独スポーツ用品大手のアディダス(ティッカーシンボル:ADS)は3月9日、ロシアでの営業停止にともない、2022年12月期の売上高が最大2億5,000万ユーロ(約320億円)減少するリスクがあると発表した(*1)。会社全体の22年売上高成長を1%押し下げる見込み。
アディダスは7日、ロシアのウクライナ進行を受け、ロシア国内の約500店舗の閉鎖とオンライン販売を一時停止すると発表した(*2)。事業停止にともなって売上高が最大2億5,000万ユーロ減少するリスクがあり、これは同地での売上げの約半分を占めるという。
カスパー・ローステッド最高経営責任者(CEO)は数千人にのぼるロシアの従業員に給料を支払いつづけるとともに、寄付や緊急援助を通じて特にウクライナの従業員を守らなければならないと述べた(*3)。また、迅速かつ適切に状況に対応しようとしているなか、独善的な意思決定を行うのは非常に難しく、ロシアでの事業再開の時期を判断するのは時期尚早だと付け加えた。
良好な22年業績見通しも発表。ロシア事業の停止を加味した会社全体の売上高は11~13%増加すると見込むほか、地域別ではすべての市場で拡大すると予想する。なかでも北米とラテンアメリカ地域は10%台半ばから後半の伸び率を、中国は売上増が過去最高になると見込む。継続事業の純利益は18億~19億ユーロと予想する。ローステッドCEOはウクライナ支援と業容拡大に注力すると述べた(*3)。
あわせて発表した21年12月期決算は、売上高が前年比15%増の312億3,400万ユーロだった。地域別では欧州中東アフリカ(EMEA)や北米、ラテンアメリカ地域が2桁の伸びを示し、売上高拡大をけん引した。ダイレクト・トゥ・コンシューマー(D2C)事業やデジタルトランスフォーメーションなどへ多額の投資をつづけたなかでも、継続事業の純利益は同3.2倍の14億9,200万ユーロと大幅に拡大した。
アディダスはロシア事業停止にともなう売上高の減少を見込むなか、他国での業容拡大を図るためにどのような戦略を打ち出すか注目したい。
【参照記事】*1 アディダス「ADIDAS DELIVERS STRONG RESULTS IN 2021 AND EXPECTS DOUBLE-DIGIT SALES GROWTH IN 2022」
【参照記事】*2 ロイター「Adidas expects Russia hit in 2022, but China recovery」
【参照記事】*3 CNBC「Adidas doesn’t know when it will resume Russian business operations, CEO says」
HEDGE GUIDE 編集部 株式投資チーム
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