ローソン、レゾナック、エムシーファッション(MCF)の3社は6月30日、全国のローソン店舗で発生した使用済みユニフォームを高温で分子レベルまで分解し、炭酸ガスなどに変換して冷凍・冷蔵ケースの冷媒などに活用する「ケミカルリサイクル」を開始したと発表した。コンビニエンスストア業界で使用済み店舗ユニフォームのガス化によるケミカルリサイクルを実施するのは初めてという。
ローソンでは毎年、経年劣化や汚れ・破損などにより約1万枚のユニフォームが廃棄されており、これまではユニフォームレンタル業者を通じて焼却処分されていた。今回の取り組みでは、全国のローソン店舗で発生した使用済みユニフォームの一部(約3,000枚・約900kg)について、MCFが保有する廃棄物処理に関する「広域認定制度」の許可資格を活用し、神奈川県にあるレゾナックの工場でケミカルリサイクルを実施する。
このリサイクルプロセスにより、従来の焼却処理と比較してCO2排出量を約8割削減できるほか、約2,000kgの炭酸ガスを生成することが可能となる。生成された炭酸ガスは、レゾナックを通じて市場に流通し、冷凍・冷蔵ケースの冷媒や植物の温室栽培における光合成の原料として活用される。これにより、新たな資源として再利用されることで、サーキュラーエコノミーの実現に貢献する。
日本ユニフォーム協議会によると、国内では産業廃棄物としてのユニフォームが年間約7,000万枚・約16万トン廃棄されている。繊維製品のリサイクルは、素材の複雑性や汚れなどの問題から技術的に困難とされてきたが、ガス化によるケミカルリサイクルは、こうした課題を解決する有効な手段として注目されている。特に、ポリエステルなどの合成繊維を含むユニフォームは、高温での分解により効率的に資源化できるため、今回の取り組みは他の小売業界への展開も期待される。
3社は今後も使用済みユニフォームのケミカルリサイクルを継続し、CO2排出量の削減と循環型社会の実現を目指すとしている。コンビニ業界では、プラスチック削減や食品ロス対策など様々な環境対策が進められているが、ユニフォームのリサイクルという新たな領域での取り組みは、サステナビリティ経営の更なる深化を示すものといえる。
【参照記事】コンビニエンスストア業界初、使用済み店舗ユニフォームをガス化ケミカルリサイクル

HEDGE GUIDE編集部 ESG・インパクト投資チーム

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