自宅を売却する際に覚えておきたい、かかる税金と節税制度まとめ

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マイホームを売却する際は、「登録免許税」や「印紙税」のほか、利益が出れば「譲渡所得税」が発生する場合もあります。支払う税金は、売却額が高額になるほど高くなりやすいのですが、マイホーム売却の特例制度を活用すれば課税所得を抑え、譲渡所得税を安くすることも可能です。

この記事ではマイホームを売却する際にかかる税金の種類や内容を説明するとともに、税金をできるだけ安くする方法について紹介します。自宅売却で支払う税金を抑えて得をしたいという方は参考にしてみてください。

目次

  1. マイホームの売却にかかる税金
    1-1.譲渡所得税
    1-2.登録免許税
    1-3.印紙税
  2. マイホームの売却にかかる税金を安くする方法
    2-1.所有期間5年超で自宅を売る
    2-2.マイホーム売却のお得な特例制度の種類とは
    2-3.自宅の購入・売却時の経費を計上して節税する
  3. まとめ

1 マイホームの売却にかかる税金

マイホーム売却の際にかかる税金は主に次の3つです。

  • 譲渡所得税(所得税・住民税)
  • 登録免許税(住宅ローンを利用している場合)
  • 印紙税

それぞれの内容を詳しく見ていきましょう。

1-1 譲渡所得税

不動産を売却して得た利益(=譲渡所得)が生じた場合、その譲渡所得に対して税金がかかります。一般的には譲渡所得税と呼ばれていますが、実際は所得税と住民税の合計です。さらに売主が個人の場合は、平成25年から平成49年までの譲渡所得に対して、2.1%の復興特別所得税が上乗せされることになっています。

譲渡所得税を求める計算式を確認してみましょう。

譲渡所得税={譲渡価額-(取得費+譲渡費用)-特別控除額}×税率

それぞれの項目を1つずつ見ていきます。ここでは概要のみを扱い、詳細については後述します。

譲渡価額とは「不動産の売却額」です。また取得費とは「物件を取得するためにかかった費用」です。取得費は「物件の購入費用+物件を取得するためにかかった費用-減価償却費」で求めることができます。なお「物件を取得するためにかかった費用」としては、不動産業者の仲介手数料をはじめ、様々な必要経費を計上できます。

取得費の計算で注意したいのは、取得費を算出する過程で、物件購入にかかった費用から「減価償却費」が差し引かれる点です。建物は、年数を経るごとに経年劣化してその価値が減っていきます。そのため、建物購入にかかった当初費用から経過年数に応じた価値の減少分を差し引く必要があります。減価償却の率は建物の構造の種類により決まっています。

譲渡費用には、「不動産業者の仲介手数料」をはじめ、様々な必要経費を計上できます。

特別控除額は、マイホームの売却にあたり3,000万円が控除される特例制度を指します。この特例制度の活用により譲渡所得を抑え、支払う税金を安くできます。

また、譲渡所得税は不動産の所有期間により違ってきます。なお売却して収益がなかった時には譲渡所得税がかかりません。

1-2 登録免許税

登録免許税は住宅ローンを利用している場合に必要となることがある税金です。例えば住宅ローンの残債が残ったままの不動産を売却するのは難しいため、住宅ローンを完済し、銀行が設定した抵当権を抹消する必要があります。また、住宅ローンが完済されていても、登記簿上抵当権が残ったままの場合には抹消手続きをすることになります。

この抵当権抹消手続きの際にかかるのが、登録免許税です。原則として土地・建物それぞれ1物件につき1,000円を支払う必要があります。

なお、登録免許税は住宅ローンを借りていない場合は不要です。このほか買主への所有権移転登記も必要ですが、その費用は通常買主が負担することになるため、売主の負担はありません。

1-3 印紙税

印紙税は、不動産の売買契約書に貼付する収入印紙代として納税します。契約書は売主と買主が1通ずつ保管するため、収入印紙も2セット必要になります(売主と買主が1セット分ずつ負担)。

なお、契約金額が10万円を超える不動産売買契約書は、平成32年3月31日までの間に作成されるものについては軽減税率が適用されています。契約金額別の印紙税額は、以下のとおりです。

契約金額 印紙税額
100万円超500万円以下 1,000円
500万円超1,000万円以下 5,000円
1,000万円超5,000万円以下 10,000円
5,000万円超1億円以下 30,000円
1億円超5億円以下 60,000円

参照:国税庁「不動産の譲渡、建設工事の請負に関する契約書に係る印紙税の軽減措置

2 マイホーム売却にかかる税金を安くする方法

所有期間5年超での売却や、税制上設けられた特例制度を活用することで、譲渡所得税を安くすることが可能です。

2-1 所有期間5年超で自宅を売る

譲渡所得税の税率は、不動産の所有期間により大きく異なります。具体的には不動産の所有期間が「5年超」か「5年以下」で、以下のように税率が2倍近く違います。

不動産の所有期間 譲渡所得の種類 税率
5年超 長期譲渡所得 20.315%
(内訳:所得税15.315%、住民税5%)
5年以下 短期譲渡所得 39.63%
(内訳:所得税30.63%、住民税9%)

(注)税率には、復興特別所得税が加わっています。
参照:国税庁「譲渡所得(土地や建物を譲渡したとき)

不動産の所有期間は、不動産を売却する年の1月1日時点で計算されることに注意しましょう。例えば、2014年2月1日に購入した土地を2019年4月1日に売却する場合、所有期間は「5年2ケ月間」となりません。譲渡所得税における所有期間は不動産を売却する年の1月1日時点で計算するため、「4年11ケ月間」(2014年2月1日〜2019年1月1日)とみなされます。

この場合、不動産の所有期間が5年以下の短期譲渡所得となり、高いほうの税率が適用されることになります。長期譲渡所得の適用を受けるには、翌年(2020年1月1日)まで待つ必要があります。

2-2 マイホーム売却のお得な特例制度の種類とは

不動産の売却では、税制上様々な特例が定められています。自宅(マイホーム)を売却する場合に適用される特例は以下の4つです。(2019年4月時点)

  • 特別控除の特例
  • 軽減税率の特例
  • 他の所得と損益通算ができる特例
  • 課税を将来に繰り延べることができる特例

特別控除の特例

マイホームの売却で、一定の要件を満たせば、所有期間にかかわらず譲渡所得から最高3,000万円までが控除されます。マイホームとは、現在、主として居住している自宅のことを言います。

売却時に居住していなかった家屋や敷地等は、居住しなくなった日から3年を経過する日の属する年の12月31日までに売ること、また、家屋を取り壊した場合は、取り壊した日から1年以内にその敷地の売却契約が締結されていることが要件とされています。

軽減税率の特例

所有期間10年超のマイホーム売却で、一定の要件を満たせば、3,000万円特別控除の特例適用後の譲渡所得に対し、長期譲渡所得の税率より低い軽減税率が適用されます。売却時に居住していなかった、または家屋を取り壊した場合の取り扱いについては、「特別控除の特例」と同様です。

他の所得と損益通算ができる特例

個人が不動産を譲渡して売却損が生じた場合の譲渡損失は、他の不動産の譲渡所得から控除できますが、給与所得や事業所得など他の所得と損益通算することは原則認められていません。

しかし、マイホームの譲渡損失に限っては、以下のように他の所得と損益通算ができる特例があります。

居住用財産買い換え等の場合の譲渡損失の損益通算および繰越控除

マイホーム買い換えで旧マイホームを売却して売却損が生じた場合、一定の要件を満たせば、給与所得や事業所得など他の所得と損益を通算できます。また、譲渡の年に損失を控除しきれない場合は、翌年以降最長3年間にわたり損失を繰り越すことができます。

特例の適用を受けるには、平成31年12月31日までに売却することが要件とされています。売却時に居住していなかった家屋や敷地等は、居住しなくなった日から3年を経過する日の属する年の12月31日までに売ること、家屋を取り壊した場合は、取り壊した日から1年以内にその敷地の売却契約が締結されていることが要件とされています。

買い換えるマイホームにも要件があり、床面積が50㎡以上で、旧マイホームを譲渡した年の前年1月1日から譲渡年の翌年12月31日まで(3年の間)に取得することが要件となっています。

居住用財産の譲渡損失の損益通算および繰越控除

住宅ローンが残っているマイホームについて住宅ローン残高を下回る価格で売却して売却損が生じた場合、一定の要件を満たせば、給与所得や事業所得など他の所得と損益を通算できます。譲渡の年に損失を控除しきれない場合は、翌年以降最長3年間にわたり損失を繰り越すことができます。

売却時に居住していなかった、または家屋を取り壊した場合の取り扱いについては、上記の「居住用財産買い換え等の場合の譲渡損失の損益通算および繰越控除の特例」と同様です。この特例ではマイホームの買い換えを行うことは要件となっていませんが、譲渡契約を締結した日の前日時点で、譲渡損失が生じた自宅に住宅ローン残高があることが必要です。

課税を将来に繰り延べることができる特例

譲渡収益に対する課税を将来に繰り延べることができる特例です。

特定居住用財産買い換えの特例

マイホームを売却して他に買い換える場合、一定の要件を満たせば、譲渡所得に対する課税を将来に繰り延べることができます。

売却時に居住していなかった家屋や敷地等は、居住しなくなった日から3年を経過する日の属する年の12月31日までに売ること、また、家屋を取り壊した場合は、取り壊した日から1年以内にその敷地の売却契約が締結されていることが要件とされています。

さらに、買い換えるマイホームにも要件があり、床面積50㎡以上・土地面積500㎡以下で、旧マイホームを譲渡した年の前年1月1日から譲渡年の翌年12月31日まで(3年の間)に取得することが要件となっています。

2-3 経費を計上して節税する

譲渡所得税の計算では、不動産を「取得するためにかかった費用」や「譲渡するために要した経費」を漏れなく計上して節税を図ることが重要です。

例えば、譲渡所得税を求めるときの「取得費」を計算する際、「物件の購入費用」以外に「物件を取得するためにかかった費用」も漏れなく計上します。なお、「物件を取得するためにかかった費用」として経費計上が「認められるもの」と「認められないもの」があります。取得費として経費計上が認められるものは、以下のとおりです。

  • 土地の購入費用
  • 建物の購入費用から減価償却費を差し引いた額
  • 購入時の不動産業者仲介手数料
  • 購入の際、以前の所有者等に支払った立退き料
  • 土地建物を一括取得後、直ちに建物を取り壊した費用
  • 購入時の登録免許税・司法書士報酬などの登記費用
  • 購入時の印紙税
  • 購入時の不動産取得税

(注)「購入時の登録免許税・司法書士報酬などの登記費用」「購入時の印紙税」「購入時の不動産取得税」については、事業用不動産の場合は経費として認められません。

また、譲渡費用についても、経費として「計上できるもの」と「計上できないもの」があります。譲渡費用として経費計上できるものは、以下のとおりです。

  • 売却のため行った測量費用
  • 売却のため支払った立退き料
  • 売却のための建物解体・不用品処分費用
  • 売却時の不動産業者仲介手数料
  • 売却時の印紙税

譲渡費用として経費計上できないものは、以下のとおりです。

  • 住宅ローンを弁済する費用
  • 修繕やリフォームの費用
  • 抵当権を抹消する費用
  • 引越しの費用

このほか不動産の購入・売却では不動産業者の仲介手数料がかかりますが、取得費または譲渡費用として経費を計上することが認められています。この仲介手数料は上限額が法律で以下のとおり決まっています。

売却価格が400万円を超える場合 売却価格×3%+6万円+消費税
売買価格が200万円超400万円以下 売買価格×4%+2万円+消費税
売買価格が200万円以下 売買価格×5%+消費税

参照:全日本不動産協会「仲介手数料について

3 まとめ

マイホームの売却・買い換えにかかる税金の計算や、税金を安くするための特例などは細かく複雑です。そのため十分な下調べを行わずに急いで売却すると余計な税金を支払うこともあり得ます。不動産の売却額は高額になるケースが多いので、売却の際の適用税率や控除額の違いが結果的に大きな差となって現れます。

自宅を売却する際は、課税される税金の種類や内容、また軽減のための特例や計上経費について十分に調査・検討を行うようにしましょう。

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HEDGE GUIDE 編集部 不動産投資チーム

HEDGE GUIDE 編集部 不動産投資チームは、不動産投資や金融知識が豊富なメンバーが不動産投資の基礎知識からローン融資のポイント、他の投資手法との客観的な比較などを初心者向けにわかりやすく解説しています。/未来がもっと楽しみになる金融メディア「HEDGE GUIDE」