一般財団法人社会変革推進財団(SIIF)は11月16日、米国のAcumen(アキュメン) Fund Inc.との提携を発表した。アキュメンはニューヨーク州に本部を置き、約20年間、開発途上国におけるインパクト投資の先駆者として業界をけん引してきた非営利のインパクト投資ファンド。提携で、国内の個人投資家におけるインパクト志向のフィランソロピー活動の参加を促す仕組みの構築を目指す。
フィランソロピー活動は、広義として寄付やボランティアなど公益性のために自主的に社会課題解決に取り組むこと。社会課題解決を目指すCSRやCSV、社会貢献活動などの企業活動は増えているが、SIIFは「国内の個人資産によるフィランソロピーへの参加は、欧米はじめ先進国と比較して著しく少ない」と提起する。
個人寄付総額(円換算)を海外と比較すると、米国(30兆6664億円)、英国(1兆5035億円)に対し、日本は(7756億円)。名目GDPに占める割合としては米国1.44%、英国0.54%、日本は0.14%にとどまる(認定特定非営利活動法人日本ファンドレイジング協会調べ)。また、財務的リターンと並行して、ポジティブで測定可能な社会的及び環境的インパクトを同時に生み出すことを志向するインパクト投資では、確認されている世界の残高(円換算)は約44兆円に対し、日本の残高は5126億円と桁が違う。
今回の業務提携で、アキュメンとSIIFは、国内の個人投資家に対し、開発途上国におけるインパクト投資に関する情報やノウハウの共有、イベントなどの積極的な広報活動を行い、国内の個人投資家へ「貧困や環境、食糧などのグローバルな社会課題の啓発、フィランソロピー活動への関心の醸成や潜在需要の発掘および参加」を促進していく。
アキュメンは「事業・リーダー・思想の普及への投資を通じて貧困問題への取り組みを変える」というミッションを掲げ、寄付金をベースとした「忍耐強い資本(Patient Capital)」の社会的企業への投資に取り組んでいる。具体的には東・西アフリカ諸国、パキスタン、インド、ラテンアメリカ諸国、アメリカ合衆国で、貧困問題の解決を図る革新的なビジネスに対し投資と投資後のビジネスサポートを行っている。
SIIFは2020年から個人のフィランソロピー活動を支援するフィランソロピー・アドバイザリー事業を展開しており、世界の富裕層の資産の4%を使えば、SDGs(持続可能な開発目標)の実現に必要な資金不足分2.5兆ドルが解消すると試算している。「アキュメンと協力することで国内の個人投資家にインパクト投資の知見や理解を広め、インパクト投資への参加者を増やし、SDGsの達成に日本がより一層貢献できると確信している」と意気込む。SIIFの公式noteで両者の取り組みや見解が公開されている。
【関連サイト】SIIF 公式note
【関連サイト】一般財団法人社会変革推進財団(SIIF)
HEDGE GUIDE編集部 ESG・インパクト投資チーム
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