたりの減価償却費)
不動産賃貸事業の損益は給与所得と通算できる
そして、2つ目のポイントは、不動産投資の損益は給与所得と通算ができるため、減価償却で数千万円の損失が計上できれば、高額所得者はその金額分の所得税を納税しなくてよいという点です。
日本の課税体系は、高所得者になるほど重税となりますので、課税所得が数千万円の方が、この築23年目以降の中古アパート減価償却費計上による節税スキームを活用すると、4年間で合計数千万円の納税を節税できることになります。
課税される所得金額 | 税率 | 控除額 |
---|---|---|
195万円以下 | 5% | 0円 |
195万円を超え 330万円以下 | 10% | 97,500円 |
330万円を超え 695万円以下 | 20% | 427,500円 |
695万円を超え 900万円以下 | 23% | 636,000円 |
900万円を超え 1,800万円以下 | 33% | 1,536,000円 |
1,800万円を超え4,000万円以下 | 40% | 2,796,000円 |
4,000万円超 | 45% | 4,796,000円 |
米国は日本と比べて建物の評価割合が高い傾向
では、なぜ日本の中古アパートではなく、米国の中古アパートへ投資をするのでしょうか?理由の一つ目は、米国は日本よりも建物の評価割合が高いためです。日本では築年数が経過した戸建てや築古アパートの建物評価額は2割~3割とわずかにしかならないため、節税効果もほとんど期待できないケースが多いのです。
一方、米国の中古アパートは築年数が経過しても、不動産における建物割合が70%~80%と高くなるケースが多く、短期の節税に非常に適しています。
建物割合が日本よりも高くなる理由としては、米国の住宅は日本の住宅と比べて建物の寿命(建て替えなどのサイクル年数)が長い(※)と言われており、米国では建物が長く残存することが前提となっているためではないかと考えられます。(※ 過去に財務省・PRE戦略検討会において発表された早稲田大学・小松教授のレポートによれば、建物の寿命年数は日本30年に対して米国は103年)
不動産を取得した年から5年後に売却すれば税率が低くなる
この節税スキームの最後のポイントは、取得した年から5年が経ったあとに物件を売却する、という点です(※)。5年が経つと売却時に課税される譲渡税という税金の税率が半分近く(短期譲渡税39.63%⇒長期譲渡税20.315%)まで下がるため、売却時の税負担を軽減することが可能です。(※正確には、譲渡した年の1月1日現在の所有期間が5年を超える土地や建物を売ったとき)
なお、売却時に低すぎる金額で売却することになると所得税で節税した金額を上回ってしまうことになるため、投資先は5年後も賃貸需要が安定していそうなエリアや、これから物件価値が上昇することが見込まれるエリアである必要があります。
税金の種類 | 短期譲渡税 | 長期譲渡税 |
---|---|---|
所得税 | 30.63% | 15.315% |
住民税 | 9% | 5% |
(※上記所得税には、復興特別所得税2.1%が上乗せされています)
海外不動産の投資先として米国が注目されている理由
上記で取り上げた項目以外に、米国が注目されている理由としては、先進国でありながら今後も人口の増加やGDPの安定的な成長が見込まれている点や、法制度や政治なども成熟しており、発展途上国などに比べてカントリーリスクも低いことなどが挙げられます。
経済成長が見込まれるということは、ドル高(円安)になる可能性が高く、購入時から円安になれば為替差益も期待することが可能です。また、好景気が続けば物価が上がり、インフレになりますので、不動産価格の上昇も期待することができるというメリットもあります。
これらの要因から、米国は安定性と成長性のバランスが良く、資産保全を主目的とする富裕層からの人気が高い投資エリアと言えるでしょう。
国内の税制・法制度の動向には注意が必要
なお、今回取り上げた米国での戸建て・築古アパート投資による節税スキームについては、「課税を強化するべきでは?」という議論も上がってきており、法制度が改正される恐れもあります。これから取り組まれる方は、国内の税制改革などの動きにも目を光らせておいたほうが良いでしょう。
こういった税制に関する最新情報や米国の投資エリア・物件の選び方などについては、専門家や不動産会社に相談することも大切です。たとえば、東証プライム上場企業で、米国不動産の販売・管理・売却で国内トップクラスの実績があるオープンハウスでは、米国不動産に関する無料の税務相談や無料セミナーなどを行っています。
オープンハウスは融資面でも特長があり、購入時にはグループ会社のアイビーネットの融資プランを活用することで、購入する不動産を担保として最大で70%まで融資を受けることができるというメリットがあります。高い所得税に悩んでいる方や、手元にキャッシュを残しながら米国不動産に投資を進めてみたいという方は一度話を聞いてみると良いでしょう。
米国以外で注目の投資エリアはどこ?
海外不動産の投資エリアで、米国以外にも注目すべきエリアはあります。たとえば、成長が著しい東南アジア諸国は、米国よりも成長性が高いため、リスクは大きくなるものの相応のリターンを期待することができます。また、日本や米国に比べると物価が安く、不動産価格も1000万円以下から購入できるといったケースも多いため、自己資金が少なくても取り組みやすいというメリットもあります。
ただ、東南アジア諸国は、米国と比べるとカントリーリスクが高い、商取引の成熟度が低いなどの課題もあるため、現地の事情に精通した不動産投資パートナーが必要不可欠となります。海外不動産投資の会社を選ぶにあたっては、得意としているエリアや会社の強み、これまでの投資実績などをしっかりと調べてから付き合うことが大切です。たとえば、当サイトにも掲載されているビヨンドボーダーズという会社のように、初心者向けの海外不動産投資セミナーや無料相談を実施しているところも多いので、気になる方はまずは一度相談をしてみると良いでしょう。
HEDGE GUIDE 編集部 不動産投資チーム
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