ふるさと納税ポータルサイト「ふるなび」を運営する株式会社さとふるは、地域情報サイト「ふるさとこづち」を公開している。ふるさと納税を活用した地域活性化の取り組みやふるさと納税に関する最新動向などを掲載、寄付がどのように活かされているか知ることができる。
ふるさとこづちで紹介された地域の一つが、岩手県岩手町の道の駅「石神の丘」だ。同駅は2002年7月にオープン。高台に立地した景観と羽ばたく鳥をイメージした外観が特徴で、岩手町の産直・物産コーナー、地元食材にこだわるレストラン、「石神の丘美術館」が併設され、地元の憩いの場、防災拠点としての機能も持つ。
同町では町内生産者・事業者の商品を扱うだけではなく、町の特産品を活かした高付加価値な加工品の開発にも取り組んできた。オリジナルブランドのキャベツ「いわて春みどり」を使った「キャベ酎」「岩手町キャベツドロップ」、「ブルーベリーカレー」、そして、2019年に開発したばかりのブルーベリーワイン「ルルとリリ」。バラエティ豊富で見た目にも楽しく、どんな味なのか試してみたくなる品々だ。
石神の丘では、2017年から「さとふる」でふるさと納税のお礼品提供を開始した。「正直、道の駅なので自分達が作っている商品も少なく、困惑した部分もあった」(八重樫博支配人)が、同社の営業担当者が現地に何度も足を運び、第三者的な立場でアドバイス。「我々だけでなく生産者の方も含め、ふるさと納税のお礼品提供を始めて、どうやって工夫するとより良く見えるのかを、考えるようになった」。品質の良い地産品を提供する道の駅に、マーケティングの視点が加わった。例えば、長芋の梱包材におがくずを使う。鮮度が長持ちするだけでなく「地域から届いた」という印象も強くなる。次第に、お礼品が増えていった。
夏は観光農園でのブルーベリー狩りが人気だが、ふるさと納税に力を入れた結果、今年は冷凍ブルーベリーにもたくさん寄付が集まったという。「今後はブルーベリーに次ぐお礼品を提供していきたい。ふるさと納税はこれまで接点のなかった人とつながることができるので、縁を大切にして、これからも頑張りたい」。弾むような言葉に、納税した人も気持ちが明るくなるはずだ。
紹介されている事例には、いずれも地元へのこだわりや地域活性化への希望、寄付を通じた繋がりへの感謝が込められている。お礼品が金券や商品券、家電という自治体もある。お得感を求めて納税するのも選択肢のひとつだ。しかし、その地域の産業や文化を直接応援することで、新たな魅力や価値が生まれ、持続していく。その成果をお礼品として受け取れることこそ、この制度の魅力ではないだろうか。
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