富士フイルムビジネスイノベーション株式会社は7月8日、フィリピン・ラグナ州に複合機の再生機製造拠点「Circular Manufacturing Center(CMC)」を開設すると発表した。2026年8月の稼働開始を予定し、アジア・パシフィック地域で回収した使用済み複合機を分解・再生して新品同等の品質で提供する。部品リユース率は最大84%(重量比)を実現し、地域内での資源循環を促進する。
新拠点は、富士フイルムグループのイメージング機器製造拠点であるFUJIFILM Optics Philippines Inc.(FOPH)の敷地内に設置される。FOPHはデジタルカメラ用交換レンズなどの精密機器組み立てで培った高度な製造技術を持ち、多数の技術者や製造スタッフが在籍している。これらの人材と技術基盤を活用することで、立ち上げ初期から安定した品質確保と効率的な生産体制の構築を目指す。
同社は1995年に「廃棄ゼロ」を目指すリサイクル方針を策定し、商品のライフサイクル全体を視野に入れた循環型生産システム「クローズド・ループ・システム」を構築してきた。2008年には中国・蘇州に再資源化拠点を設立し、2024年には欧州・オランダにもCMCを開設。今回のフィリピン拠点により、日本、中国、欧州、アジア・パシフィックをカバーする世界規模の資源循環体制が整う。
フィリピンは地理的にアジア・パシフィック地域の中心に位置し、物流面での優位性も拠点選定の決め手となった。新拠点は約500平方メートルの専有面積で、50名の従業員体制を予定。2025年7月に工事を開始する。同社は各拠点間の連携を通じて、新規資源投入量とCO2排出量の削減を加速させ、サーキュラーエコノミーの実現に向けた取り組みを強化していく方針だ。
【参照記事】サーキュラーエコノミー実現に向けた取り組みを加速 フィリピンに再生機の製造拠点を開設

HEDGE GUIDE編集部 ESG・インパクト投資チーム

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