NISAとは少額投資非課税制度のことで、NISA口座で取引を行って利益が出た場合、株式や投資信託の取引を行って得た利益に通常発生する税金が非課税となります。投資家にとって運用コストの削減につながるメリットがある一方、NISA口座の開設方法や証券会社の選び方で悩んでいる方もいらっしゃるのではないでしょうか。
この記事では、NISA口座の特徴からNISA口座を開設する際に検討したい証券会社について詳しくご紹介します。NISA口座開設に興味のある方や、各証券会社を比較したい方は参考にしてみてください。
※この記事は2021年8月17日時点の情報に基づき執筆しています。最新情報はご自身にてご確認頂きますようお願い致します。
目次
- NISA口座とは
- NISA口座開設に適した証券会社5選
2-1.SBI証券
2-2.楽天証券
2-3.マネックス証券
2-4.松井証券
2-5.岡三オンライン - NISA口座を開設する手順
- まとめ
1 NISA口座とは
NISA口座とは、2014年にスタートした投資家向けの税制優遇制度のことです。NISAはNippon Individual Savings Account(少額投資非課税制度)の略であり、もともとイギリスにおける同様の税制優遇制度ISA(Individual Savings Account)をモデルとして導入された制度となっているため、「ニーサ」と呼ばれています。
通常、投資取引で売却益が発生した場合や、配当金を受け取る場合、これらの利益に対して20.315%の税金がかかります。しかし、NISA口座で取引した場合、譲渡税や配当税が非課税となる上、確定申告なども原則必要ありません(※特定口座の場合です)。
NISAには、主に投資対象や年間投資上限額で異なる2つの制度があります。例えば、一般NISAは、国内株式や投資信託を対象とし、年間120万円までの投資額から発生する利益が非課税となる制度であり、非課税期間は最長5年と定められています。
一方、つみたてNISAは、基準を満たした投資信託のみを対象とした制度です。つみたてNISAの年間投資上限は40万円ですが、税制優遇を受けられる期間が最長20年と定められているので、長期投資により適しています。
一般NISA口座は、株式や投資信託を自分の任意のタイミングで売買したい方に向いているのに対し、つみたてNISAは、投資信託の定期積立をしたい方や、中長期での投資を考えている方に向いています。
2 NISA口座開設に適した証券会社5選
NISA口座は複数の証券会社で開設することはできず、1人1口座までです。そのため、証券会社を選ぶ際は、特徴や手数料等をしっかりと確認した上で検討することが大切です。
2-1 SBI証券
SBI証券は、SBIホールディングス傘下のオンライン証券会社です。住信SBIネット銀行というオンライン銀行との連携でも知られており、開設口座数は国内トップクラスの国内オンライン証券を代表する企業です。
SBI証券の一般NISA口座の強みは、手数料の安さです。一般NISA口座における国内上場株式の取引では購入時・売却時ともに手数料無料なほか、海外ETFについても購入手数料が無料となるなど、取引コストを気にせず取引可能です。
また、対象となる金融商品も豊富です。特に外国株式の取扱数が多く、米国株のほか、中国やアセアン諸国・ロシアなど、幅広い銘柄を一般NISA口座で取引することができます。
一方、つみたてNISA口座でもSBI証券ならではの強みがあります。SBI証券のつみたてNISA口座では、投資信託の買付・売却手数料が無料なほか、対象となる銘柄は175銘柄と豊富です。
さらに、投資信託の積立では最低100円から積み立てることが可能な上、毎月・毎週・毎日など自由度の高い積立設定の中から、積立方法を選択することができます。
このほか、投資信託の積立によってTポイントを貯めることができ、三井住友カードと連携しているためクレジットカードで積立投資が可能など、ユーザーの様々なニーズに応えることが可能です。
2-2 楽天証券
楽天証券は、インターネット関連サービス大手の楽天グループに属するオンライン証券会社です。楽天カード株式会社の100%子会社である楽天証券株式会社によって運営されており、楽天グループ内の連携を活かした独自のサービスが特徴です。
オンライン証券としてSBI証券と並んで国内トップクラスの口座開設数を持つ楽天証券の強みは、楽天グループ共通で利用できる「楽天ポイント」です。楽天証券では、楽天ポイントを消費して投資を行うことができるほか、投資をすることで楽天ポイントを取得することもできます。
また、楽天カードのクレジット枠を利用した投資信託積立が可能で、最大月50,000円分まで、クレジットカードで投資信託を買付することができます。クレジットカード利用100円分につき1ポイントの楽天ポイントが付与されるため、つみたてNISAの年間積立上限額40万円分を楽天カード決済した場合、4,000円分の楽天ポイントを獲得できます。
楽天証券の一般NISA口座では、日本株の売買手数料が無料となる上、海外ETFの購入手数料が無料です。また、つみたてNISA口座でも買付手数料が無料なことに加え、つみたてNISAの対象となる投資信託銘柄数も177銘柄と業界トップクラスです。
ほかにも楽天証券独自の取引ツールである「マーケットスピードⅡ」や、日本経済新聞の朝刊・夕刊に加えて日経流通新聞(日経MJ)を読むことができる「日経テレコン(楽天証券版)」を提供するなど、楽天証券は投資に関するツール・情報提供も豊富です。
楽天証券のNISA口座は、普段から楽天のサービスを良く利用する方や、これから利用したい初心者の方にも適しています。
2-3 マネックス証券
マネックス証券は、オンライン証券として国内3位の約200万口座を持つネット専業大手です。海外株式取引を得意としており、中でも米国株や中国株の取扱銘柄数は国内証券の中でも上位です。
特に中国株の取扱いに強く、香港証券取引所のほぼ全銘柄をカバーしています。中国を代表するプラットフォーマーのテンセント・ホールディングスやアリババ・グループ・ホールディングスなどの個別銘柄をはじめ、中国株2,500銘柄以上に対して一般NISA口座から取引可能です。
また、NISA口座での日本株の売買は無料となる上、海外株式の購入手数料はキャッシュバックされます。例えば、米国株式では約定代金の0.495%(税込)、中国株式であれば約定代金の0.275%(税込)の手数料が必要ですが、これらの手数料相当額は約定日の翌月最終営業日までに口座に入金される形でキャッシュバックされます。
さらに、マネックス証券は高機能取引ツールである「マネックストレーダー」や「銘柄スカウター」を提供しています。特に銘柄スカウターは、各銘柄の業績指標を視覚的にわかりやすく表示されており、スマートフォンでも利用できます。海外企業の業績を参照したい時は、「銘柄スカウター米国株」「銘柄スカウター中国株」などが便利です。
このように、多数の米国株式・中国株式や、IPO銘柄を取扱うマネックス証券は、一般NISA口座で幅広い外国株式に投資してみたい方に向いているほか、2020年度には50社に及ぶIPO(新規公開株)を扱っているので、NISA口座でIPO投資をしたい場合にも適しています。
2-4 松井証券
松井証券は国内大手証券会社の1つです。その起源は日本橋で創業された松井房吉商店であり、100年以上の社歴を持ちます。1998年に日本国内初の本格的インターネット証券取引サービス「ネットストック」の提供をスタートした国内オンライン証券のさきがけでもある一方、2021年8月17日現在の証券事業はオンライン専業となっています。
松井証券のつみたてNISAは、100円から始められるため、若い方でも無理のない範囲で長期の資産形成を狙えるのが特徴です。つみたてNISA口座の対象金融商品は、長期の分散・積立に適した170銘柄ですが、ETFは対象外となっています。また、松井証券のNISA口座は、株式の売買手数料無料で、口座維持手数料もゼロ円です。
なお、松井証券のNISAでは、豊富な投資情報を提供してもらえるほか、電話対応をはじめとするサポート体制も充実しています。投資情報では、条件に合致する銘柄を検索できる「銘柄スクリーニング機能」などの機能を持つ「QUICK情報」を無料で利用できる上、投資信託ではロボアドバイザー「投信工房」が提供されており、簡単な質問に答えるだけで、どのような投資を行うべきかを提案してもらえます。
さらに、通常の口座開設や既存利用者向けの電話番号に加えて、「投信サポート」や「株の取引相談窓口」などの専用番号を用意しています。口座未開設の方も相談できる「マネープランサポート」ではお金に関する相談や疑問に専門のスタッフが対応してくれます。
このような実績により、松井証券はサポートサービス業界団体「HDI-Japan」によって公表されている2020年の証券業界「HDI格付けベンチマーク」で、最高評価の三つ星を獲得しています。
松井証券のNISA口座は、会社の歴史や信頼性を重視したい方や、電話でも相談したい方に適しています。
2-5 岡三オンライン
岡三オンラインは、岡三証券株式会社が運営するネット証券です。岡三証券グループは、三重県津市で創業された岡三商店をルーツとし、100年近い歴史を持つ総合金融グループです。
岡三オンラインで扱っているNISA口座は、一般NISAとジュニアNISAの2種類です。対象となる投資信託は、すべて手数料無料のノーロードファンドなので、コストを抑えた長期投資に向いており、投資信託を他社から移管するときに必要な移管手数料相当額も全額キャッシュバックしてもらえます。
また、岡三オンラインのNISAでは、定番の取引ツール「岡三ネットトレーダー」シリーズを利用できる上、充実した投資情報を提供してもらえるのも特徴です。岡三ネットトレーダーは分析ツールとして高い評価を得ています。
このほか、口座開設者向けWebサイト「投資情報局」では、「個別銘柄」「市場・市況」「カレンダー」「テクニカル・ランキング」などの各情報に加え、投資に関する動画配信も行われています。
また、NISA口座ではIPO投資を狙うことも可能です。特に岡三オンラインのIPO抽選は、事前に入金する必要がないため、口座に資金を用意しなくても抽選に参加可能です。IPOの結果はメールで通知してもらうことができる上、メール本文に抽選結果が明記されているなど、参加者にとってわかりやすい仕様になっています。
岡三オンラインのNISA口座は、取引ツールの利便性や投資情報の豊富さを重視したい方、IPO投資にも関心のある方に向いています。
3 NISA口座を開設する手順
NISA口座を開設する場合、一般NISA口座か、つみたてNISA口座のどちらを開設するかを決める必要があります。開設できるNISA口座は1つのみとなっているため、両方の口座を開設することはできません。
次に、どの証券会社でNISA口座を開設するかを決めます。NISA口座を開設できるのは1口座までなので、証券会社も必然的に1社のみです。
なお、NISA口座を開設するためには、証券会社の総合証券口座を開設しなければなりません。NISA口座の開設と同時申請できる証券会社も多いのですが、同時申請ができない場合、さきに通常の証券口座を開設した上で、改めてNISA口座の開設を申請する必要があります。
すでに証券口座を持っており、その会社のNISA口座を新たに開設したい場合、証券口座にログインし、NISA口座の申込をすることができます。
まとめ
NISA口座は、税制優遇を受けることができる証券口座で、株式や投資信託の売却や配当金などで利益が出ても非課税となります。また、特定口座を選択すると確定申告が不要になるので、運用コストと納税手続きを同時に省略できるのも特徴です。
一方、NISA口座で損失が発生し、利益が発生しないケースでは、税制面での優遇を受けられない点に注意が必要です。また、取引の損失が減額されることや、投資元本が保証されることもありません。
NISA口座で投資をする際は、制度の特徴や各証券会社のサービス内容をよく理解した上で、検討してみてください。
HEDGE GUIDE 編集部 株式投資チーム
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