ソニー株式会社は4月2日、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)によって世界各国で影響を受けている人々を支援するため、総額1億USドル(約108億円)の支援ファンド「新型コロナウイルス・ソニーグローバル支援基金」を立ち上げ、翌3日に特定非営利活動法人国連難民高等弁務官事務所(UNHCR)の日本の公的支援窓口である国連UNHCR協会を寄付先として決定した。UNHCRが実施するCOVID-19感染症対策活動への民間からの大規模支援としては世界初となる。
ソニーは同基金を通じて①COVID-19の治療に従事している医療関係者や感染症対策に尽力する関係者への支援②学校閉鎖などの影響を受けている子どもたちやリモートワークを余儀なくされている教育関係者に対する支援③エンタテインメント業界で影響を受けているクリエイティブコミュニティの支援の3つの領域での支援を行っていくとしている。
医療関連の支援では、まず1000万USドル(約11億円)を国連財団とスイス慈善基金会がサポートするWHO(世界保健機構)のCOVID-19 Solidarity Response Fund(COVID-19連帯対応基金)、国境なき医師団(MSF)、国際連合児童基金(UNICEF)、国連難民高等弁務官事務所(UNHCR)に寄付する。加えて、社外のパートナーとの提携によるCOVID-19の感染拡大防止や治療につながる支援活動も検討する。
教育の領域では、外出制限や学校の休校などで次世代を担う子どもたちの学習機会に制限が生じている現状に対して、ソニーのテクノロジーを使った教育支援を検討し、教育関係者とも協力の上で実施していく。音楽、映画、ゲーム、アニメなどクリエイティブコミュニティの領域では、コンサートの中止や映画・テレビ番組の制作の中断などにより大きな影響を受けている新進のクリエイターやアーティスト、そしてエンタテインメント業界を支える様々な職種に対してエンタテインメント事業各社と協調して、支援を進めていく考え。こうした支援活動を世界中に約11万人いるグループ社員と共有し連携していくため、社員マッチングギフトも実施予定。
同社は、難民問題を重要なグローバル課題のひとつと位置づけ、CSR活動を通じて社員の意識啓発に取り組んできた。この一環として、2007年から「UNHCR難民映画祭」を継続支援しているほか、グループ社員が難民問題への理解を深められるよう、勉強会やイベントの開催も行っている。
UNHCRは1950年設立の国連機関。紛争や迫害により故郷を追われた難民や国内避難民、無国籍者などを国際的に保護・支援するため世界約135カ国で活動。54年、81年にノーベル平和賞を受賞。本部はスイス・ジュネーブ。国連UNHCR協会は2000年設立の認定NPO法人。UNHCR駐日事務所と連携し広報・募金活動を行う一方、寄付に対して税控除の領収証を発行できる。

HEDGE GUIDE編集部 ESG・インパクト投資チーム

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