日本の飢餓人口や栄養失調の人口推移は?現在の課題や食品寄付の方法も

日本では、経済的事情で栄養バランスが偏っている方や飢餓状態で亡くなられている方や健康的に生活できず悩んでいる方もいらっしゃいます。主な支援方法として考えられるのは、寄付や食品や食材の提供とフードバンクでの活動です。

そこでこの記事では、日本の飢餓人口に関する推移や食を通じた支援方法について詳しくご紹介します。食に関する社会問題に目を向けている方、生活困窮世帯への支援に力を入れたい方などは、参考にしてみてください。

目次

  1. 日本の飢餓人口の推移
  2. 飢餓状態の原因と課題
    2-1.栄養失調の場合は病気など複数の原因が絡む
    2-2.食糧不足は主に経済的困窮の影響
  3. 飢餓で困っている方達を支援する方法
    3-1.食品をフードバンクへ寄付
    3-2.フードドライブで食品をまとめて寄付
    3-3.フードバンクのサポーターとして毎月寄付
    3-4.ボランティアスタッフとして活動
  4. まとめ

1.日本の飢餓人口の推移

厚生労働省の人口動態調査によると日本では、疾患や交通事故などの他にも栄養失調や食糧不足によって亡くなられている方がいます。以下、食糧不足を原因とする死亡者数の推移です。

西暦 年間の死亡者数
2015年 総数:19人
内訳
15~44歳:4人
45~64歳:6人
65~79歳:7人
80歳以上:2人
2016年 総数:15人
内訳
15~44歳:3人
45~64歳:8人
65~79歳:3人
80歳以上:1人
2017年 総数:22人
内訳
15~44歳:2人
45~64歳:11人
65~79歳:5人
80歳以上:4人
2018年 総数:22人
内訳
15~44歳:2人
45~64歳:10人
65~79歳:7人
80歳以上:3人
2019年 総数:23人
内訳
45~64歳:9人
65~79歳:7人
80歳以上:7人
2020年 総数:23人
内訳
15~44歳:1人
45~64歳:10人
65~79歳:7人
80歳以上:4人
2021年 総数:16人
内訳
15~44歳:1人
45~64歳:7人
65~79歳:3人
80歳以上:5人

出典:政府統計の総合窓口(e-Stat)(人口動態調査 人口動態統計 確定数 死亡下巻 9 交通事故以外の不慮の事故(W00-X59)による死亡数,年齢(特定階級)・外因(三桁基本分類)・発生場所別 | 統計表・グラフ表示 | 政府統計の総合窓口 (e-stat.go.jp))

続いて、下記は栄養失調を死因とした人口動態調査です。

西暦 年間の死亡者数
2015年 総数:1,578人
2016年 総数:1,637人
2017年 総数:2,118人
2018年 総数:2,069人
2019年 総数:1,934人
2020年 総数:1,933人
2021年 総数:2,013人

出典:政府統計の総合窓口(e-Stat)(人口動態調査 人口動態統計 確定数 死亡下巻 1-1 死亡数,死因(三桁基本分類)・性・年齢(5歳階級)別 (1) ICD-10コード A~E | 統計表・グラフ表示 | 政府統計の総合窓口 (e-stat.go.jp))

食糧不足による死亡者数は毎年15人前後で、主に45歳以上の方に多い傾向です。栄養失調による死亡者数は年間1,000人を超えていて、2,000人を超える年も出ています。なお、栄養欠乏症やエネルギー性の栄養失調、ビタミンの欠乏症など、さまざまな症状を栄養失調としてまとめられています。

2.飢餓状態の原因と課題

飢餓状態にいたる原因は1つではありません。疾病や経済、構造的な課題など、さまざまな問題が複雑に組み合わさっているため、各原因を把握した上で支援方法や解決策を考えてみるのが大切です。

続いては、栄養失調や食糧不足による飢餓状態の原因について確認していきましょう。

2-1.栄養失調の場合は病気など複数の原因が絡む

栄養失調(低栄養)は、さまざまな原因によって引き起こされます。以下に主な原因を紹介します。

  • 経済的な理由で栄養バランスが偏っている
  • 病気により十分な食事をとることができない
  • 高齢者の中で食欲の低下した方
  • 無理なダイエットで低栄養状態
  • 偏った食生活による低栄養状態

栄養失調にいたるケースは、経済的困窮で栄養バランスのとれた食事をとれない方、食欲の低下した高齢者、病気により十分な食事をとることが難しいといったケースがあります。

ただし、近年ではダイエットや偏った食生活によって、栄養不足や糖質過多、タンパク質不足などで栄養障害や低栄養状態にいたるケースも出てきています。

栄養バランスの偏りや過度なダイエットを改善させていくには、低栄養で悩んでいる方自身で改善意識を持ってもらうことだけでなく、家族、友人からのサポートが必要な場合もあります。他にも経済的事情から栄養バランスを整えられない方に対しては、フードバンクを活用した支援方法が出来るでしょう。

2-2.食糧不足は主に経済的困窮の影響

国内において食糧不足は、主に経済的な困窮状態によって起こりやすい傾向です。

厚生労働省では、「相対的貧困層」という言葉を用いて日本の貧困および飢餓に関する問題の分析や、対策を考案しています。相対的貧困層は、等価可処分所得の中央値から半分に満たない層を指しています。

可処分所得は、収入から社会保険料や税金を差し引いたものです。等価可処分所得は、世帯の可処分所得から世帯人数の平方根(√)で割って算出された所得のことです。

たとえば、2人世帯の場合は200万円未満、3人世帯なら250万円未満で相対的貧困層とされています。このような状態で生活している世帯では食費を十分に確保することが難しく、栄養バランスのとれた食事を保ちにくい状況です。場合によっては、1日3食とれない可能性もあります。

厚生労働省の調査では、特に単身世帯や大人1人と子ども1人の世帯で多い傾向です。収入をすぐに上げることは難しく、かつ周囲や自治体に相談できず悩んでいるケースもあるため、支援団体による積極的なサポートも必要といえます。

※出典:厚生労働省「相対的貧困率等に関する調査分析結果について

3.飢餓で困っている方達を支援する方法

特に経済的な事情から栄養バランスの偏りで困っている方や十分な食費を確保できない方達へ向けた支援方法としては、フードバンクが代表的です。

フードバンクは、経済的に困窮している世帯へ食材や食品の無償提供やボランティア活動による支援を行っている団体の総称です。全国にフードバンクがあり、一般社団法人全国フードバンク推進協議会のサイトや公益財団法人 日本フードバンク連盟サイトなどから各団体の活動内容や拠点、個人向けの支援受付に関する手続きを確認できます。 

続いては、生活に困窮している方達に向けた具体的な支援方法を紹介していきます。

3-1.食品をフードバンクへ寄付

フードバンクでは、法人や団体、個人から食品や食材の寄付を受け付けています。食品寄付を希望している方にとっては、すぐに取り組みやすい支援方法の1つといえます。日々の買い物で買いすぎてしまった食材や食品、贈答用などで受け取ったものの食べきれない食品は、宅配便もしくは持ち込みで寄付することが可能です。

以下に必要とされている主な食品や食材を紹介します。

  • お米や乾麺をはじめとした主食
  • 肉や魚、野菜の缶詰
  • レトルト食品
  • 調味料
  • 飲料
  • お菓子

食品の寄付を検討する際は、寄贈不可な状態および食品が含まれていないか確認するのも迷惑をかけないために重要なポイントです。例えば、開封済みの食品や外装や内装が破損しているもの、賞味期限切れまで1か月未満、アルコール飲料や医薬品などは寄贈不可に指定されていることがあります。

なお、フードバンクによっては、サイト内で寄贈不可な食品や注意点について詳細に記載していないケースもあります。どのような食品が必要とされているかわからない時は、電話やメールおよび事務所へ直接訪問し、内容を確認しましょう。

※参考:消費者庁「フードバンク活動等>フードバンク活動団体

3-2.フードドライブで食品をまとめて寄付

まとめて食品や調味料などを寄付したい時や余った食品を持っていない時は、フードドライブの活用で効率的に支援を行うことが可能です。

フードドライブは、各家庭で余っている食材や食品、調味料やお菓子などを職場や学校などに持ち寄ったのち、まとめてフードバンクなどへ寄付する活動を指しています。

多くのフードバンクは、個別の食品寄付に関する受付だけでなく、フードドライブによる受取にも対応しているのが特長です。セカンドハーベスト・ジャパンやフードバンク関西、セカンドハーベスト名古屋などでは、フードドライブの受付を行っています。

中には、フードドライブの告知に関するサポートをはじめ、フードドライブを事務所で受け取る方式ではなく、各地に設置された回収箱で回収を行うなど、独自のサポートやサービスを展開しているフードドライブも存在しています。1人で食品を十分に寄付できない時はこのようなフードドライブの実施、または参加を検討してみるのも良いでしょう。

3-3.フードバンクのサポーターとして毎月寄付

寄付できる食品がない時は、フードバンクへ寄付を行うことで活動を支援できます。

各フードバンクでは、食品の寄付だけでなく資金面での支援に関する受付も行っています。集められた寄付金は、フードバンクの食品管理倉庫や車両の維持管理、食品の宅配費用などに充てられます。

寄付の方法は、主に指定口座への銀行振り込みや口座引き落とし、クレジット決済といった選択肢から検討できる仕様です。

毎月継続的に支援したい場合は、口座引き落としを選ぶことで一定額を毎月寄付することが可能です。一方、食品の寄付ができない時に募金したいという方は、銀行振り込みやクレジット決済による1回ごとの寄付の方が合っているでしょう。

その他、寄付の手続きや入会の必要性などの細かなルールが、フードバンクによって異なる点に気を付ける必要もあります。

3-4.ボランティアスタッフとして活動

食品の寄付以外にも積極的に飢餓問題の解決へ取り組みたいという方は、フードバンクのボランティアスタッフという方法も選択できます。

活動内容はフードバンクによって異なるものの、食品を必要とする家庭への配達、食品パッケージの梱包、食品の引き取り対応など多岐にわたります。

参加方法は、フードバンクサイトでの登録手続きの他、説明会へ赴いて内容確認を行う形式、電話やFAXでの問い合わせが必要なケースなどフードバンクによって変わります。

まとめ

さまざまな理由から栄養バランスに偏りがある方や十分な食事をとれない方などを支援するには、フードバンクを通じた食品寄付やフードドライブを行うのが大切です。また、フードバンクの活動を途切れさせないためには、ボランティアスタッフとしての活動や寄付といった支援もポイントとなってくるでしょう。

日本では、経済的事情で栄養バランスが偏っている方や飢餓状態で亡くなられている方、健康的な生活を送ることが難しい方がいます。食と生活の課題解決の方法として、フードバンクをはじめとした食品寄付、また金銭的な寄付を検討されていくと良いでしょう。

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菊地 祥

FP3級技能士、投資信託4年目、株式投資8年目。2018年からフリーランスとしてwebライティングやメディア運営を行っています。また、webライターとしては株式投資や投資信託などをやさしく解説。