トルコ地震支援・寄付の現場から考える、私たち一人ひとりにできることは?

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トルコ南東部で2月6日に起きた大地震で、隣国シリアと合わせて5万人超の死者が確認されている。都市部と比べて支援が届きにくい農村部では、現在、NPOなどが中心となって緊急支援物資の配付を実施している状況だ。食料やベビーフード、おむつ、下着や生理用品といった現地で必要とされている物資が被災者に手渡されている。

地震被害が多い日本においてもトルコ地震への関心は高く、被災地で物資が不足しているということを受けて、直接物資を届けられないかと検討している法人・個人も少なくない。現地で支援活動を行っている国内のNPOにも物資の寄付に関する問い合わせが日々寄せられている。

世界16カ国で支援を展開し、トルコでも支援を行っているNPO法人難民を助ける会(AAR Japan)にも、古着仕入れを行う物流商社の経営者から「トルコ地震への被災者支援のため、冬物の古着を寄付したい。トルコまで運びます」という問い合わせがあった。

問い合わせに対し、同団体職員の吉澤さんは「物資の寄付を受けることは難しい。現地で支援活動にあたる職員が、現地で物資を受け取る手配を調整することは困難で、活動地周辺で調達することがコスト的にも手間的にも最も効率的」と説明したところ、周辺からの物資調達が効率的という点やAARを通じた物品寄付は難しいという点を納得してもらえた。

翌日以降も同経営者は他の団体で物品寄付での支援ができないかの検討を進めていたが、自身でもトルコの状況を詳しく調べることで「日々状況が変わる中でお金での寄付がベストだ」という結論に至り、寄付の方針を転換。周りの経営者にも本格的に寄付を呼びかけるため、AAR Japanと連携して発信内容の調整や写真提供などのバックアップを受けながら、所属しているネットワーク内でも寄付を募ったという。その後、同経営者から「貴重な体験をありがとうございました」というメッセージと本人からの寄付も届いた。

このやり取りを振り返り、吉澤さんは「何度も情報交換をし、ご自分でも情報収集をしてくださった結果、物品ではなくお金での寄付が一番適切だと納得いただき、周りへも呼びかける行動を起こしてくださったことをとても嬉しく思い、大変励みになりました」と語る。

支援は、相手の立場に立って考えることが大切だと言われる。その「相手」には、被災地・被災者だけではなく、現地で根気強く支援活動を続ける「支援者」も含まれる。もし自分が被災地で支援活動をしているとしたら、どんなバックアップや声が届けば嬉しいだろうか。自分の活動に関心を持ってくれる、現地の支援活動で直面する困りごとにしっかりと耳を傾けて手を差し伸べてくれる、支援活動に十分な時間が使えるようにコミュニケーション面での配慮をしてくれる、活動の意義や活動への参加をまわりへと呼びかけてくれる、そういった一つ一つのことが現地での活動の大きな力となるはずだ。

災害支援団体への寄付は、被災地への支援であると同時に、「被災地支援者の活動を支援する」ということでもある。寄付を考える際は、被災地・被災者のことだけではなく、被災地で活動する支援者たちにも目を向け・耳を傾けて、「被災地をいち早く復興する」「被災者の力になる」という共通の目的に向かって力を合わせていきたい。

テントで生活する被災者に支援物資を届けるAAR職員=アドゥヤマン県

テントで生活する地震被災者に支援物資を届けるAAR職員=トルコ・アドゥヤマン県

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【関連サイト】AAR Japan「トルコ地震の緊急支援を開始(2/7更新)
【関連サイト】AAR Japan「トルコ地震被災地で緊急支援物資を配付