犯罪被害者の方や遺族へ支援・寄付をする方法は?寄付ができる支援団体も

犯罪被害者の方や遺族の方達は、心身の不調や経済的な困窮などさまざまな問題を抱えた状態で生活している場合もあります。犯罪被害に対する支援を個人単位で続けていくことは、1人でも多くの方が平穏に暮らしていく上で大切な活動の1つです。

しかし、どのように支援を行っていけばいいのかわからない方も多いかと思います。まずは、支援の仕組みや方法について理解しておく必要があります。

そこでこの記事では、犯罪被害者の方や遺族の方達へ支援および寄付をする方法について詳しくご紹介します。社会問題の解決に向けた活動を始めたい方、犯罪被害の支援について関心を持っている方などは、参考にしてみてください。

※この記事は2023年11月29日時点の情報に基づき執筆しています。最新情報はご自身にてご確認頂きますようお願い致します。

目次

  1. 犯罪被害者の方や遺族の抱える問題
  2. 犯罪被害者を支援している機関
  3. 個人で犯罪被害者の方や遺族を支援する方法
    3-1.専門的な研修を受けて支援活動を行う
    3-2.民間被害者支援団体で寄付を行う
  4. 犯罪被害者の方や遺族の主な支援団体の例
    4-1.公益社団法人全国被害者支援ネットワーク
    4-2.都道府県ごとの民間被害者支援団体
  5. まとめ

1.犯罪被害者の方や遺族の抱える問題

犯罪被害者の方や遺族の方達は、事件による被害や直接的な影響の他、さまざまな問題を抱えざるを得ない状況になっている場合があります。

政府広報オンライン「決して他人ごとではありません。犯罪被害者を支えるには?」によると、主に以下のような問題が想定されています。

  • 心身の不調
  • 失職や医療費負担などによる経済的困窮
  • 捜査や裁判の過程で起こる精神的負担
  • 心ないうわさ話などによる精神的負担

犯罪被害による心身の不調としては、めまいや過呼吸といった身体的な影響や不安感、恐怖感、判断力低下といった心理的な影響などが挙げられています。また、人によっては外に出られない、感情のコントロールができない、いわゆるトラウマによる心身への影響などもあります。

経済的困窮については、たとえば家計を支える人を失った遺族が生活に困窮してしまうケース、犯罪被害の後遺症で働けなくなった被害者やその遺族が医療費や家計負担に悩んでしまうケースなどを指しています。

他にも捜査や裁判の過程で事件について思い出したり説明したりしなければいけない場面では、被害を受けた方にとって精神的負担を抱えることになります。また、周囲からの心ないうわさ話などが、被害を受けた方やその家族、遺族にとって精神的被害につながります。

このように犯罪被害者の方やその家族、遺族の方達は、身体的な負担だけでなく心理的な影響、経済的困窮などさまざまな問題を抱えている状況で、社会全体で支援していくのが大切です。

2.犯罪被害者を支援している機関

各機関では、被害者の方を支援するための制度を設けたり支援活動を行ったりしています。

たとえば、警察では被害者の安全確保だけでなく、犯罪被害給付制度による経済支援の他、被害相談窓口などでのカウンセリングなどに対応しています。(※参照:警察庁「警察による犯罪被害者支援」)

検察庁は、相談窓口の被害者ホットラインを設置したり裁判に関する手続きやサポートに関する制度を設けたりしているのが特徴です。(※参照:法務省「犯罪被害者の方々へ」)

また、法テラスは、国選被害者参加弁護士制度(弁護士費用を国が負担する制度)や犯罪被害者法律援助(弁護士費用などの援助)といったさまざまな援助制度の情報提供から支援まで対応しています。(※参照:法テラス「犯罪の被害にあわれた方へ」)

他にも犯罪被害者の方などに向けた見舞金や公営住宅優先入居といった生活支援に関する対応は、地方自治体で行われており、長期にわたるサポートなら被害者支援センターで受けられる状況です。

特に被害者支援センターは個人での支援活動なども募っているので、支援や寄付に関心を持っている方も覚えておきましょう。

3.個人で犯罪被害者の方や遺族を支援する方法

各都道府県公安委員会から犯罪被害者等早期援助団体として認定を受けた民間被害者支援団体や、同団体の加盟している公益社団法人全国被害者支援ネットワークでは、犯罪被害者の方や遺族の方達への支援活動や、個人や法人からの支援を募っています。

これから個人で支援を始めたい方は、各都道府県公安委員会認定の民間被害者支援団体について調べておくのが大切です。

続いては、個人で犯罪被害者の方や遺族の方達を支援する方法と民間被害者支援団体および公益社団法人全国被害者支援ネットワークについてわかりやすく解説していきます。

3-1.専門的な研修を受けて支援活動を行う

被害者の方や遺族の方達へ支援を行いたい場合は、民間被害者支援団体などで専門的な研修を受けたのち、犯罪被害者直接支援員や犯罪被害相談員として活動することも可能です。

犯罪被害者直接支援員とは、公益社団法人全国被害者支援ネットワークに加盟している民間被害者支援団体で委嘱されている支援員のことです。

一般募集へ応募して養成講座の受講や研修を受けたのち認定されれば、活動できるようになります。活動内容は幅広く、広報活動や啓発運動の他、電話相談への対応や直接的な支援も含まれています。直接的な支援とは、日常生活に関する支援や裁判所および警察などへの付き添いといった活動のことです。

犯罪被害相談員は、公安委員会の認定を受けた方を指していて、25歳以上で相談業務の経験3年以上など資格要件が複数定められています。また、犯罪被害者直接支援員よりも資格要件は厳しく、知識や技能、経験の豊富な方が求められています。主な活動は、電話相談をはじめ被害者の生活支援、公判傍聴への付き添い、被害者の家族へ向けた支援など多岐にわたります。(※参照:全国被害者支援ネットワーク「支援員・相談員の人材育成」)

3-2.民間被害者支援団体で寄付を行う

被害者の方や遺族の方達に向けた支援には、寄付を通じた支援方法もあります。

たとえば、全国被害者支援ネットワークでは、個人や企業、団体に向けて寄付を常時募っています。集められた寄付金は、被害者やその遺族の方達への支援活動に加えて、広報啓発活動や支援員などの人材軸性、法人運営などにも活用してもらえます。(※参照:全国被害者支援ネットワーク「ご寄付のお願い」)

他にも公益社団法人全国被害者支援ネットワークに加盟している民間被害者支援団体は、支援活動のために寄付金を募っています。

また、民間被害者支援団体では、寄付金の募集や寄付金型自動販売機での募金だけでなく、ホンデリングという書籍の寄付も募っています。新書や文庫本などを寄付すると、支援団体側を通じて業者が査定および買取を行います。あとは、買取相当額が公益社団法人全国被害者支援ネットワークへ寄付される仕組みです。(※参照:全国被害者支援ネットワーク「ホンデリング・プロジェクト ~本でひろがる支援の輪~」)

4.犯罪被害者の方や遺族の主な支援団体4つの例

ここからは、犯罪被害者の方や遺族の方達を支援している公益社団法人全国被害者支援ネットワークや民間被害者支援団体の活動、寄付に関する内容や方法について4例紹介していきます。

4-1.公益社団法人全国被害者支援ネットワーク


公益社団法人全国被害者支援ネットワークは、各都道府県公安委員会から犯罪被害者等早期援助団体として認定を受けた全国47と認定を目指す1つの民間被害者支援団体が加盟している団体です。

主な活動内容は以下の通りです。

  • 支援員や相談員の人材育成
  • 政策提言や調査研究
  • 広報、啓発活動
  • 組織づくり

金銭的な支援に関しては、賛助会員として参加、もしくは任意のタイミングで寄付を行う方法の2種類から検討できます。また、前段でも触れた書籍を通じた寄付、ホンデリングを選択することが可能です。

個人で賛助会員になる場合は、年間に1口3,000円の金額から入会、支援することが可能です。入会後は、公益社団法人全国被害者支援ネットワークから発行される機関誌が届けられます。

寄付の場合は、1口あたり10,000円と1,000円単位から選択でき、クレジット決済やコンビニ決済、振込みのいずれかの方法で支払う流れです。

4-2.都道府県ごとの民間被害者支援団体

犯罪被害の支援活動に取り組んでいる全国48の民間被害者支援団体では、公益社団法人全国被害者支援ネットワークのように寄付を募っています。

各都道府県公安委員会から犯罪被害者等早期援助団体として認定を受けた民間被害者支援団体は、47都道府県に1つ存在します。また、認定を目指す民間被害者支援団体は、一般社団法人北・ほっかいどう総合カウンセリング支援センターです。

自身の暮らす地域で取り組まれている犯罪被害支援を支えたい方などは、都道府県ごとの民間被害者支援団体で取り組まれている活動や支援内容、寄付の概要について確認してみましょう。

各団体の名称やウェブサイトは、警察庁ウェブサイトの「犯罪被害者等の援助を行う民間の団体」ページに記載されています。

次の項目では、48の民間被害者支援団体から3つの団体で取り組まれている活動や寄付の方法などを一例として紹介します。

東京都|公益社団法人被害者支援都民センター

東京都にある公益社団法人被害者支援都民センターは、犯罪被害相談による電話や面接相談の他、犯罪被害者やその家族の支援(自宅訪問や病院、裁判所などへの付き添いといった直接支援)や遺族向けの自助グループ開催といった取り組みを続けています。

他には賛助会員の入会や寄付を募っているので、同センターの活動を金銭的な側面から支援することが可能です。

賛助会員の年会費は1口あたり10,000円(2口以上の選択も可能)で、センターHPの申し込みフォームから入会申込書の発行を申請します。後日届けられる入会申込書に必要事項を記入したのちに送付し、受理されれば会員になります。

寄付の場合は、1回につき300円~30,000円の範囲で申し込むことが可能です。支払い方法は、クレジットカードや銀行振込、Amazon Payのいずれかから選択できます。

神奈川県|認定特定非営利活動法人神奈川被害者支援センター

認定特定非営利活動法人神奈川被害者支援センターは、神奈川県や神奈川県警と情報共有や連携しながら被害者やその家族、遺族の方達へ支援活動を進めています。

被害者支援に関する相談窓口は電話だけでなくLINEにも開設されているので、より手軽に相談できる環境です。また、支援活動は、カウンセラーによるカウンセリングをはじめ、法律相談、付き添いや生活支援、自助グループの運営なども含まれています。

同センターへの支援方法については、賛助会員の入会や寄付、ホンデリング(書籍を通じた寄付)、寄付金付自動販売機や募金箱の設置といった中から選択することが可能です。

賛助会員の年会費は1口3,000円(個人会員)で、銀行振込に対応しています。寄付の場合は、任意の金額で申し込めるようになっています。ホンデリングを希望する時は、引き取り対象の書籍を段ボールや紙袋に詰めて、同センターのホンデリングページから申込手続きを進めます。

寄付金付自動販売機や募金箱の設置とは、自動販売機や募金箱を設置し、売上や募金によって集まった資金を認定特定非営利活動法人神奈川被害者支援センターへ寄付していく支援方法のことです。特に店舗を経営している方などは、選択肢の1つとして検討できます。

大阪府|認定特定非営利活動法人大阪被害者支援アドボカシーセンター

大阪府にある認定特定非営利活動法人大阪被害者支援アドボカシーセンターは、犯罪や事故の被害者やその家族、遺族の方達を支援しています。

活動内容は、前段で解説した2つの団体と同様に、被害者や家族、遺族の方からの相談対応をはじめ、支援活動員による付き添いや生活支援、自助グループの支援など総合的に対応しているのが特長です。

同センターへの支援方法については、賛助会員の登録や寄付、支援型飲料自販機の設置、ホンデリング、金券の寄付といった内容となっています。

賛助会員の年会費は1口3,000円(個人会員)で、銀行振込や寄付プラットフォームSyncableを活用した支払にも対応しています。寄付の場合は、任意の金額を選択できます。賛助会員や寄付を行った方は、認定特定非営利活動法人大阪被害者支援アドボカシーセンターから講演会やフォーラムなどの案内、ニュースレターなどを届けてもらえます。

支援型飲料自販機は、自販機の設置後に発生した売上を寄付に回せる支援方法の1つです。売上の何%を寄付に回すかは設置者側で選択でき、寄付金の振り込みなども飲料メーカー側で対応してもらえます。

また、前段で紹介している2つの民間被害者支援団体とは異なり、金券の寄付という選択肢も用意されているのが特徴です。具体的には、金券やチケット、切手、図書カードなどを寄贈し、査定された金額を支援活動に充ててもらう仕組みです。

金銭的な負担を抑えられる点は、ホンデリングと同様に誰でも取り組みやすいポイントといえます。

まとめ

犯罪被害者の方やその家族、遺族の方達の抱えている問題は深刻で、法人や団体だけでなく個人でも支援の輪をつなげていくのが大切です。

また、犯罪被害者直接支援員や犯罪被害相談員として直接的な支援活動を始める方法だけでなく、民間被害者支援団体などで寄付を通じた支援を行う選択肢も検討できます。

寄付先としては、全国被害者支援ネットワークや、都道府県ごとの民間被害者支援団体があります。寄付を始める場合は、まずは負担にならない少額寄付から検討されていくと良いでしょう。

The following two tabs change content below.

菊地 祥

FP3級技能士、投資信託4年目、株式投資8年目。2018年からフリーランスとしてwebライティングやメディア運営を行っています。また、webライターとしては株式投資や投資信託などをやさしく解説。