ロシアによるウクライナへの軍事侵攻は2月24日で開始1年が経過した。国際NGOのAAR Japan[難民を助ける会]は、翌25日には緊急支援の実施を決定し、隣国ポーランドとモルドバに日本人スタッフを派遣し、ウクライナ難民・国内避難民への緊急支援を開始した。戦況は刻々と変化しているが収束は見えておらず、支援のあり方も長期化を見据えた方法が求められている。
AARでは今月18日にジャーナリストの堀潤氏を招き、「堀潤さんと語るウクライナ危機1年~厳冬のキーウ現地緊急報告」をオンラインで開催。また、23日に「【ウクライナ危機1年】『これまで』と『これから』」のタイトルで、これまでの支援活動や、AARが支えたい「これから」についてメッセージをメールマガジンで発信している。
モルドバでの支援は食料や日用品の配付から着手、子供の活動場所の提供や障がい者支援、地雷・不発弾対策まで行ってきた。昨年5月から、日本に逃れてきた避難民への支援も実施中だ。
東京事務局の中坪央暁氏は今年1月、厳冬期のウクライナを訪れた。首都キーウでは市民生活は一見平常に見えるが、ロシア軍のミサイル攻撃が続く中、多くのインフラが破壊され、人々は電力や暖房不足に苦しんでいるという。AARは現地の障がい者団体に発電機や生活用品などを提供しており「少しでも平穏な日常を取り戻す大きな力になっていることを実感した」という。
「ウクライナ危機は日本とは関係のない遠い国の出来事ではない。現場に立って、同じ時代を生きる者として世界とどう向き合うべきか、私たち自身が問われている」と中坪氏はメッセージしている。
軍事侵攻による民間の犠牲は広がっている。攻撃による被害のほか、地雷や不発弾の脅威や避難生活など、侵攻が長引くほど人々の心労は増していく。AARではモルドバの公共施設や学生寮など6施設で、6万人以上の人々に温かい食事や食材、生活必需品、医薬品、洗濯機や冷蔵庫などの家電を提供。避難施設には子どもたちが安心して過ごせる居場所や、難民とモルドバの子どもが交流できるチャイルド・フレンドリー・スペース(CFS)を設置するなどの支援を続けている。
侵攻から1年が経ち、支援活動は緊急支援から長期的なものに変化している。AARでは、一人ひとりの状況やニーズを聞きとり、医療へのアクセスをサポートするなどの個別支援、戦禍から逃れてきた母親や子どもの心のケアを目的として、安心できる場所を提供する心理社会的サポート、特に深刻な影響を受けがちな障がい者を対象とした生活物資の提供や施設への資金的支援、越冬支援、来日避難民支援に注力していく方針。
「故郷に帰りたい」「平和に暮らしたい」という希望が失われることがないよう継続的な支援を行っていくとしている。
AAR Japan ×堀潤「ウクライナ危機1年~厳冬のキーウ現地緊急報告」
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【関連サイト】AAR JAPAN[難民を助ける会]「ウクライナ危機から1年 支援活動報告」
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