コロナ禍でNPO法人が感じる変化や悩みは?フィランソロピーサミット

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※本記事は株式会社Japan Asset Managementによる寄稿記事です。

株式会社Japan Asset Managementは、個人投資家のお客様の立場と長期的な視点に立った金融機関を目指し、資産運用についてアドバイスを行っているIFA法人です。

IFAとはIndependent Financial Advisorの略で独立系ファイナンシャルアドバイザーのことを指します。どの金融機関にも属さず、公平な視点から資産管理・運用アドバイスをすることを心がけています。

今回、2020年12月15日(火)に、実際に活動をしているNPO法人様の活動内容や、現場で感じている達成感や課題等を共有し、一人でも多くの方にこの活動を知って頂きたいという想いで「フィランソロピーサミット」をオンライン開催し、100名以上の方にご視聴いただきました。

NPO法人D×P今井紀明氏、NPO法人Learning for ALL石神俊一氏、NPO法人キープ・ママ・スマイリングの光原ゆき氏の3名にご登壇頂き、活動内容と活動状況、そしてこのコロナ禍での状況の変化等をお伺いしました。

話し手

  • 認定NPO法人D×P  理事 今井 紀明 様
  • NPO法人Learning for ALL  コミュニティ推進事業部長 石神 駿一 様
  • NPO法人キープ・ママ・スマイリング  理事長 光原 ゆき 様

目次

  1. フィランソロピーとは?
  2. フィランソロピーの活動のきっかけは?
  3. コロナ禍で生じた悩みは?
  4. 実際にコロナの影響を受けた方の悩みは?
  5. 活動の要は仲間集め
  6. 課題は活動資金の確保
  7. まとめ

1.フィランソロピーとは?

まず、本題に入る前に「フィランソロピー」という言葉について少し触れたいと思います。フィランソロピーとは、企業や個人による社会貢献活動の総称を指す言葉で、欧米では既に広く知られています。

日本ではまだ地名度の低い活動ですが、近年消費者が企業に社会への貢献を求める傾向が大きくなってきており、フィランソロピーへのニーズが高まっています。

株式会社Japan Asset Managementは、2019年6月よりフィランソロピー・アドバイザーとして、NPO法人様やお客様と社会課題に取り組む活動をしております。フィランソロピー活動を始めたきっかけは、運用アドバイスに徹する中で、何のために運用をするのかお客様と語り合ったことでした。

お客様の中には、「資産運用に興味はないけど、社会のために何かしたい。」
「資産運用をしているが、増えたお金を使う目的がない。」という方もいらっしゃいます。

「寄付」が運用の目的の一つにあってもいいのではないか。この活動がきっかけで、より良い日本を作る一歩を踏み出せたら、と考えております。

2.フィランソロピーの活動のきっかけは?

7人に1人の子どもが「貧困」

D×P今井さん

私たちは10代の孤立を解決するためにユキサキチャットという3,000人を超える不登校や中退した中高生のライン相談など運営しています。自分自身が10代の頃にひきこもって社会復帰したことがきっかけで、不登校や中退していたとしてもひとりひとりの潜在的な可能性は多くあると考え、事業をはじめて9年が経ちました。多くの個人寄付者さんに支えられて、今は動いています。

増える多様な困りごと

learning for ALL石神さん

私たちは、日本の子どもの貧困問題に取り組んでいます。日本に貧困問題があるということ自体、あまり知られていませんが、私もその一人でした。あるきっかけでこの問題を知り、活動をスタートしています。

日本の貧困がどこから貧困であるかと言うと、例えばひとり親世帯の約半分の子どもがこれにあたり、最低賃金で働いているような世帯の子どもが該当します。この家庭内の経済格差は教育格差につながり、その子が親になった時にも同じようなことが起こるという負の連鎖が生まれます。そのような子どもに対し、教育を受ける環境を与える活動や、こども食堂の提供、また子ども達の保護者を支援する活動を行っています。

この問題に向き合うに当たり、対処療法ではなく本質的な解決が必要だと思っていて、「早期で切れ目のない支援」というものを目指しています。そのためには、受益者からお金を取れないので、外部からの安定した活動資金を作ることが課題です。

キープ・ママ・スマイリング光原さん

自分の子どもが闘病で入院をしたことがきっかけで、入院時の付き添いをするお母さん(ご家族)の支援の必要性を感じ、この活動を立ち上げました。子どもが入院した時にお母さんがどのような環境で過ごしているのか、どんな苦悩があるのか経験したことがない方にはなかなか理解が難しいことと思います。

例えば子どもが入院をした時に、お母さんは子どもにほぼ24時間付き添っているため、ゆっくり食事を買いに行くことも食べることも出来ません。また病棟で電子音が鳴り響くことから睡眠不足になることや、経済的に困窮する等の問題があります。

そのようなお母さんのために、キープ・ママ・スマイリングでは食事を提供し、付き添い生活応援パックで企業から寄付をしてもらった食品や化粧水、服を詰め合わせたセットをお届けしています。

3.フィランソロピー活動で、コロナ禍の影響はあった?

コロナ禍における付き添い家族の実情

D×P今井さん

ユキサキチャットというLINE相談のサービスがあり、サービス開始当時は進路・就職相談がメインでしたが、現在では学校での人間関係の悩みや、家庭内環境の相談等、様々な悩みを持つ10代から相談が相次いでいます。

また、深刻な相談も今年は多く、虐待や「もう所持金がない」という相談も子どもたちからおおく寄せられました。それに対して、D×Pは現金給付や食料支援を行い、場合によっては在宅ワークの仕事にもつなげてPCの提供なども行なっています。

キープ・ママ・スマイリング光原さん

院内感染防止のため、病院では面会や付き添いの制限が始まり、私たちも集合して調理して食事を提供することを自粛し、昨年全国の付き添い者に届けるためにシェフの協力を得て作ったオリジナル缶詰を届けています。一般販売も始めたので、購入していただくことで活動を支援することができます。

Learning for ALL石神さん

弊団体は寄付や助成金、行政からの委託を受けて活動させて頂いております。行政からの委託に関しては、財政が悪化することで「子ども支援」の予算が減らされる、などは考えられます。その場合は、我々のように行政から委託を受けて活動している団体には大きなダメージとなります。

そして、助成金は期間や使途が限定されていることが多く、制限があるものがほとんどです。コロナなど外的要因に左右されず「目の前の子どもたちが必要とする支援を継続的に行う」ためには、継続的な寄付を増やしていく必要があります。

4.実際にコロナの影響を受けた方々の悩みは?

コロナで影響を受けた中に、元々生活に困窮をしていた学生・ご家庭があります。各NPO法人様も様々な方面で影響があったと言い、具体的に下記の悩みが寄せられました。

支援を希望している学生・家庭

  • 学費や生活費を稼ぐために働いていた勤め先のアルバイトを解雇された。
  • 家庭環境が悪くなり、所持金をほとんど持たないまま家を出ることになった。
  • 家族の収入が減り、食費を切り詰めているため食べるものがない。
  • 子供食堂の閉鎖で、食事提供を受けられない。
  • 収入が減り、結果貯金が底をついた。

入院に付き添うご家族

  • 病棟への出入り制限が出来たため、長時間の外出が出来なくなった。
  • 外部による手作りの食事提供が困難になったため、NPO等による支援を受けられない。
  • 付き添い者の交代が出来ないため、常時付き添いをする人の疲労が蓄積している。

5.仲間集めが活動の要

D×P今井さん:

活動を続けるに当たり必要なことは、寄付を募るというより「仲間集め」だと思っていて、どれだけこの活動を応援してくれる仲間を作るかがとても重要だと思っています。現在30代・40代のサポーターがとても多く、多くがSNSでD×Pの活動を知ったことをきっかけにサポートを始めてくれています。

learning for ALL石神さん

私たちの団体では、大学生のボランティアが活動に参加してくれていますが、口コミで集まり自らボランティア教師をやっています。寄付も同じだと思っていて、子どもの問題に共感した仲間が、また新たな仲間を呼んで拡散する、そんな仕組みづくりをしていきたいです。

キープ・ママ・スマイリング光原さん

Web・SNSを中心に仲間を募っています。まだ立ち上げたばかりということもあり、正直なところ現在は有償スタッフを雇用する資金がなくプロボノ・ボランティアで活動をしています。人件費にもならない程です。安定して活動を継続し、支援できる数を増やすためにも、今後は法人の寄付も募ることで活動資金の確保に努めていきたいと思っています。

寄付やサポーター入会に加え、とは言っても、現金で寄付をすることに抵抗がある方もいらっしゃるかもしれません。その場合、缶詰を買っていただくことも支援に繋がります。

6.活動の課題は?

今の悩みについて、口を揃えておっしゃっていたのは、「活動資金の確保」でした。

learning for ALL石神さん

我々のような団体だけが孤軍奮闘しているだけでは、決して「子どもの貧困」の課題解決は進まないと考えております。より大勢の方に課題について知って頂き、仲間になって頂くことで課題解決を進めていきたいと思っています。

キープ・ママ・スマイリング光原さん

今はお子さんが2週間以上の方を対象に支援をしています。ですが、お子さんの入院が1週間でも本当に大変です。この取り組みをもっと多くのご家族へ届けるためには、今以上に活動資金が必要となってきます。

そのために個人だけではなく、今後は企業からのサポートもお願いしていきたい。そして、寄付して下さった方に対しては、頂いた資金をどのように使っているか明確にする他、お母さんからの喜びの声を直接届けたいと思っています。

7.まとめ

会社1社ででできることは限られますが、一人でも多くの人が「寄付」に興味を持ち、寄付者の数や寄付額が増えることにより、救える学生・ご家庭が増えることを願い、この活動をしております。

株式会社Japan Asset Managementはお金の資産管理アドバイザーであるという立場から、普段より投資家の方と投資の目的について話し合う機会が多くあります。こちらの団体と出会うまで、このような問題があることを知りませんでした。

「どのように資産を増やすか」という資産運用の方法だけを追求するのではなく、「資産運用によって増えた資産をどう使っていくか」という資産運用の目的や、未来の世界のことまで語り合い、より良い社会を実現するために少しでもお役立て出来れば、今回のサミットがそのきっかけになれば、大変嬉しく思います。

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株式会社Japan Asset Management

2018年、お客様の立場と長期的な視点に立った金融機関を目指し、株式会社Japan Asset Managementを創業。営業開始から2年半で500名以上の顧客から190億円を超える資産を預かり、IFA事業の他、金融教育や寄付事業なども積極的に手掛けています。総合金融サービスを提供する資産コンサルティング会社です。

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