地方創生にNFTを活用!メリットと実践事例を徹底解説

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2021年あたりから「NFT」という言葉をよく耳にするようになりました。NFTの元祖といわれる「CryptoPunks(クリプトパンクス)」は2017年に発表された際は無料配布され、そこから爆発的人気アイテムとなり2021年12月には1体が約11億円で取引されました。2023年に入ってもNFTは注目されており、国内のNFTプロジェクトは CryptoNinja Partners(CNP)やLive Like A Cat(LLAC)を始め参入者は増えています。

そんな中で、地方自治体もNFTを使って地方創生に取り組んでいます。ここでは地方でのNFTの活用方法やそのメリット、活用事例を挙げながら解説します。

目次

  1. NFTとは?
    1-1.NFTの概要
    1-2.NFTの種類
  2. NFTによる地方創生の活用法とは
    2-1.ふるさと納税の返礼品としてNFTの提供
    2-2.地域の特色を織り込んだNFTアートの販売
    2-3.デジタル住民権としてNFTを活用
  3. NFTを活用する理由
    3-1.関係人口創出への繋がり
    3-2.NFTの売上を財源へ
    3-3.国境を越えた地域の宣伝
  4. 地方自治体のNFT活用例
    4-1.山古志の発行する「Nishikigoi NFT」
    4-2.竹神社デジタル御朱印
    4-3.九州NFTラボ
    4-4.ちっさいおっさんNFTコレクション
  5. まとめ

①NFTとは?

1-1.NFTの概要

NFTとは「Non-Fungible Token(ノンファンジブルトークン)」の略で、日本語では「非代替性トークン」と表されます。要は、NFTはブロックチェーンによって発行されるビットコインやイーサリアムと同じトークン(暗号資産)の一種です。

ただ仮想通貨のように決済やプラットフォームで使用する通貨ではなく、NFTの一例を挙げると、コレクション用のトレーディングカード、仮想空間上の不動産、デジタルスニーカーなど、有形無形を問わず様々なデジタル上のアイテムやコンテンツの所有権を表します。

「ノンファンジブル(非代替的)」という名の通り、トークンにはそれぞれシリアルNo.のような識別子がつけられているため、それぞれが唯一無二の証明付きのデジタルコ資産として発行されます。これにより、デジタル上での希少性や唯一性が担保される仕組みとなっています。

1-2.NFTの種類

実際に、NFTとして制作される対象には、下記のようなものがあります。

  1. デジタルアート:絵画や動画をはじめとするアート作品
  2. 音楽作品:音楽アルバムやミュージックビデオなど
  3. デジタルコレクション:トレーディングカードやスクリーンショット、動画など
  4. ブロックチェーンゲームのアイテム:ゲームキャラクター(アバター)やゲームアイテムなど
  5. 仮想空間上の土地:「Coincheck(コインチェック)」で販売された「The Sandbox(ザ・サンドボックス)」上の仮想土地「LAND(ランド)」など
  6. 現実世界の物質:自動車、競走馬、チケット、ファッションアイテムなど

このように、あらゆるものがNFTの対象となっており、その種類は今後も増えていくとみられています。

②NFTによる地方創生の活用法とは

地域創生のためのNFTの活用例として、主に次の3つが挙げられます。ふるさと納税の返礼品としてNFTの提供、地域の特色を織り込んだNFTアートの販売、デジタル住民権としてNFTを活用、などがあります。

2-1.ふるさと納税の返礼品としてNFTの提供

ふるさと納税の返礼品としてNFTに初めて触れたという方もいるのではないでしょうか。2021年からNFTが国内でも注目されると、ふるさと納税の返礼品にもNFTが登場していきました。

ふるさと納税は、特定の地域を応援すると同時に税金の控除も受けられるとあって、利用者が年々増加しています。しかし「地域の応援」という性質よりも返礼品を重要視して寄付をする傾向があり、地域を応援する意識や、納税をきっかけに直接現地を訪問して、直接消費をするには弱いという課題があります。

ブロックチェーン上で管理されているNFTによる返礼品の場合、実際の物のように返礼品として受け取って終わりではなく、NFT購入者だけに特産品の獲得権や購入権を付与したり、観光誘致と組み合わせ、その地域に赴くインセンティブを施すこともできます。そしてNFTが唯一無二のデジタルデータとして、購入者の手元に残り続けることで、所有による特定の地域との関わりを継続的に意識させ、関係人口の創出へと繋げられることから、自治体はふるさと納税の返礼品としてNFTを採用していると考えられます。

2-2.地域の特色を織り込んだNFTアートの販売

地方創生の活動にはその地域の特色を押し出しているケースが見受けられます。その地域でしか見られない自然風景や名産品、農産物などがあり、また自然を楽しむ体験や、何かを作る体験などもあります。

それらをNFTの中でアートとして表現することで、独自性を持ったデジタルアート作品になります。地域の特色をNFTで表現することで、その土地に関心を持つ人々が増え地域の活性化につながることが期待されています。またその地域に寄付をしたという証として、NFTアートが手元に残るのも支援者側にとって記憶に残りやすくなります。

2-3.デジタル住民権としてNFTを活用

NFTではアートとコレクティブルを除くと、会員権としての使われ方が一般的とも言われます。特にコレクティブルがこれを兼ねるケースが多く、PunksやMeebitsをはじめとして多くのコレクティブルが保有者のみのサロン的な場が存在します。例えるなら、ファンクラブの会員証みたいなものです。これを実現しているのがDiscordとCollab.landというサービスの組み合わせで、こうした用途やサービスはどんどん拡大して行くと考えられます。

そして地方では、地域の関係人口の創出として自治体が、NFTをデジタル住民票として活用する方法があります。関係人口が増えることで、移住につながるケースもあるとして、過疎化による地域の課題解決の糸口として注目されています。地域の住民票をNFTとしてデジタル化するということは、NFTを保有する人は実際にその地域に居住していなくとも、その地域のデジタル住民として自治体のまちづくりに参加することが可能になります。またその地域のコミュニティに参加し、地域復興のアイディアを考えたり、また積極的に参加している人にはインセンティブを報酬として付与することも可能です。

③NFTを活用する理由

NFTはユーザーからハードルが高いイメージがあったり、NFTはリスクがあるというイメージがあるかもしれませんが、地方自治体がNFTを活用するメリットには以下のようなものがあります。

3-1.関係人口創出への繋がり

ふるさと納税は関係人口の創出を期待しての返礼品ですが、NFT活用でも最も期待されるメリットは関係人口の増加です。「関係人口」とは、その地域に住んでいる「定住人口」でもなく、観光などで訪れた「交流人口」でもない、地域と多様に関わる人々を指す言葉として使われます。NFTはネットリテラシーが高い若者とのつながりの構築の活用に注目されています。特に過疎化が進む地域では、居住を置いている人々だけでなく、NFTを介して興味をもってくれる人の流入につなげやすいとしています。

3-2.NFTの売上を財源へ

自治体が発行体となりNFTを販売することによって、その売上を自治体の財源として利用することができます。ふるさと納税の返礼品としてNFTが活用されていますが、北海道の余市町や京都府の長岡京市では、Crypto Ninja Partners(CNP)とのコラボNFTを販売し総額666万円の売上を達成しています。NFTの販売で得た財源は、地域の課題解決のために立ち上げられたDAOで住民票を通じて、プロジェクト活動費に当てることもできます。またNFTコンテンツにすることで、その地域の特色をだせる点も有用な特長です。

3-3.国境を越えた地域の宣伝

NFTは日本国内よりも海外のほうが大きな注目を浴びています。NFTプロジェクトの規模も海外の方が大きく、海外のNFTユーザーが日本のプロジェクトに興味を持ち始めています。したがって地方自治体が発行したNFTが海外のユーザーが目に止める可能性は多いにあるでしょう。またNFTにはユーティリティをつけることができ、その地域を訪れた際に使用することができる商品券をデジタル上で付与するなど、地域の魅力をアピールするだけでなく、直接インバウンド収益に繋げることもできます。

④地方自治体のNFT活用例

4-1.山古志の発行する「Nishikigoi NFT」

Nishikigoi NFT

「山古志(やまこし)」とは、新潟県中越地方の長岡市の山間に位置する地域で、人口800人という小さな村です。日本の原風景と称される美しい山あいの村として知られています。山古志は、21年12月に「電子住民票」という意味合いを含むデジタルアート「Nishikigoi NFT」を発行し、話題となりました。

地域のシンボルとして親しまれている錦鯉をモチーフにしたこのNFTは、地元自治体の長岡市を公式パートナーとする自治体公認のNFTプロジェクトとなっています。第一弾セールにおいて1,500点がミントされ、発売からたった二ヶ月で約600万円の資金調達に成功しました。発行する「Nishikigoi NFT」は「電子住民票」としての役割も兼ねているため、NFTを保有するだけで世界中の誰もが山古志のデジタル住民になることが可能です。

また山古志のNFT、つまり電子住民票を保有しているホルダーは、村のガバナンスに参加することが可能となってます。地域活性化のプロジェクト会議への出席や、「デジタル村民選挙」への投票などを行う権利を得ることができます。

4-2.竹神社デジタル御朱印

HAKUHODO Blockchain Initiative

「竹神社デジタル御朱印」とは、22年8月にリリースされた、三重県・明和町の「竹神社」における御朱印をデザインしたNFTのことを指します。

竹神社デジタル御朱印は、明和町の観光地域づくりを推進する「一般社団法人明和観光商社」、「株式会社博報堂」の「HAKUHODO Blockchain Initiative(博報堂ブロックチェーン・イニシアティブ)」と「博報堂行動デザイン研究所」、そしてNFTサービスを開発している「CryptoGames株式会社」によって展開されており、竹神社社務所において申し込みを済ませ、配布されたQRコードをスマホで読み込むことによって、専用ページから御朱印NFTを受け取ることができるということです。

なお、明和町では今回の取り組みを通して地域の文化とデジタル・テクノロジーの活用のあり方を検証していくとしており、今後もメタバースをはじめとするWeb3.0関連のプロジェクト展開を予定しているということです。

4-3.九州NFTラボ

KyushuNFT
九州最大級のNFTイベントなどを開催した九州NFTラボは、九州(福岡県、佐賀県、長崎県、大分県、熊本県、宮崎県、鹿児島県、沖縄県)の魅力を発信し、九州を盛り上げていく地方創生プロジェクトに取り組んでいます。

九州NFTラボは2022年10月の立ち上げから、アーティスト、クリエイターの活躍の場を広げるべく、いくつものNFTイベントを九州で行ってきました。また、NFTアートを多くの人に触れてもらう機会を創出し、様々な自治体、企業、学校での講演を行い、NFTを分かりやすく正しく学んでもらうことに尽力してきた事業です。

そして今後は、九州NFTラボとして、新しい技術”NFT”を活用した地方創生に興味のある自治体、企業、団体などと連携し、皆が住んでいるの地方に秘められた、”知る人ぞ知る魅力”を、『誰もが知る魅力』として日本全国、海外に発信していく取り組みを一緒に推し進めていきたいと考えています。

九州NFTラボはその名のとおり九州に拠点を構えており、九州を中心に活動していますが、理念に賛同または興味をもった九州以外の地方も一緒に地方創生に取り組んでいけたらと思っている、としています。

4-4.ちっさいおっさんNFTコレクション

SmallOsssan

「NFTが生み出す新たな地方創生のカタチ」は、兵庫県尼崎市の非公認ご当地キャラクター「ちっちゃいおっさん」を題材にしたNFTプロジェクトです。

このプロジェクトは、「株式会社フォーイット」とアライアンスパートナー「メディアエクイティ株式会社」が展開し、「NFT×地方創生」をテーマに、ブロックチェーンを利用したオープンガバナンスを通じて地域経済圏(トークンエコノミー)を形成することを目指しています。

2022年1月28日の第一弾ファーストセールでは、5個のNFTが1個1,000円で販売され、わずか3分で完売しました。続く2月1日のセカンドセールでは、先着15個限定のNFTが1個3,000円で販売され、こちらも4分で完売。さらに、2月7日から14日にかけてのサードセールでは、先着順で30個のNFTが1個5,000円で販売されました。

現在は、NFTマーケットプレイス「HEXA(ヘキサ)」で二次流通により購入可能です。

⑤まとめ

NFTを活用した地方創生の方法や地方自治体における事例について説明しました。今後、地方自治体がNFTを利用して地域課題解決に取り組む動きが続くでしょう。また、これにより、これまでNFTに興味はあったものの、OpenSeaへのアクセスや購入に踏み切れなかったユーザーが、地域のNFTを初めての所有物として手に入れることもあるかもしれません。

NFT(非代替性トークン)には投資や投機的な側面があることは事実ですが、それだけがNFTの全てではありません。アーティストと地域NFTのコラボレーション企画は、地元コミュニティにとってもプラスの影響を与えます。

アーティストが地元の特色を取り入れた作品を作成することで、地域のイメージアップにつながり、観光客の誘致にもつながることが期待できます。また、地元住民にとっても、自分たちの土地に誇りを持ち、地元に貢献する意識が高まることが考えられます。

こうしたアーティストと地元NFTのコラボレーション企画は、地域創生において非常に有効な手段であると言えます。地元の魅力を伝えることで、地域活性化に貢献し、地元住民や観光客の心をつかむことができるでしょう。

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立花 佑

自身も仮想通貨を保有しているWebライターです。HEDGE GUIDEでは、仮想通貨やブロックチェーン関連の記事を担当。私自身も仮想通貨について勉強しながら記事を書いています。正しい情報を分かりやすく読者の皆様に伝えることを心がけています。