投資用マンションがあるサラリーマンの確定申告手順は?簡単にできる5つのコツも

投資用マンションの家賃収入がある場合、原則として、翌年の2月16日から3月15日までに所得税の確定申告をおこなう必要があります。

サラリーマンの兼業投資家の場合、本業への支障を避けるためにできる限り手間や費用をかけずに確定申告を済ませたいと考える方も多いでしょう。

本記事では、投資用マンションがあるサラリーマンの確定申告手順と、簡単にできる5つのポイントについて解説していきます。

※記事内の税金・税率などは2022年11月時点の情報となります。最新の情報については、国税庁などのサイトをご確認のうえ、税理士などの専門家へのご相談もご検討ください。

目次

  1. 投資マンションがあるサラリーマンの確定申告の手順
    1-1.必要書類・環境を整える
    1-2.不動産所得の帳簿を作成し決算をおこなう
    1-3.所得税の確定申告書を作成・提出する
    1-4.所得税・住民税を納税する
  2. サラリーマンのマンション投資で確定申告を簡単におこなうポイント
    2-1.帳簿作成の際は、管理会社の明細書を最大限活用する
    2-2.収入・支出は、なるべく一つの銀行口座にまとめる
    2-3.帳簿作成・申告書作成は会計ソフトを利用する
    2-4.所得控除等はなるべく年末調整で調整する
    2-5.帳簿作成や手続きが簡単な白色申告から始める
  3. まとめ

1.投資マンションがあるサラリーマンの確定申告の手順

投資マンションから発生する家賃収入には、不動産所得として所得税と住民税がかかります。サラリーマンの場合、給与所得については勤務先の事業所が、源泉徴収した給与所得にかかる所得税を年末調整で精算して納付します。

しかし、不動産所得については、毎年、その金額を計算し、税務署に対して確定申告をおこなう必要があります。不動産所得は、「不動産収入―必要経費」によって算出されます。
確定申告では、給与所得などの他の所得と不動産所得を合算し、その合計額から所得控除を差し引いて、所得税のかかる所得を計算します。

確定申告の手順は、まず書類をそろえて準備をして、次に不動産所得の計算をおこなってから、所得税の計算をし、最後に税金を納める、という流れになります。

1-1.必要書類・環境を整える

まず、確定申告に必要な書類を整えます。家賃収入があって確定申告をおこなう不動産投資家であれば、確定申告書(B様式)と収支内訳書もしくは青色申告決算書を提出することになります。これらの書類を作成するために必要な書類を整えます。

環境については、確定申告の手続きの一部を自分でおこなう場合に準備が必要になります。帳簿の作成を自分でおこなうのであれば、会計ソフトとパソコン、ネット環境が必須でしょう。会計ソフトで帳簿を作成すると、税務署に提出する申告書類まで一通り作成することが可能です。

収入に関する書類の収集

収入帳や預金出納帳などの収入に関する帳簿を作成するために、家賃の入金されている通帳や管理会社が発行する家賃明細などを収集する必要があります。

必要経費に関する書類の収集

現金出納帳、経費帳などの必要経費に関する帳簿を作成するために、管理費や修繕費の領収書などが必要になります。所有不動産の固定資産台帳を作成するために、所有不動産の購入時の売買契約書なども必要になります。

他の所得や所得税の控除に関する書類の収集

所得税の確定申告書(B様式)を作成するために、給与所得の源泉徴収票などの不動産所得以外の収入明細が必要です。

また、所得控除に関する書類として、医療費の領収書や寄附金の領収書などが必要になります。なお、社会保険料や生命保険料、地震保険料も控除対象になりますが、サラリーマンであれば年末調整で調整済なので、源泉徴収票を用意すれば充分です。

会計ソフト、ネット環境などの準備

上述した帳簿は、会計ソフトを利用することで作成可能です。会計ソフトにはPCにインストールするタイプと、ウェブブラウザで起動・操作するクラウドタイプがあります。

小規模の不動産所得であれば、ソフトを使わずにエクセルで帳簿を作成して集計することも可能でしょう。いずれにしても、帳簿作成を自分でおこなうのであれば、PCとネット環境が必要になり、会計ソフトもできれば用意した方がよいでしょう。下記は主な会計ソフトの一覧です。

青色申告の65万円控除を受けるために、e-Taxで電子申告をおこなうというのであれば、マイナンバーカードとマイナンバーカード対応のスマートフォンが必要になります。

1-2.不動産所得の帳簿を作成し決算をおこなう

必要書類・環境を整えたら、不動産所得の収支内訳書(白色申告)もしくは青色申告決算書を作成します。

そのために、不動産所得の収入帳や経費帳などの帳簿を作成、整理して一年分の収入と経費の集計をおこないます。この一年分の集計をおこなって収支内訳書もしくは青色申告決算書(損益計算書、貸借対照表)を作成する作業を決算と呼びます。

以下、簡易帳簿の作成と決算手続き、収支内訳書もしくは青色申告決算書の作成方法について説明します。

簡易帳簿の作成と決算

不動産所得の簡易帳簿を作成して決算をおこなう場合、青色申告の届出を提出することで、不動産所得から10万円を控除することができます。

簡易帳簿とは、一般に、現金出納帳、収入帳、経費帳、固定資産台帳をいいます。現金出納帳は、不動産貸付用の現金の出し入れの状況を取引順に記載する帳簿です。

現金で支出した必要経費は、現金出納帳に記載します。家賃収入が預金口座に入金される場合、預金出納帳を作成して記載していきます。収入帳には、家賃収入を取引ごとに記載します。入金ベースではなく、賃貸借契約ベースで未収家賃も記載していきます。

経費帳は、不動産の貸付けに関する必要経費を、必要経費の科目ごとに分けて記載、集計する帳簿になります。固定資産台帳は、不動産貸付用の建物や附属設備などの取得費用を、減価償却費として各期間の必要経費に配分していく計算をする帳簿になります。

決算では、未収家賃や未払経費、減価償却費の計上をおこなってから、一年分の簡易帳簿を集計して、収支内訳書や青色申告決算書に転記していくことになります。簡易帳簿による場合、損益計算書の作成のみとなり、貸借対照表は作成しません。

複式簿記による帳簿の作成と決算

不動産所得の帳簿を複式簿記によって作成して決算をおこなう場合、青色申告の届出を提出することで、不動産所得から55万円を控除することができます。

複式簿記とは、取引を、現金と資産の増減という二つの側面(貸方と借方)から記録することで、網羅性・検証可能性・秩序性を備えた帳簿を作成する方法です。正規の簿記の原則を満たす条件でもあります。

作成する帳簿としては、上記の簡易帳簿に加えて、仕訳帳と総勘定元帳になります。

仕訳帳とは、すべての取引を日付順に、二つの側面から記録した帳簿です。一方、総勘定元帳とは、すべての取引を科目ごとに並べて集計した帳簿となります。

収入、必要経費、資産、負債などのすべての項目ごとに作成することになります。決算でおこなう集計の調整は、簡易帳簿の場合と基本的には同様です。

これらの手間を考えると、複式簿記による帳簿を作成するには、会計ソフトを利用されるのが良いでしょう。複式簿記による決算では、貸借対照表と損益計算書という2種類の決算書を作成しますが、会計ソフトでは、帳簿の作成と同時に、決算をおこなった集計結果が、所得税の確定申告で提出する青色申告決算書の様式に出力することが可能です。

会計ソフトで複式簿記による決算を行うことも可能ですが、簿記の専門知識が必要になるため、不明点が多い場合には税理士などの専門家に任せることも検討されてみると良いでしょう。

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1-3.所得税の確定申告書を作成・提出する

不動産所得の決算書の作成が終了したら、所得税の確定申告書(B様式)を作成します。

確定申告書は、決算で集計した不動産所得の金額や給与所得の金額を集計し、社会保険料控除、医療費控除などの各種控除の金額を控除して、所得税のかかる所得を算定し、実際の所得税額の計算をおこなう書類です。こちらも会計ソフトや税務ソフトに情報を入力して書類作成をおこなうことが出来ます。

すべての書類を作成したら、管轄の税務署に提出します。提出方法は、直接持参するか、郵送、あるいは電子申告であればインターネットで送信することによって提出します。所得税の確定申告書等の提出期限は、翌年の2月16日から3月15日までとなります。

1-4.所得税・住民税を納税する

書類の提出と納税は別々におこないます。所得税は、納税の期限が3月15日になっており、確定申告書等の提出期限と同じです。現金で支払う場合は、納付書を用いて金融機関等で納めます。口座振替の手続きをすれば、口座振替も可能です。そのほか、クレジットカード納付やコンビニ納付などもできます。

住民税は、確定申告の情報を下に、それぞれの市区町村が税額を計算し、6月以降に納付書を送ってきます。サラリーマンであれば、勤務先事業所に納付書が送られ、12回に分割して給与所得から天引きして事業所が納める「特別徴収」であるケースが多いと言えますが、「普通徴収」を選択することも可能です。普通徴収であれば通常は4回の分割払いになります。

2.サラリーマンのマンション投資で確定申告を簡単におこなうポイント

確定申告を簡単におこなうには、次のようなポイントを押さえるとよいでしょう。

  • 帳簿作成の際は、管理会社の明細書を最大限活用する
  • 収入・支出は、なるべく一つの銀行口座にまとめる
  • 帳簿作成・申告書作成は会計ソフトを利用する
  • 所得控除等はなるべく年末調整で調整する
  • 帳簿作成や手続きが簡単な白色申告から始める

以下で、それぞれのポイントについて詳しくみていきます。

2-1.帳簿作成の際は、管理会社の明細書を最大限活用する

収入帳や預金出納帳などの収入に関する帳簿を作成する際は、管理会社から送付される家賃収入の明細書を活用するとよいでしょう。管理会社によっては、一年間の収入をまとめた明細書を作成してくれるケースもあります。

また、経費帳などの必要経費に関する帳簿を作成する際、管理費や修繕費の領収書などが必要になります。管理会社に管理業務を委託している場合は、収入明細にそれらの費用の明細も集計しているケースもあります。

このように、管理会社の明細書を活用することで、収入や必要経費を集計する手間を省くことができます。

2-2.収入・支出は、なるべく一つの銀行口座にまとめる

収入帳や経費帳などの帳簿作成を簡単にするためには、収入・支出は、なるべく一つの銀行口座で入金・出金するようにしてみましょう。
こうすることで、入金明細や領収書などの証憑類から集計する手間を省くことができるだけでなく、収入や必要経費の計上漏れを防ぐことにもつながります。

その他、「freee」や「MFクラウド確定申告」などの会計ソフトでは銀行口座と連携して自動で仕分けが行える仕組みがあります。クレジットカードも連携することができるため、経費精算なども同時に行うことが可能です。

ただし、不動産所得の決算をおこなう際は、未収収益や未払費用など、実際に収入支出した金額と一年間の不動産所得に算入できる金額が異なる場合があります。自動で仕分けを行う場合も、最終確認は必ず自身で行い、ミスが無いように注意しましょう。

2-3.帳簿作成・申告書作成は会計ソフトを利用する

帳簿作成や申告書作成は、市販の会計ソフトを利用することで、集計の手間を省くことが可能です。前述した「freee」や「MFクラウド確定申告」であれば、簿記の知識がない方であっても、不動産所得の収支内訳書(白色申告)もしくは青色申告決算書を自動作成し、確定申告まで作成することが可能です。

ただし、未収家賃や未払経費、減価償却費の計上作業、現金と資産の増減という二つの側面(貸方と借方)から記録する複式簿記による帳簿作成・決算作業などを正確におこなうには、簿記の知識が必要であることが多いといえるでしょう。

また、確定申告書の作成には、所得税法の法令についての専門知識が必要となることが多いため、初心者の方や複雑に感じ不明な処理などがある場合には、税理士などの専門家に相談することも検討しましょう。

マンション投資に強い税理士を探してもらえる「税理士紹介エージェント」

税理士紹介エージェント税理士紹介エージェントは、インターネットを活用した税理士紹介サービスです。エージェントに希望条件を伝えることでニーズマッチした税理士を探してもらうことができ、税理士の選定や面談の設定などもエージェントに任せることが可能です。

税理士紹介エージェントでは、税理士業界に精通したエージェントが、分野ごとに、顧客のニーズに合った税理士を登録税理士の中からピックアップして紹介してくれます。特に特定の分野における専門性の高い税理士を探している人には、有用なサービスといえるでしょう。

また、税理士紹介エージェントでは、全ての提携税理士と面談によって、経験・知識・人柄について厳しい審査をしており、この3つの要素が揃った質の高い税理士を紹介してもらうことができるというメリットがあります。

2-4.所得控除等はなるべく年末調整で調整する

サラリーマンの場合、給与所得については勤務先の事業所が、源泉徴収した給与所得にかかる所得税を年末調整で精算して納付します。

年末調整では、同一生計親族にかかる扶養控除・配偶者控除などの人的控除や、社会保険料控除・生命保険料控除・地震保険料控除などの所得控除、住宅借入金等特別控除について、所得税の計算に含めることができます。

その計算結果は、給与所得の源泉徴収票で集計され、確定申告では源泉徴収票の計算結果をそのまま反映するだけでよく、手間を省くことが可能です。年末調整で調整できる所得控除等は、なるべく年末調整で調整するようにしましょう。

2-5.帳簿作成や手続きが簡単な白色申告から始める

確定申告の前提となる不動産所得の帳簿作成や決算は、簡便な帳簿作成、手続きでもよい白色申告から始めると手間を省くことが可能です。

白色申告の場合、不動産所得の帳簿は、一年間の収入金額や必要経費の明細内容が、取引ごとに整然かつ明瞭に記録されているものであれば、特に法定の形式はありません。そのため、エクセル等で作成することも可能であり、簿記の知識がなくても比較的容易に作成することができます。

また、青色申告をおこなう際に必要な、青色申告承認申請書の提出もなく、その提出期限に注意する必要もありません。青色申告承認申請書の提出期限は、確定申告の期限より1年前の3月15日となっており、早い段階から準備が必要となります。

このように、確定申告の初心者の方は、帳簿作成や手続きが簡単な白色申告から始めてみるのも一つの選択肢と言えます。

【関連記事】不動産投資を青色申告する手順・必要書類は?メリット・デメリットも

まとめ

サラリーマンの不動産投資の確定申告は、収入・必要経費などの必要書類を集め、不動産所得の帳簿作成・決算をおこなった上で、所得税の確定申告書を作成・提出し、最後に納税、という流れになります。

確定申告を簡単に済ませるには、管理会社の明細書や口座の管理をうまくおこなって、収入や必要経費を把握しやすくすることが大切です。

また、税法の取り扱いは、たとえば一つの領収書の経費計上をとってもその可否の判断が分かれることもあり、複雑であるといえます。税制改正も毎年おこなわれるため、前年と同様に手続きをしたものが今年は通用しない、ということもありえます。帳簿作成・申告書作成は、会計ソフトを利用するとよいでしょう。

特典の多い青色申告ですが、場合によっては、簡便な作業で済む申告から始めることも検討しましょう。複式簿記による青色申告の優遇税制を利用するには、正確な簿記の知識や税法の知識が必要になるケースもあります。

詳細な判断に迷ったときや、実際に確定申告をおこなうときは、税理士などの専門家に相談することを検討しましょう。

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佐藤 永一郎

佐藤 永一郎

筑波大学大学院修了。会計事務所、法律事務所に勤務しながら築古戸建ての不動産投資を行う。現在は、不動産投資の傍ら、不動産投資や税・法律系のライターとして活動しています。経験をベースに、分かりやすくて役に立つ記事の執筆を心がけています。